5月2日の夕方、とあるアイドルルーム前… |
杏 | 「はあ…まあ勢いで受けたけど気の迷いって怖いね…」 |
コンコン |
杏 | 「もしもーし、誰かいないー?」 |
柚 | 『はーい』 |
杏 | 「お、いた」 |
ガチャっ |
柚 | 「どうぞどうぞっ、その声はやっぱり杏チャンだね」 |
杏 | 「あー、柚だったかー」 |
亜子 | 「柚ちゃん、誰なーん?」 |
柚 | 「杏チャンだよっ、どうぞどうぞ入って入って」 |
杏 | 「お邪魔するねー」 |
亜子 | 「邪魔するんやったら帰ってー」 |
杏 | 「ほんなら帰らしてもらうわ…って違うって。えっ、ここ関西弁の子いた?」 |
亜子 | 「アタシや、亜子ちゃんよ」 |
杏 | 「ああ、亜子もこういう喋りだったか…何だか珍しい組み合わせだね」 |
柚 | 「お互いちょうど待ち合わせだったんだよねっ」 |
亜子 | 「アタシはこれからPちゃんとさくらとイズミンでお祝いしてもらうんよ」 |
杏 | 「お祝い?今日何かあったっけ?」 |
亜子 | 「今日アタシ誕生日なんよ。それでプレゼント用意するって二人とも一度寮に戻ってるん」 |
杏 | 「おー、おめでと亜子」 |
亜子 | 「ありがと、杏ちゃん。楽しみやなあ、何食べさせてもらえるんやろかってね」 |
柚 | 「ところで杏チャンは何しに来たのカナ?」 |
杏 | 「忘れてた…杏のとこの日菜子から亜子に届けてくれってさ。じゃあそういうことか」 |
亜子 | 「届けてくれてありがとうございます。ブエナ二人からもプレゼント貰えるなんて嬉しいわ」 |
杏 | 「まあヒマしてたし、さすがに急いでる様子の人にはいくらだらけてても手は差し伸べるさー」 |
柚 | 「へー、意外だネ」 |
杏 | 「というわけで、杏はここで休ませてもらうよ」 |
亜子 | 「ええっ!?アタシらの部屋でなん!?」 |
杏 | 「きらりがあと1時間もすれば帰ってくるだろうし、迎えに来てもらお………この文面でいいや、ほいっと」 |
柚 | 「さすが、ぐうたらすることには抜け目ないねっ」 |
杏 | 「どっか休めるとこってか横になれるとこあるー?」 |
亜子 | 「今はソファなら開いとるかな。ね、柚ちゃん」 |
柚 | 「そうだね、杏チャンそっちで休んでて」 |
杏 | 「んー」 |
ぼふんっ |
杏 | 「あー、やっぱり薫りが全然違うなぁ…」 |
柚 | 「そうなのかな?そんな風に嗅いだこととかないから分からないっ」 |
杏 | 「好き好んで嗅ぐものじゃないからねー」 |
亜子 | 「せやなあ、そんなの好きで嗅ぐのなんか志希ちゃんくらいやろし」 |
杏 | 「あれはねえ…杏も何回かやられたし」 |
柚 | 「アタシもこの前やられたよ。首元に急に引っ付いて来るんだモン」 |
亜子 | 「そんななんか…うちもさくらがやられた言ってたしな」 |
杏 | 「あれは本人が無意識の行動だって言うからねー、本当のとこは知らないけどさ」 |
柚 | 「そうなんだー」 |
……… |
杏 | 「あーそういえばさっき亜子は聞いたけど、柚の方はどしたん?」 |
柚 | 「アタシ?」 |
杏 | 「人待ちとか言ってたでしょ」 |
柚 | 「それね。アタシはこれから週末のラジオ打ち合わせだよ」 |
杏 | 「まったく仕事熱心だねぇ…」 |
柚 | 「いやあさすがに今週は穂乃香チャンとこと合同放送になっちゃってるからねー」 |
杏 | 「本当にフリスクは仲良いよねえ」 |
柚 | 「一番のユニット仲間だモン。杏チャンにとっては…ハピハピツイン?」 |
杏 | 「まあねー、もうかなり長い付き合いかなー」 |
亜子 | 「杏ちゃんもきらりちゃんもアタシより所属が長いもんなあ」 |
杏 | 「これでも一応は初期メンだからね…あれ?柚もそうじゃないっけ?」 |
柚 | 「アタシは実は違うぞー」 |
亜子 | 「え、せやったん。フリスクで初期メンじゃないの忍ちゃんだけやと思ってたわ」 |
柚 | 「アタシは最初のイベントの時のスカウト組だモン。だからあずきチャン達とはそんなに差はないけどネ」 |
杏 | 「あー、あのクリスマスの時の面子かー」 |
柚 | 「うん。アタシと美優サンと桃華チャン、あとイヴさんと聖チャンと雪菜サンだよ」 |
亜子 | 「なかなか濃い人達やなあ…」 |
杏 | 「それは言える。特にイヴのスカウト話聞いたときは驚いたもんだよ」 |
柚 | 「身ぐるみ剥がされてとかネー」 |
亜子 | 「それをスカウトしてくるプロデューサーも大概やな」 |
杏 | 「まあこの事務所のプロデューサーだし」 |
柚 | 「それで話が済んじゃうよネ…」 |
亜子 | 「そうやな…」 |
……… |
数十分後… |
杏 | 「お、そろそろこっちきらりが来るなー」 |
亜子 | 「そうなんや、アタシもそろそろかな。誕生日プレゼント楽しみやなあ」 |
柚 | 「プレゼントいいなあ…ってそういえば亜子チャン、今日2日が誕生日だよね」 |
亜子 | 「今日の日付がそうやからね」 |
柚 | 「アタシも2日なんだぞー」 |
杏 | 「え?」 |
柚 | 「アタシの誕生日、12月の2日だモン」 |
亜子 | 「ああ、そういうことやったんか。ビックリしたー、同じ日じゃないはずなのに、何言いだすんやと思ってたわ」 |
柚 | 「あれ?杏チャンどうしたの?そんな渋い顔してー」 |
杏 | 「…杏もなんだけど」 |
柚・亜子 | 『…ええーっ!?』 |
杏 | 「杏の誕生日、9月の2日だし」 |
柚 | 「3人ともだったのかー」 |
杏 | 「杏はきらりと二人セットで憶えられてるってファンの人に言われたことあるんだよね。きらりが一日前だし」 |
亜子 | 「それならアタシもや。ちょっと親譲りで関西弁になるんやけど、本場の笑美ちゃんが一日前なんよね」 |
柚 | 「アタシは…パッション代表の未央チャンが一日前なくらいカナー」 |
杏 | 「柚は憶えやすいんだかそうじゃないんだかだねぇ」 |
柚 | 「でもアタシも未央チャンも、いつも事務所のイベントで忘れられてる気がするケドっ」 |
杏 | 「確かに時期が悪いねー、周年だからいつもより大規模になるし」 |
亜子 | 「誕生日も周年も動かせるわけやないもんな」 |
柚 | 「ですよねー」 |
杏 | 「それ言うなら杏も、劇場の方の周年が次の日だよ」 |
亜子 | 「アタシはまだマシな方なんやね。アタシの場合はGWの谷間ってだけで事務所関係無いし」 |
柚 | 「でも合間の平日って憂鬱になるからネー」 |
杏 | 「今年なんて1・2だけだからそうとうだねー、杏たちはアイドルだから関係ないけど」 |
柚 | 「杏チャンは明日からお仕事?」 |
杏 | 「6日以外全部入れられた。うちのプロデューサー酷いと思わない?こんなか弱い乙女を酷使するなんて」 |
亜子 | 「そういう稼業やから仕方ないよなあ…アタシは4・6が仕事やな。5は休みやけどここ来るには来るし」 |
柚 | 「アタシは4日がお休みだったカナ。亜子ちゃん5日って…あ、ホワイトボードに書いてあるアレ?」 |
杏 | 「ん?何か書いて…えっと…メガネマーク書いてあるけどあれ何なの?」 |
亜子 | 「春菜ちゃん主催の集まりなんよ。メガネアイドルメンバーの活動報告会を定期的にやってるん」 |
杏 | 「あー、春菜が嬉々としてやりそう」 |
亜子 | 「お遊びやけど、春菜ちゃんのとこのPちゃん公認やからね…グラスフルにも結局メガネ組全員巻き込まれとるし」 |
柚 | 「亜子チャンも苦労してるんだネ…」 |
亜子 | 「でもいい気分転換にはなるんよ。たまにしか集まれない面々やし」 |
杏 | 「亜子が楽しんでるんならいいけどねー。杏はそういうメドいのはパスだけどー」 |
柚 | 「杏チャンらしいねっ」 |
三人の笑い声が響く、そんな5月2日のとある一室なのであった… |