アヤ | 「こずえー、出来たぞー」 |
こずえ | 「アヤー、何かならべるー?」 |
アヤ | 「鍋敷きをこたつに置いておいてくれないかー、今持ってくから」 |
こずえ | 「んー」 |
ここはとある年の瀬の昼のアヤとこずえの寮の部屋。 |
アヤ | 「熱いから避けていてくれよー」 |
アヤがこたつへと鍋を持ってきた。 |
トンッ |
持ってきた鍋をそのまま鍋敷きへと置いた。 |
アヤ | 「熱いからまだ触るなよー、蓋は取り皿とかつゆそっちにやったら開けるからなー」 |
こずえ | 「分かったのー」 |
そう言いながら何か思い付いたのかアヤについていったこずえ。 |
アヤ | 「えっと小鉢は…この下の棚か」 |
こずえ | 「はしとレンゲはー?」 |
アヤ | 「それも必要だな。そっちの引き出しからこずえの分とアタシの分、持って行ってくれないか?」 |
こずえ | 「はーい」 |
……… |
こたつに入った二人…と言っても一辺しか使っていない。 |
アヤ | 「よし、食べるか。開けるぞ」 |
パカッ |
鍋の中にはアヤ特製の水炊きが入っていた。 |
こずえ | 「おー」 |
アヤ | 「じゃ、召し上がれ」 |
こずえ | 「いただきますなのぉー」 |
アヤ | 「鍋まで自分で届くか?」 |
こずえ | 「うんー、大丈夫ー」 |
アヤ | 「それならバランスよく食べるんだぞ」 |
こずえ | 「アヤ、ママみたいなのー」 |
アヤ | 「うっ…まあアタシはここでの保護者みたいなモンだからな」 |
こずえ | 「アヤママだねー」 |
アヤ | 「お姉ちゃんくらいならまだいいんだけどな…。あむ…熱っ…うん、これなら上出来だな」 |
こずえ | 「はふっ…ほふっ…アヤ、おいしーよぉ」 |
アヤ | 「ありがとな。本当はコタツの上にコンロ置きたかったんだけどさ」 |
こずえ | 「机の上に置けるの無いのー?」 |
アヤ | 「火は響子とか特別にお願いしている人の部屋以外は使えないんだよ」 |
こずえ | 「電気のはー?」 |
アヤ | 「あー、それは今度聞いて探してみるか」 |
こずえ | 「こずえもいっしょに行くー」 |
アヤ | 「ああ、もちろんな」 |
こずえ | 「えへー…」 |
アヤ | 「ほら、ちゃんと野菜も食べるんだぞ」 |
こずえ | 「はーい」 |
……… |
すっかり食べ終わり、こたつで一心地の二人。 |
アヤ | 「でももう今年も終わりかぁ」 |
こずえ | 「アヤのお仕事はぁ?」 |
アヤ | 「明日一緒に帰るんだから、もう昨日で終わりだ」 |
こずえ | 「じゃあ今日はいっしょに準備できるねー」 |
アヤ | 「そうなるな。明日はきちんと起きてくれよな」 |
こずえ | 「アヤが起こしてほしいのぉ」 |
アヤ | 「こーら、わがまま言わない。来年こそ厳しくいかないと」 |
こずえ | 「むー…」 |
アヤ | 「そんなむくれてもダメ。こずえの親にもプロデューサーにも言われてるんだからな」 |
こずえ | 「でも今年はまだ違うのー」 |
アヤ | 「…まったく、そう来たか…言われるとは思ってたけど」 |
こずえ | 「アヤのこと、こずえは好きだよぉ」 |
アヤ | 「…その言葉に釣られてこずえには甘くしちゃうんだよな…」 |
こずえ | 「明日もいっしょにねてくれるー?」 |
アヤ | 「でも明日は起きる時間には叩き起こすからな」 |
こずえ | 「ふぁーい」 |
アヤ | 「よし。じゃあ残り準備するぞ」 |
その言葉に二人はようやくこたつを出た。 |
こずえ | 「あとは何を入れればいいー?」 |
アヤ | 「昨日買ったお土産くらいじゃないか?それ以外はもう土曜日に準備したろ?」 |
こずえ | 「あと日曜日にもらった台本もー」 |
アヤ | 「学校の宿題は入れたか?」 |
こずえ | 「うー、やりたくないー」 |
アヤ | 「じゃあここでやって行くか?あとどれくらいだ?」 |
こずえ | 「あとは書初めとー理科と算数がちょっとー」 |
アヤ | 「書初めはさすがに正月過ぎだな。この寮でもアタシより適任いるのもあるし」 |
こずえ | 「じゃあ理科と算数を手伝ってほしいのぉ」 |
アヤ | 「小学校くらいのならいいか。この洗い物を片付けてる間にこたつに持って来い」 |
こずえ | 「んー」 |
……… |
アヤ | 「ふー、こんなもんか」 |
こずえ | 「終わったぁ…」 |
アヤ | 「これで良い年越しが迎えられそうだな」 |
こずえ | 「そうだねぇ、アヤありがとぉ」 |
アヤ | 「どういたしまして。書初めはどうする?」 |
こずえ | 「ここに戻ってからするのー…」 |
アヤ | 「それなら誰かに頼んでおくか。葵とかあやめとかかな」 |
こずえ | 「分かったのー」 |
アヤ | 「それじゃあとは帰省の準備するぞ」 |
こずえ | 「はぁーい」 |
アヤ | 「とは言っても後はお土産詰めるくらいだな」 |
こずえ | 「そうだねぇ…アヤは何持って行くの?」 |
アヤ | 「アタシは向こうにないお菓子とかくらいだな。あと正月にお世話になる放送局への土産もだ」 |
こずえ | 「多いねー」 |
アヤ | 「向こうでも少しはお仕事しないとだからな」 |
こずえ | 「こずえはほとんど家のだけだよぉ」 |
アヤ | 「ま、向こうで家族でゆっくりしてこいよ。帰りは加奈と一緒だよな?」 |
こずえ | 「んー。5日には帰るねぇ」 |
アヤ | 「楽しみに待ってるさ。アタシは4日の午前にはこっち来てるからな」 |
こずえ | 「向こうにいる時に電話してもいいー?」 |
アヤ | 「もちろんさ。アタシもこずえの声聴きたくなると思うし」 |
こずえ | 「こずえもー、アヤの声無いとさびしいのー」 |
アヤ | 「まったく可愛いヤツめ、うりゃっ!」 |
わしゃわしゃわしゃわしゃ |
アヤは恥ずかしさからか、こずえの頭を力を入れて撫でた。 |
こずえ | 「アヤヤヤヤヤヤヤヤぁ…」 |
アヤ | 「ハハッ、じゃあお土産をカバンに詰めたら早めに風呂行っとくか」 |
こずえ | 「んー…そうだねぇ…」 |
二人は笑顔で荷物とお風呂の準備をし始めた… |