ある日の事務所… |
真美 | 「兄ちゃんおっはよーん、何してんの?」 |
左肩に顔を乗っけて一人の少女が話しかけてきた。 |
P | 「お、おはよう真美。いや、ちょっと資料の整理してただけだけど?」 |
真美 | 「それってこの前の番組の収録のだよね?」 |
P | 「ああ、あの頃はまだ暑かったよな。プールがちょうど良かったくらいだったし」 |
真美 | 「そーだったねー、でもどうして兄ちゃんまでプール入ってたの?」 |
P | 「そりゃさ、収録中の待ち時間で外で待ってたら死んじゃうぞ」 |
真美 | 「でも真美たちが収録してた時、兄ちゃんはずっとよそのお姉ちゃんの方見てたよねー」 |
P | 「う…バレテマシタカ…」 |
真美 | 「だって、休憩の時に戻ってた兄ちゃんの鼻の下伸びてたもん」 |
P | 「面目ない、確かに見てたと言えば嘘じゃないな」 |
真美 | 「やーい、兄ちゃんのむっつりスケベー!」 |
P | 「それでもある程度はちゃんと見てたぞ」 |
真美 | 「じゃあ真美とまこちんの水着姿はどうだった?」 |
P | 「そうだな…真はスラっとしたスレンダーで、黒と紫の水着が少し小麦色の肌によく映えてたな」 |
真美 | 「意外と良く見てたんだねー、じゃあ真美は?」 |
P | 「…本人の前で言うと気恥ずかしいな…」 |
真美 | 「何兄ちゃん照れてんの?こんな小学生の前で」 |
P | 「照れるさ。まあ、あの日の真美は可愛かったぞ」 |
真美 | 「それだけー?」 |
P | 「それにしてもあの虹色の水着はどうしたんだ?今まで見たこと無かったけど」 |
真美 | 「あれはその前の休みに友達と買いに行ったんだよ」 |
P | 「そうか、とても似合ってたからさ。胸のあたりのマークはいいワンポイントになってたな」 |
真美 | 「エヘヘ、ありがとっ」 |
P | 「それにしてもさ、一つ言っていいか?」 |
真美 | 「ん?どーしたの兄ちゃん。ちょっと顔紅いよー」 |
P | 「さっきから胸、当たってるぞ」 |
真美 | 「え?あ、ホントだ…って兄ちゃんもしかして…」 |
P | 「さすがに背中にこういう感触はなかなかないからな…」 |
真美 | 「本当に兄ちゃんってスケベだねー」 |
P | 「あのなあ、男っていうのはみんなそんなもんだぞ」 |
真美 | 「でも、そんな兄ちゃんが嫌いじゃないけどね」 |
P | 「…ありがとな、真美。あ、そうだ…ちょっと離れてくれないか」 |
真美 | 「んー、分かった」 |
P | 「ちょっと会議室へ先に行っててくれる?」 |
真美 | 「りょーかいっ!」 |
|
ここは会議室… |
真美 | 「あー、その収録の時の写真だ」 |
P | 「昨日業者から届いたんだ。後で真にも見てもらうけど、ちょうど良かったから先に見てくれないか?」 |
真美 | 「凄い量だね、こんなに撮られてたんだー」 |
P | 「選んでもらうならこれくらい無いとな」 |
真美 | 「え?選ぶってどういうこと?」 |
P | 「1人ずつの写真を5枚ずつ、2人での写真を10枚、サイン入れてプレゼントに回すんだ」 |
真美 | 「でもこれだけあると迷っちゃうね。あ、これってあとは何かに使う?」 |
P | 「今後の宣材写真にもどうかなって思ってるけど」 |
真美 | 「そっかあ」 |
P | 「まあそれ以外で好きな写真があったら持って帰ってもいいぞ」 |
真美 | 「え?ホント?」 |
P | 「返さなくていいとは言われてるからな」 |
真美 | 「じゃあ選んでるね、兄ちゃんは書類の整理まだなんだよね?」 |
P | 「ああ、もう少し時間かかると思う」 |
真美 | 「んじゃ、行ってきていいよー」 |
P | 「分かった、期待してるからな」 |
|
真美 | 「に、い、ちゃんっ!」 |
P | 「うわあっ!真美か…ってことはもう選び終わったのか?」 |
座って書類を眺めていたプロデューサーの右肩に、再び真美が顔を乗せて話しかけてきた。 |
真美 | 「うんっ、これが選んだ5枚だよ」 |
右手で持ってきた写真を机へと置く真美。 |
P | 「お、なかなかセンスあるな」 |
真美 | 「それで兄ちゃん、一ついいかなあ?」 |
P | 「ん?」 |
今度は首の左側から左手で1枚の写真を差し出した真美。 |
真美 | 「んっふっふー、この写真どうしたの?」 |
P | 「…!?」 |
その写真は明らかに下の方からのアングルで休憩で寝ている真美が撮られていた。 |
真美 | 「真美たちが休憩で寝てる間だよねー?」 |
P | 「…俺がやりました…」 |
真美 | 「兄ちゃんは真美をこんな目で見てたんだー」 |
P | 「…失望しただろ?俺はこんなプロデューサーなんだ」 |
真美 | 「んーん、そんなことないよ。兄ちゃんはどこかに売るとかそんなことは考えてないっしょ?」 |
P | 「もちろんそんなこと考えてるわけないだろ」 |
真美 | 「真美のことが好きでやっちゃったんでしょ?」 |
P | 「ああ。ゴメンな…本当に」 |
真美 | 「だったらこれは兄ちゃんにあげるっ」 |
P | 「…いいのか?」 |
真美 | 「だって真美のこと好きで我慢できなくてなんだから、それだけで嬉しいもん」 |
P | 「真美…ありがとな」 |
真美 | 「兄ちゃん、その代わりに1つだけいいかな?」 |
P | 「ん?」 |
真美 | 「真美のこと一度だけギュってしてくれる?」 |
P | 「…それくらいならお安い御用さ」 |
クルンっ |
プロデューサーは首に廻された手はそのままに座っていた椅子を真美の方へ向けて… |
ギュッ |
真美の身体をそっと抱きしめた。 |
真美 | 「兄ちゃん…ホントに嬉しいな…」 |
その写真は、プロデューサーの家へと持って帰られたそうな… |