これは夏休みのことなんだけどね…あたし、三好紗南はちょっとした取材と撮影の後に… |
紗南 | 「えっ…!?むぐぅっ…んんっ!」 |
気を失ったあたし…そして気が付いた時には変な部屋の中にいたんだ。 |
紗南 | 「ここは…どこ…?」 |
謎の声 | 『…聞こえるかね、三好くん』 |
紗南 | 「うええっ!?何この声っ!?」 |
謎の声 | 『君にはここで一つのクイズにチャレンジしてもらう』 |
突然の展開でワケが分からないよ… |
謎の声 | 『君はそのクイズに答えられなければここから脱出することはできない』 |
紗南 | 「…そんなっ!」 |
謎の声 | 『簡単なものさ。君の眼には丸い長い壁の他に斜めに二つの壁が映っているだろう、そこにいる人を二人を答えてもらおう』 |
紗南 | 「この両側にもあたしと同じようにいるんだね?」 |
謎の声 | 『そうなる、君ととある共通点を持つ二人だ。ただ音は相手には伝わらないようになっている』 |
紗南 | 「じゃあどうやって…」 |
謎の声 | 『君が起きている時間、4時間毎にヒントを与える。そのヒントを元にして2日以内に出られなかった場合…』 |
紗南 | 「出られなかったら…?」 |
謎の声 | 『来月の君の大切なお仕事は別のアイドルへと回すことにする』 |
紗南 | 「来月…って!!!大好きなゲームの!!!」 |
これってもしかして…そうとうピンチ!? |
謎の声 | 『なお、解答はヒント毎に1回までとする。所属アイドルのデータは最初のヒントとともに提供する』 |
紗南 | 「う、うん…あっ!!食事とかはどうすればっ!」 |
謎の声 | 『衣食住に関しては保障する。君のゲーム機の一部を寮で同室の江上くん(※現在は別室)に依頼してこちらへ移動してもらった』 |
よくよく見回したらそこにあるゲーム機とか全部あたしのだったよ… |
謎の声 | 『解答は記入の上で丸い壁の方に見せてもらえれば良い。さあ、三好くんの検討を祈る』 |
ブツッ |
放送がそこで途切れて、天井から2枚の紙と1冊の本が落ちてきたよ。 |
紗南 | 「えっと、なになに…『ヒント1 3人とも違う属性』…ってこんなんだけじゃ分からないよー!」 |
他に落ちてきたのは記入する紙とアイドル一覧の本だったみたい。 |
紗南 | 「共通点かあ…でもパッションじゃないんだよね…」 |
あたしはとりあえず一覧の本を眺めてみた。 |
紗南 | 「キュート、クールであたしと共通点があるのって……」 |
とりあえず思いつく名前を書くことにした。 |
紗南 | 「えっと…1人目が…2人目は…理由は…よしっと。それで壁の方だっけ」 |
あたしは紙を壁の方に見せた。まあこんなんじゃ結果は案の定はずれだったけどね。 |
紗南 | 「うーん、やっぱりゲーム好きの杏さんとありすちゃんじゃないか」 |
そこで再び放送が流れてきたよ。 |
謎の声 | 『言い忘れていたが、次のヒントの時に他の二人の解答の一部も一緒に渡そう。参考にするといい』 |
紗南 | 「おおっ、それはいいねっ。今日中に解いてみせるっ!」 |
……… |
一方その頃、他の部屋では… |
かな子 | 「えーっ、違うんだあ」 |
何か分からず連れて来られて…私どうなっちゃうんだろう…。 |
かな子 | 「シンデレラプロジェクトで一緒だった子じゃないのかなあ…」 |
杏ちゃん、智絵里ちゃんと別れた直後に…気が付いたらここにいたんだよね。 |
かな子 | 「次のヒントまで…そうだ、お菓子でも作ろうっ」 |
さっき放送で聞かされたんだけど、生活する分には困らないって言われたんだっけ。 |
かな子 | 「材料は…冷蔵庫と戸棚にたっぷりあるから、次のヒントまでに作ろうっと」 |
でもやっぱり不安なんだよね… |
かな子 | 「大事なお仕事がやれなくなるのは嫌だもん、頑張らなくっちゃ」 |
|
もう一部屋では… |
美優 | 「これではないのですね…」 |
ここに来たのは仁奈ちゃんのことを夏休みで両親へ見送った後で… |
美優 | 「成人されている方ではないんでしょうか…難しそうです…」 |
どうしてこんなことに巻き込まれたのか…今でも不安で… |
美優 | 「あ、アロマディフューザーも持ってきていただいていたんですね…」 |
こういう時は…落ち着くのが一番でしょうか。 |
美優 | 「とりあえずは…これで状況を整理した方が良さそうです…」 |
……… |
部屋は戻って紗南の部屋。 |
紗南 | 「あーっ、やられたっ!」 |
床に寝転がってゲームしてたけど、ちょっと退屈になってきちゃった。 |
紗南 | 「んー、そろそろかな?」 |
ふと天井を見上げると、そこがパカって開いて紙が落ちてきたよ。やっぱりそろそろだったかあ… |
紗南 | 「うん、えっと…『ヒント2 一人は成人でもう一人は未成年』…あんまり絞られてないよねこれ」 |
それと他の2人が書いた答えは… |
紗南 | 「えっと一人は蘭子ちゃんでもう一人は友紀さんかあ…何繋がりかな?」 |
よく分からないけど、なんとなーく見えて来たよ。 |
紗南 | 「何かで繋がっている人だから…」 |
とりあえず思い浮かんだ二人を書いてっと |
紗南 | 「よし、今回は清良さんと晴ちゃんにしとこ。四国繋がりじゃないかな」 |
あたしは紙を壁の方に見せた。まあこんなんじゃ結果はまたはずれだったけどね。 |
紗南 | 「またかー。ご飯でも食べてゆっくり考えよ」 |
謎の声 | 『三好くん』 |
紗南 | 「うわあっ!びっくりしたなあ」 |
謎の声 | 『2度不正解だったので特別にヒントを与えよう。この後も2回ごとだ』 |
紗南 | 「え?それってあたしだけにってこと?」 |
謎の声 | 『それぞれ別々の質問に答えることになろう。直接的なものには当然ながら答えられない』 |
紗南 | 「うう…じゃあ…直接的じゃないのだと…」 |
…これならいけるかな。直接的とは言えないよね。 |
紗南 | 「よしっ、じゃあ聞くよ!フルネームの文字数だけ教えてっ」 |
謎の声 | 『…よかろう。一人は5文字、もう一人は6文字だ。では検討を祈る』 |
紗南 | 「5文字も6文字も一人ずつ…成人も未成年も一人ずつ…ちょっと賭けに出てみようかな」 |
あたしは5文字でとある賭けに出てみることにしたよ。 |
……… |
一方その頃、他の部屋では… |
かな子 | 「マッスルキャッスルでもないんだぁ…」 |
あれだけじゃ絞られてないよぉ… |
謎の声 | 『三村くん』 |
かな子 | 「ふえぇっ!?」 |
謎の声 | 『2度不正解だったので特別にヒントを与えよう。この後も2回ごとだ』 |
かな子 | 「それって私にだけにってことですか?」 |
謎の声 | 『それぞれ別々の質問に答えることになろう。直接的なものには当然ながら答えられない』 |
かな子 | 「直接的な物…じゃないのだと…あの、出身エリアとかはダメですか?」 |
謎の声 | 『それは次のヒントとなるのだが?一つヒントが無駄になるぞ』 |
かな子 | 「え、えっとじゃあ…」 |
…じゃあこれならいけるかな。直接的とは言えないと思うけど。 |
かな子 | 「あの、仲の良い人って聞いてもいいですか?」 |
謎の声 | 『…そうだな。君で言う十時くんの関係であれば、片方は小関くん、もう片方は和久井くんである。では検討を祈る』 |
かな子 | 「麗奈ちゃんと留美さんってことだよね…たぶん成人している方が留美さんだよね…」 |
あれっ…?私でいう愛梨さんってことは…もしかして! |
かな子 | 「麗奈ちゃんって確かこの辺の子達と…」 |
私、答え見つけちゃったかも。でもせっかくだから… |
かな子 | 「脱出できた時のために二人にお菓子作ってあげようかな」 |
ちょっと考えるのを中断して、また台所に向かうことにしました。 |
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もう一部屋では… |
美優 | 「名前が「美○」っていうことでもないですか…」 |
理由も違うということはそうですよね… |
謎の声 | 『三船くん』 |
美優 | 「…はい」 |
謎の声 | 『2度不正解だったので特別にヒントを与えよう。この後も2回ごとだ』 |
美優 | 「それは私にだけということでしょうか?」 |
謎の声 | 『それぞれ別々の質問に答えることになろう。直接的なものには当然ながら答えられない』 |
どうしたら…あ、でもひとつだけ気になったことが… |
美優 | 「あの…いいでしょうか。私たち三人以外にはこの関係になるアイドルの方は居ないのでしょうか…」 |
謎の声 | 『…そうきたか。この事務所には君たち三人のみだが、765プロダクションにも君と同じように成人で一人いる。では検討を祈る』 |
美優 | 「765プロに一人…?前にお酒を飲む席で近くに765の方が…あの時にいたのは…」 |
あちらの方はお若い人が多くて、確か飲まれるアイドルの方は… |
美優 | 「確か事務員の女性の方を入れて七人…名前を思い出してみれば…!」 |
少しだけ光明が見えた気がしました… |
……… |
紗南 | 「そろそろお風呂も入りたいなあ…」 |
ゲームもやり飽きちゃったし、そろそろかな…って思ってたら落ちてきたよ。 |
紗南 | 「『ヒント3 二人の出身エリア:東京と北東エリア』…かあ」 |
さっきのリストと照らし合わせてみようっと。さっきの賭けっていうのは成人の方が5文字ってことなんだ。 |
紗南 | 「さっきリストアップしといて正解だったなぁ」 |
比奈さんに美世さん違う、優さんも亜季さんも違う、真奈美さんもはぁとさんも留美さんも違う。 |
紗南 | 「ってことは、賭けの通りにいけば片方は美優さんだ!」 |
三船美優さんってとりあえず記入しとこうっと。 |
紗南 | 「…書き易いって思ったけど美優さんもあたしと同じ『三』から始まるのかあ」 |
もう一人はじゃあ…北東の成人のクールの逆だから… |
紗南 | 「キュートの中で……………ここにいたっ!」 |
あたしはもう確信して答えを書いたよ。 |
紗南 | 「これでどうだっ!」 |
あたしの耳に聞こえてきたのは、とあるゲームのクリア音だった。そして斜めの壁の片方が回転したんだっ。 |
紗南 | 「あっ!扉が、凄い仕掛けっ!」 |
謎の声 | 『おめでとう三好くん。もうここから脱出してもらって構わない』 |
紗南 | 「うんっ…あ、ゲーム機はどうしよう」 |
謎の声 | 『すぐにやりたいのであれば持ち帰ってもらっていい。その他はこちらが責任をもって移動する』 |
紗南 | 「携帯機ばっかりだし持ち帰ろっかな、うん。楽しかったよー!」 |
脱出成功っ!ゲームって楽しいよねっ |
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……… |
一方その頃、他の部屋では… |
かな子 | 「『ヒント3 二人の出身エリア:北東エリアと西エリア』…だね」 |
留美さんから導いたもの、それが何となくだったのが… |
かな子 | 「やっぱり…美優さんは岩手県だし留美さんとはよく話してるし…それで合ってたんだ」 |
三船美優さんってまずは記入しとかないとね。 |
かな子 | 「そうなると麗奈ちゃんだから麗奈ちゃんのプロデューサーさんの人達みんな仲良いって聞くけども…」 |
あれ?でも…私と美優さんとの共通点って…? |
かな子 | 「…………あーっ!!」 |
単純なことだったんだね…うー、ここまで気が付かなかったなんて私のバカバカぁっ… |
かな子 | 「これ…ですよね」 |
私の書いた答え、それに呼応するように斜めの壁の片方が回転しました。 |
かな子 | 「あっ!扉が、こんなところに出てくるなんて…」 |
謎の声 | 『おめでとう三村くん。もうここから脱出してもらって構わない』 |
かな子 | 「はいっ、あの二人は…」 |
謎の声 | 『出れば外に繋がる道がある。クリアしていればいるはずだ』 |
かな子 | 「作ったものも持って行っても?」 |
謎の声 | 『好きにするが良い』 |
かな子 | 「ありがとうございます」 |
もうこんなのこりごりです… |
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もう一部屋では… |
美優 | 「『ヒント3 二人の出身エリア:東京と西エリア』…ですね」 |
私はあの日に一緒に飲んだ方々を何とか思い出したそのリストと… |
美優 | 「北上さん、馬場さん、豊川さん、百瀬さん、二階堂さん、三浦さん、それと事務員と言われていた音無さん…」 |
東京で候補になるアイドルの子を見比べてみました。 |
美優 | 「みりあちゃん、晶葉ちゃん、琴歌ちゃん、卯月ちゃん、藍子ちゃん、雅ちゃん、有香ちゃん、かな子ちゃん、きらりちゃん…」 |
この両方と私に共通項のある人…見てると何か引っ掛かるのだけれど…今度は西の方だとどうなのでしょう… |
美優 | 「………やっぱり何か引っ掛かります」 |
もう一度復唱してみましょう。 |
美優 | 「北上麗花さん……三浦あずささん………赤城みりあちゃん……三村かな子ちゃん……三船美優……」 |
さっきは苗字を言わなかったから……!ということは西の方は…あの子……! |
解答を紙に書いた途端、壁の一部が突然動き出して扉が現れました…扉が開いてそこにあったのは… |
ガラガラガラガラ |
紗南・かな子 | 『美優さーん!』 |
美優 | 「紗南ちゃん……かな子ちゃん……」 |
こちらに駆け寄って抱きつきに来た二人の姿でした… |