小鳥 | 「あと…7分ね」 |
私は電車を待つ、あの人の許へ向かうための。 |
小鳥 | 「まさか前の電車を逃すなんて、私としたことが飛んだ失敗だわ…」 |
そこはとある地下鉄駅の、電車が行ってしまったばかりのホーム。 |
小鳥 | 「今日は…何をしようかしら」 |
次の電車の表示をする電光掲示板を見つめながら小鳥は一人、妄想に耽り始めた… |
……… |
P | 「小鳥さん、お待たせ」 |
小鳥 | 「もう、プロデューサーさん。いつも遅れるんですから」 |
そう、あの人はやきもきさせるのが得意よね。 |
小鳥 | 「今日は7時半って言ったじゃないですかあ」 |
P | 「すみません、渋滞にはまっちゃって動けなかったんですって」 |
小鳥 | 「前もそうでしたよ、むー…」 |
P | 「すみません、許してください小鳥さん」 |
小鳥 | 「んー、どうしよっかなあ」 |
P | 「小鳥さん、せっかく美味しいとこ行こうと思ってたのになあ」 |
小鳥 | 「う…」 |
P | 「小鳥さんが好きなのもあるんだけどなあ」 |
小鳥 | 「も、もう…」 |
P | 「もう?」 |
小鳥 | 「やっぱりプロデューサーさんには勝てないわね」 |
そう、あの人は人をその気にさせるのが上手いの。 |
ぎゅっ |
P | 「こ、小鳥さんっ!?」 |
そんなあの人の身体を抱き締めるの。あの人、そういうことには弱いんだから。 |
小鳥 | 「遅れてきた罰です」 |
P | 「お、俺はどうすればいいんですか?」 |
小鳥 | 「だって私は連れて行ってくれないんですもんね」 |
P | 「そ、そういうわけじゃないです」 |
小鳥 | 「まったく…お姉さんに嘘ついちゃダメですよ」 |
P | 「分かってますって」 |
小鳥 | 「それでどこに連れてってくれるんですか?」 |
P | 「小鳥さんの大好きなアレがあるところですよ」 |
小鳥 | 「となると、この辺だと…」 |
……… |
小鳥 | 「はっ…うん、まだのようね」 |
電光掲示板はまだ乗る予定の電車の表示のままであった。 |
いけないいけない、妄想してると周りが見えなくなるもの。 |
小鳥 | 「あら?でも…おかしいわね…」 |
そう、時間はもうとっくに過ぎているはずなのに、電車が来てなかったのだ。 |
『当駅構内の皆さまにお知らせします。ただ今電気関係のトラブルにより、地下鉄全線の運転を見合わせております。 |
お客様には大変ご迷惑をおかけしております。只今復旧作業中でありますが、復旧の見込みは立っておりません。繰り返し…』 |
よく見れば方向は合っているものの、時刻表示が無くなっていた。 |
小鳥 | 「えっ…どうしよう…とりあえず連絡しないと…」 |
とりあえず一旦改札を出て電話をかける小鳥 |
Trrrr… Trrrr… |
小鳥 | 「もしもし、プロデューサーさんですか?」 |
P | 『はい、小鳥さん。どうし…あ、もしかしてさっきテレビでやってましたけど…』 |
小鳥 | 「はい、そうなんです。どうしましょう?」 |
P | 『それなら待っててください、迎えに行きますから。今、どこの駅ですか?』 |
小鳥 | 「えっと、地下鉄○○線の□□□駅です」 |
P | 『分かりました。15分くらいで着くと思いますけど、渋滞が絡むかもしれないので少し多めに見てください』 |
小鳥 | 「了解です、それならどの出口で待ってましょう?」 |
P | 『路地の方に駅がありましたよね?そこにお願いします。』 |
小鳥 | 「分かりました、そこで待ってますね」 |
Pi |
小鳥 | 「ふう…とりあえず移動しないと…」 |
ふと見上げるビル。そこには、ニュースを流す電光掲示板が。 |
小鳥 | 「えっと…地下鉄全線に影響してるのね」 |
そこには、変電所のトラブルによる運転見合わせが地下鉄全部に及んでいることが書かれていた。 |
小鳥 | 「とりあえず、ここで待ちましょ」 |
……… |
P | 「やっぱり混んでるみたいだな」 |
プロデューサーは小鳥の待っている駅へ向かっていた。 |
Pi |
『…△△△変電所での大規模な電源関係のトラブルは、未だ復旧の見込みが立っておらず、影響で地下鉄全線及び、乗り入れている各線にも影響が出ております。影響の出ている路線は…』 |
ラジオは、復旧の見込みの無い情報を伝えている。 |
『…また、影響により道路の一部で渋滞が起こっております。伝えていただきましょう、道路交通情報センターの☆☆さん…』 |
P | 「なるほどな、これは思ったよりひどいな…」 |
車を動かしながら頭の中で状況判断し始めたプロデューサー。 |
P | 「そういえば…思い出した!」 |
と、車は抜け道である路地を進んでいく… |
……… |
小鳥 | 「あとどれくらいで着くのかしら、プロデューサーさん」 |
時間はあれから既に20分。目の前の道路はやはり渋滞し、車通りも多くなっていた。 |
と、そこに… |
P | 「小鳥さんっ!」 |
小鳥 | 「えっ?あっ…プロデューサーさん…」 |
ぎゅうっ |
駆けて来たプロデューサーに抱きつく小鳥。 |
P | 「こ、小鳥さん…」 |
小鳥 | 「大変でしたよね?すみません」 |
P | 「いいんです、無事で居てくれたんですから」 |
小鳥 | 「あれ?そういえば車は…」 |
P | 「ちょっと遠いんですけど…この先の駐車場に入れてあります」 |
小鳥 | 「それじゃあ行きましょうか」 |
P | 「そうですね、俺の家でゆっくりしましょう」 |
二人の夜は、まだ終わりそうに無い… |