ここはある日の事務所… |
やよい | 「おはようございまーす!」 |
元気な少女が一人やってきたようだ。 |
貴音 | 「おはようございます、やよい」 |
そこに落ち着いた感じの女性が一人。 |
やよい | 「あ、貴音さんおはようございます」 |
貴音 | 「やよいはいつも元気ですね…」 |
やよい | 「はいっ!私、元気だけが取り柄ですから」 |
貴音 | 「その元気さがファンの皆様方の魅力なのでしょうね…」 |
やよい | 「何かそう言われると照れちゃいます…」 |
貴音 | 「しかし今日はこんな時間にどうされたのです?」 |
やよい | 「プロデューサーに朝一で来てくれって呼ばれたんです。貴音さんこそどうしたんですか?」 |
貴音 | 「わたくしですか?わたくしも実のところやよいと同じでして…」 |
やよい | 「貴音さんもなんですか?ということは私たち二人が呼ばれたってことでしょうか?」 |
貴音 | 「そういうことになりましょうか…」 |
そこに |
ガチャッ |
P | 「お、来てたか。おはよう貴音、やよい」 |
貴音 | 「おはようございます、あなた様」 |
やよい | 「おはようございますっ!プロデューサー」 |
P | 「早速で悪いけど出るぞ、二人とも」 |
貴音 | 「どういうことなのでしょう?」 |
P | 「詳しくは運転中に説明するから、まずは車に急いでくれ」 |
やよい | 「は、はいっ。プロデューサー、何か持っていく物はありますか?」 |
P | 「特に無いな。必要なものはもう車に積んであるから」 |
貴音 | 「分かりました、行きましょうやよい」 |
やよい | 「はい、貴音さん」 |
……… |
ここはプロデューサーが運転する車の中… |
P | 「まずは二人ともゴメンな」 |
貴音 | 「何がでしょうか…?」 |
P | 「いや、急遽で貴音とやよいを呼び出したことさ」 |
やよい | 「今日ってオフだったですよね?」 |
P | 「全員オフのつもりだったんだけど、昨日の夜に予定変更の申し入れが先方から入ってな」 |
貴音 | 「本来はもう少し先のお仕事であったと…」 |
P | 「そういうことだ。電話で『どうしても3週間前倒しの明日で』ってお願いされてな」 |
やよい | 「それで何の撮影のお仕事ですか?」 |
P | 「昨日撮影とは言ったけど、詳しく言えば雑誌のグラビア撮影だ。急なんだけど…大丈夫か?」 |
貴音 | 「わたくしは普段から心構えを持っておりますので大丈夫です…やよいは大丈夫ですか?」 |
やよい | 「私も大丈夫です。あれ?でもどうして私たち二人なんですか?」 |
P | 「どうしてって…」 |
やよい | 「だって、私と貴音さんは一緒のデュオじゃないですよ」 |
貴音 | 「確かに…わたくしは雪歩と、やよいは律子と一緒のユニットですが…」 |
P | 「さっき一緒にいて気が付かなかった?」 |
貴音 | 「何でしょう?」 |
P | 「やよい、身長は?」 |
やよい | 「え?145cmですよ、プロデューサー」 |
貴音 | 「な…やよいはそれほどしか無いのですか?」 |
やよい | 「うー…身長がなかなか伸びなくって…事務所で一番私が小さいんですよね?」 |
P | 「そうだな。ま、それがやよいの魅力の一つになってはいるけどな。じゃあ貴音は?」 |
貴音 | 「わたくしですか?わたくしは169cmですが…」 |
やよい | 「ええっ!貴音さん、そんなに身長が高いんですか!?」 |
貴音 | 「あずさとは僅かの差ではありますが、わたくしが一番高いのですよね…?」 |
P | 「そういうこと。もう答えは出ただろ?」 |
貴音 | 「一番の身長差の二人を撮りたいと…」 |
やよい | 「そういうことだったんですね」 |
P | 「せっかく事務所で枠を貰ったから、こういう写真も面白いんじゃないかなってね」 |
やよい | 「でもでも貴音さんとお仕事って初めてですよね」 |
貴音 | 「はい…そうなりましょう」 |
P | 「おっと、そうだったか。確かにライブとか以外はほとんどがユニット単位だからな」 |
やよい | 「うあー、何だか緊張してきましたっ」 |
貴音 | 「わたくしもですが…楽しみですねやよい」 |
やよい | 「はいっ」 |
……… |
その撮影中… |
カメラマン | 『うーん、難しいわねえ…』 |
カメラマンが何やら困っていた。 |
カメラマン | 『これだけ身長差があると…フレームに入れるのが難しいわ…』 |
身長差24cmはやはり困惑させるには充分の材料となっていた。 |
カメラマン | 『もう一つ一番の写真が欲しいわね……あっ、そうだわ!』 |
何やら思いついたようだ。 |
カメラマン | 『○○君、今度はあっちの部屋で撮影するから準備お願いね』 |
スタッフが撮影道具を移動し始めた。 |
カメラマン | 『ゴメンなさいね四条さん、高槻さん、今度はあっちの部屋で撮影するわ。準備ができたら呼ぶわね』 |
やよい | 「はーい!」 |
貴音 | 「分かりました…」 |
|
その部屋に置かれていた物、それは… |
カメラマン | 『さあ、二人ともこのベッドで横になって』 |
外の海が見える部屋にベッドが置かれていた。つまりは寝室である。 |
やよい | 「この水着のままでいいんですか?」 |
カメラマン | 『ええ。四条さんは高槻さんを腕枕する感じで、そうそう』 |
パシャパシャっ |
ここまでの心の曇りが嘘のようにシャッターが切られていく。 |
貴音 | 「やよいの身体…温かいのですね…」 |
カメラマン | 『ああっ、その包み込んでいる感じいいわよぉ…』 |
パシャパシャっ |
やよい | 「貴音さんも…温かいです…」 |
カメラマン | 『四条さん、高槻さんのことをもう少し引き込んで、良い感じよ』 |
パシャパシャっ |
カメラマン | 『今度は二人、もう少し顔を近づけて、ええ、それでちょっと目を閉じて…』 |
パシャパシャっ |
貴音 | 「何だか少し…恥ずかしいですが…」 |
カメラマン | 『高槻さん、今度はもう少し四条さんの下の方に行って…』 |
やよい | 「どの辺ですか?」 |
カメラマン | 『その胸の辺りにそうそう、四条さんはその頭を腕で包み込んで…』 |
貴音 | 「やよいの顔が…わたくしの胸に…少し恥ずかしく…」 |
やよい | 「貴音さんの胸、柔らかくて気持ちいいです…」 |
カメラマン | 『そんな…あ、今の良い表情よ』 |
パシャパシャっ |
そんな貴音の胸に寄り添うやよいも、腕で優しく包み込む貴音も、優しい温かみのある表情を見せていたという… |