A Warm time Together(温かい時間をともに)

12月25日の朝…
??「んんーっ!…っと、さてと…」
少女と女性の間くらいの子がベッドから身体を起こした。
???「くぅ…すぅ…」
その隣には一人のあどけない少女がまだ寝息を立てていた。
??「まあもう冬休みだし、多少はゆっくりと寝かせてやりたいところだけどな」
ゆさゆさゆさゆさ
その女性はその少女を起こすために身体を揺すった。
???「んむぅ…ふわぁ…なぁにぃ…?」
アヤ「ほら、起きてくれこずえ。もう朝だぞ」
こずえ「もう朝なのぉ…んー、起きるぅ」
寝ぼけ眼でゆっくりと身体を起こしたこずえ。
アヤ「今日も一緒にお仕事だからな。起きてご飯食べて準備するぞ」
こずえ「ふぁーい…んんー…」
………
アヤ「はい、こずえはオレンジジュースで良かったか?」
こずえ「アヤ、ありがとー」
アヤ「よし、それじゃあ…」
二人『いただきます』
アヤ「今日は午前中からだから、しっかり体力付けとかないとな」
こずえ「アヤはセリフだいじょうぶー?」
アヤ「ああ、昨日のうちに暗唱できるくらいにはなってる」
こずえ「今日はNG出ないといいねー」
アヤ「ただでさえ寒いからなあ。NG出すかは他の演者さんにも掛かってるけどさ」
こずえ「こずえも今日はたいへんだよー。長ーいセリフが多いのー」
アヤ「こずえの力量を見て監督がどんどん増やしてるよな」
こずえ「えっへんー」
アヤ「今回一番長いのって半ページのアレだな」
こずえ「そうだよー…今日とってもらうところだよぉ」
アヤ「でもいいよなあ。こずえは大半が温かい部屋の中だしさ」
こずえ「アヤはアクションで動くからたいへんだねー」
アヤ「セリフの代わりにアクションシーンになってるようなもんだしな」
こずえ「がんばってねー」
アヤ「ああ…って、こぼしてるぞ。ちょっと待って、今拭くから」
こずえ「うんー…ごめんねー」
アヤ「ああ、これはもう洗わないとだな。ま、パジャマだし今日洗濯機に掛けるか」
こずえ「そうだねー…アヤー」
アヤ「ん?」
こずえ「オレンジジュース、おかわりー」
アヤ「次は自分で持ってきなさい」
こずえ「えー…むー…」
アヤ「むくれてもダメなものはダメ」
こずえ「ぶー…分かったのー」
アヤ「えっと、食べたら歯磨きとかして、行く準備してだろ…迎えが今日は8時半だから…」
こずえ「ねーアヤー、オレンジジュースはどれー?」
アヤ「え?ああ、その二つ右のサーバーだぞ。一つ左がリンゴのであとはお茶とかコーヒーだから」
こずえ「それならリンゴにするのー…」
………
監督『はい、カットー!オッケー!これから15分でセット整備とライティング再確認ー!』
アヤ「ふー…っつ!ちょっと打っちまったか」
監督『桐野さん、今日も良いアクションだったな』
アヤ「ありがとうございます。まあ下手な演技は見せられないですから」
監督『そうか…でも君のプロデューサー君はいないみたいだが?』
アヤ「いや、そいつにですよ」
こずえ「アヤー…おつかれぇ…」
アヤ「おう、そっちはどうだった?」
こずえ「こずえはNG無かったよー」
アヤ「そりゃ凄いな、あの長ゼリフだろ」
監督『遊佐さんにだったか。しかしこの子もあれだけのセリフが完璧とは、他の俳優陣も舌を巻いてたよ』
アヤ「そうですか、良かったなこずえ」
こずえ「うんー」
監督『今日は後もう桐野さんの1シーンで二人は上がりだね、よろしく頼むよ』
アヤ「はい!ではメイク直し行ってきます。こずえも一緒にな」
こずえ「分かったのぉ…」
………
アヤ「えっとイベント会場は…ああ、いたいた。プロデューサー!」
「お、おつかれ。映画の撮影の方に就けなくてスマンな。イエリリの方の撮影に行っててな」
アヤ「別にいいよ、アタシ達二人がいれば済む話なんだしさ」
「この時間に来れたってことは撮影は順調だったんだな」
こずえ「大丈夫だったよー」
アヤ「ほんと、監督さんにも褒められてたくらいだしな」
こずえ「えへー」
「今度お礼言っとかないとな。よし、控室に案内するから一緒に付いてきて」
アヤ・こずえ「ああ」 「んー…」
………
アヤ「はぁー…今日は映画撮影にクリスマスイベントゲストに疲れたなーこずえ」
こずえ「いっぱい動いて喋ったのぉ…」
アヤ「…っつ!」
こずえ「どうしたのぉ?」
アヤ「ちょっとアクションでぶつけたとこがな」
こずえ「だいじょうぶー?」
アヤ「アクションやってたらこれくらいは茶飯事だしさ。こうやってお風呂入って休めば大丈夫だ」
こずえ「そっかぁ…」
アヤ「今年の撮影もあとは明後日の27日で終わりだな」
こずえ「がんばろうねー、アヤとのシーンが楽しみー」
アヤ「明後日はそんなシーンもあったっけか。うん、楽しみだな」
こずえ「NGはダメだよぉ」
アヤ「分かってるって、今日明日で一緒にセリフ合わせするか」
こずえ「そうだねぇ…」
アヤ「そういやさ、朝枕元にプレゼントあったけど中身は何だったんだ?」
こずえ「あれ?お菓子と髪留めがいっぱいだったよー」
アヤ「そうだったのか。何だろうって思ってたけどさ」
こずえ「あれぇ?アヤからじゃないのー?」
アヤ「あれは違うぞ。本当に良い子にしてたこずえに持ってきてくれたんじゃないかな」
こずえ「えへへー、こずえいい子ー?」
アヤ「ああ、良い子だとアタシは思ってるぞ」
こずえ「ありがとー」
アヤ「(アタシ、いつの間にかこんな温かいプレゼントもらってたんだな)」
こずえ「(ぽかぽかー、アヤといっしょだと毎日がふわふわであったかいよぉ)」
お風呂よりも言葉よりも温かいアヤとこずえに流れる時間がそこにはあった…
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あとがき
飛神宮子です。
年の瀬はなぜか書きたくなる「ようせいさんとおねえさん」改め「ピッコラ・マリオネッタ」ことアヤこずです。
クリスマスといえどアイドルですから、冬休みの時期ですし仕事も立て込んでくることでしょう。
二人が一緒に出る映画…考えてみるとどんな映画なんでしょうかねえ…。
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2018・12・25TUE
飛神宮子
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