真 | 「うわあ、今度の衣装はこれですか?プロデューサー」 |
P | 「ああ、さっき12人分届いたばっかりだぞ」 |
真 | 「あれ?ボクの分の衣装はどれだろう?」 |
P | 「ん?無いのか?」 |
真 | 「だって…ボクに合うのはスカートしかないですよ、これ」 |
P | 「あのなあ真、自分の立場を自覚しているのはいいけどな」 |
真 | 「え?今回ボクのはこれなんだ、じゃあ」 |
P | 「そうみたいだな。今回はほら…これも付いてるみたいだから」 |
真 | 「うう、言われてみれば最近見せても良いのは穿いてなかった気がするなあ」 |
P | 「そういえばここのところずっとパンツタイプの衣装だったっけ」 |
真 | 「あれ?でも亜美たちとやよいに美希の衣装はパンツタイプみたいだなあ」 |
P | 「本当だ。と、なると…やっぱり真のだけ発注間違えたのかな?」 |
真 | 「プロデューサー…ちょっと怒ってもいいですか?」 |
P | 「でも、そう言うってことは男の子っぽいって自覚があったんだろ?」 |
真 | 「そうだけど…」 |
P | 「でも、この衣装だと激しいダンスは出来ないな」 |
真 | 「そうですね、いくらこれがあっても見えちゃうのは恥ずかしいから」 |
P | 「さっそくだけど、着てみるか?」 |
真 | 「え?いいんですか?」 |
P | 「構わないさ。真のユニット『真月譚雪姫』は、次はこの衣装の予定だからさ」 |
真 | 「やーりぃっ!じゃ、ちょっと着替えてきますね」 |
P | 「ああ、待ってるよ」 |
|
真 | 「ど、どうですか?プロデューサー」 |
P | 「何だか新鮮な感じがするな、真のスカートってのは」 |
戻ってきた真はおろし立ての衣装に包まれていた。 |
真 | 「足元がスースーするのは、やっぱり少し変な感じかなあ」 |
P | 「普段穿かないとそう思うんだ」 |
真 | 「今だともう、学校行くときくらいしか穿かないですもん」 |
P | 「そっか、でもどうだ?動き難いとかはある?」 |
真 | 「うーん、今は特に無いですね」 |
と、ダンスのステップを踏み始めた真。 |
……… |
真 | 「こんな感じですけど、どうですか?」 |
P | 「真が良いならいいけど…な」 |
真 | 「え?何か問題あったんですか?」 |
P | 「そのな…見えてたぞ、やっぱりな」 |
真 | 「ええっ!?プロデューサー…そんなところばっかり見てたんですかあ?」 |
P | 「いや、衣装のチェックはプロデューサーの務めだろ?」 |
真 | 「そうですけど、恥ずかしいなあ…やっぱり」 |
P | 「うーん、どうしようかなあ…真はどうしたい?やっぱりパンツ系に戻す?」 |
真 | 「ボクはこの衣装がいいなあ…雪歩と律子の意見も聞かないとだけど」 |
P | 「それなら大丈夫だな、二人には作る前に聞いてあるから」 |
真 | 「ええっ!?それは初耳ですけど…」 |
P | 「ちょうど真だけゲストに呼ばれた番組の時に聞いてたんだ、それから時間が無くてな」 |
真 | 「それならしょうがないか、あのスポーツ番組の時ですか?」 |
P | 「そうそう、新しい衣装作りたいって社長から急に言われてな」 |
真 | 「んー、まあこの衣装のことはいいかなっ」 |
P | 「でもそれならダンスを変えた方がいいかな?」 |
真 | 「いいです、見せパン穿いてるのにそんなことに臆病じゃ良いダンスが出来ないですから」 |
P | 「えっ…ちょっと待て…あの見せパン確か衣装に合わせて緑色だったはずじゃ」 |
真 | 「やだなあプロデューサー、女の子の衣装のそんなところまでチェックしてるんですか?」 |
P | 「あのさ、さっき見えてたの…青と白だった気がするんだが…」 |
真 | 「え?青と白…もしかして…うわあああっ!いやにスースーし過ぎると思ったらっ!」 |
P | 「忘れる!忘れるから許してくれ、真!」 |
真 | 「大失敗だなあ…うう…プロデューサーには見られちゃうし」 |
P | 「すまん!本当にすまんっ!」 |
真 | 「いいんです、プロデューサーに見られたのはもう終わったことですから」 |
P | 「そう言われたら何も言えないな…」 |
真 | 「本当に…うう…」 |
P | 「で、でも…可愛いのを穿いてるな、真」 |
真 | 「お、女の子だもん…ボクだって…」 |
P | 「実際に見るのは初めてだったかもしれないな…ってこの話はやめよう」 |
真 | 「そうですね…でも本当に恥ずかしかったなあもう」 |
P | 「普段はパンツ系だから見えることすら無いからな」 |
真 | 「だからかな、恥ずかしいと思うのも強いのかなあ」 |
P | 「きっとそうだろうな、普段しないことをしたからだろうし」 |
真 | 「でも…プロデューサーならいいかなとも思っちゃったんですけどね」 |
P | 「え?俺なら?」 |
真 | 「女の子として、プロデューサーが……ですから」 |
P | 「え?ちょっと聞こえなかったけど」 |
真 | 「も、もう言いません!恥ずかしいから」 |
P | 「え?あ、まあいいけどさ」 |
真 | 「(今はまだいいや、でも本当の気持ちは後で必ず伝えるんだ)」 |
P | 「ま、でも良い物見せてもらったし…ん?そういえば今日、他の二人は?」 |
真 | 「今日はもともと休日ですよ、ボクは自主レッスンのために来ただけですから」 |
P | 「あー、忘れてた。そうだな、二人だけだし飯でも食べに行こうか」 |
真 | 「いいんですか?ボクだけ行っても」 |
P | 「構わないさ、今日はもともと俺も残務処理だけだったし、もう終わったからな」 |
真 | 「やーりぃっ!あ、それじゃあ着替えてきますね」 |
P | 「分かった、行って来い。その衣装は綺麗に畳んでおけよ」 |
真 | 「分かりました、へへっ」 |
P | 「午後からはレッスンに付き合ってやるよ、その方がいいだろ?」 |
真 | 「え?いいんですか?」 |
P | 「ああ、どうせ家に帰ってもやること無いしさ」 |
真 | 「それじゃあお願いしますっ!」 |
そんな事務所のとある一日であった… |