| ここはあずさの住むマンション… |
| あずさ | 「ふんふふ〜ん♪」 |
| 何やら上機嫌なあずさがいた。 |
| あずさ | 「これはこっちに置いて…あとこれはそっちに入れておきましょう」 |
| どうやら誰かを呼ぶようだ。 |
| ピピピッ♪ ピピピッ♪ |
| あずさ | 「あら、できたみたいだわ〜」 |
| パタパタパタパタ |
| スリッパを鳴らして台所に向かった。 |
| パカッ |
| オーブンレンジを開けたあずさ。 |
| あずさ | 「フフフ、美味しそうに出来たわね」 |
| そのレンジの中身を見て思わず笑顔が零れた。 |
| あずさ | 「あ、そうだわ」 |
| ポンっ |
| 何かを思い出したように思わず手を叩いた。 |
| あずさ | 「プロデューサーさんが来るなら、アレを炊いちゃおうかしら」 |
| あずさはリビングの棚からある物を出した。 |
| あずさ | 「これを挿して…マッチで火を点けて…」 |
| ポッ スゥっ |
| 線香型のお香に火を点けてリビングの机の上に置いた。 |
| あずさ | 「んー、良い薫り…」 |
| 細い煙がたなびき始め、優しい薫りが部屋を包み始めた。 |
| あずさ | 「あとは…もう大丈夫かしら」 |
| そこに… |
| DING DONG♪ |
| あずさ | 「はーい。来たわね、プロデューサーさん」 |
| パタパタパタパタ |
| スリッパでも足早になるのが分かる。 |
| ピッ |
| 玄関にあるインターホンを押した。 |
| あずさ | 「こんにちはー、どちらさまでしょうかー？」 |
| Ｐ | 『あずささん、俺です。ちょっと早いですけど着いちゃったんで』 |
| あずさ | 「はいー、今開けますから〜」 |
| カチャッ |
| あずさは玄関のカギを開けた。 |
| ガチャッ |
| ドアが開くとそこには… |
| Ｐ | 「こんにちは、あずささん」 |
| あずさ | 「いらっしゃいませ、プロデューサーさん。さあ中に入って下さい」 |
| Ｐ | 「はい。ではお邪魔します」 |
| バタンっ カチャッ |
| あずさとプロデューサーは家の中へと入っていった。 |
| |
| ここはダイニング。プロデューサーはすっかりくつろいで座っている。 |
| あずさ | 「プロデューサーさん、お腹は空いてますよね？」 |
| Ｐ | 「はい。もうここに来るまでお腹空き過ぎてどうしようかと思ったくらいですよ」 |
| あずさ | 「フフフ、今日はプロデューサーさんのために、一番の得意料理を用意しちゃいました」 |
| Ｐ | 「それは楽しみです」 |
| あずさ | 「今持ってきますから待ってて下さいね〜」 |
| パタパタパタパタ |
| あずさは台所のレンジへとそれを取りに向かった。 |
| Ｐ | 「さすがはあずささんらしい感じのする空間だな…」 |
| プロデューサーはふと部屋を見回して一言そう呟いた。 |
| Ｐ | 「それに何かこう…薫りが良いって言うか…かな」 |
| あずさ | 「お待たせしましたー。私の一番の得意料理です〜」 |
| その料理を二人分持って戻ってきた。 |
| トンっ トンっ |
| あずさはそれを置きつつ自分も席に着いた。 |
| Ｐ | 「うわあ、これは美味しそうに焼き上がってますね」 |
| あずさ | 「熱いうちに食べちゃってください…あっ…」 |
| Ｐ | 「え？どうしました？」 |
| あずさ | 「プロデューサーさん、ちょっと失礼しますね〜」 |
| Ｐ | 「？？？」 |
| あずさはプロデューサーの方の皿に入っているそれを一口分すくった。 |
| あずさ | 「ふー…ふー…ふー…ふー…はい、プロデューサーさん。アーン」 |
| Ｐ | 「えっ、あ、あずささん！？」 |
| あずさ | 「もう、プロデューサーさん。ノリが悪いです…」 |
| 少しふくれっ面になるあずさ。 |
| Ｐ | 「ゴメンなさいあずささん、もう一回お願いします」 |
| あずさ | 「はいプロデューサーさん、アーン」 |
| Ｐ | 「アーン…パクっ…こ、これは…何か懐かしい感じがする味です」 |
| あずさ | 「そうかしら〜？特別な物は何も入れていないはずよ〜」 |
| Ｐ | 「うちの母が作ってくれていたのとレシピが似ているのかもしれませんね」 |
| あずさ | 「なるほど、そうかもしれないわね〜」 |
| Ｐ | 「これならいくらでも入っちゃいますよ」 |
| あずさ | 「プロデューサーさん、メッです。ゆっくり味わって食べてください」 |
| Ｐ | 「そうですね、せっかくの手料理ですから」 |
| |
| その食事中… |
| Ｐ | 「そういえばこの部屋の薫りってジャスミンですよね？」 |
| あずさ | 「はい、プロデューサーさんは嫌いだったでしょうか〜？」 |
| Ｐ | 「いえ、好きですけど…どこから来てるのかなって思ってたんです」 |
| あずさ | 「隣の部屋からです。ほら、あのお香からなんです〜」 |
| Ｐ | 「あー、あれですか」 |
| 短くなっているお香からは未だに煙がたなびいていた。 |
| あずさ | 「プロデューサーさんが来るからって、点けちゃいました」 |
| Ｐ | 「そんなお気遣いしてくれなくても良かったんですよ」 |
| あずさ | 「プロデューサーさんは…大切な人ですから」 |
| Ｐ | 「…あずささん…」 |
| プロデューサーはその気遣いに少し恥ずかしそうに照れていた… |