PiPiPiPiPiPi…♪ |
寮のとある部屋、目覚まし時計の電子音が鳴り響く。 |
パチッ |
それを止める一人の少女。 |
悠貴 | 「ん、んーっ…!」 |
歳の割りに少し大きめな身体を伸ばして一伸び。 |
悠貴 | 「ふわぁ…朝かあ…」 |
ベッドから出ようとしたところで朝の寒さに身を震わせてしまう。 |
悠貴 | 「ちょっと寒いから、温かくしてです…ね」 |
その少女はそのまま歩いて隣の部屋にいる同居人の許へと向かった。 |
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ゆさゆさゆさ |
悠貴 | 「起きてくださーい、朝ですよー」 |
布団に包まっている身体を揺らしながら呼びかけるその少女。 |
真尋 | 「ん?んんーっ…ふわぁぁっ…」 |
悠貴 | 「おはようございます、真尋さん」 |
真尋 | 「えっとメガネメガネ…」 |
悠貴 | 「はい、どうぞ」 |
真尋 | 「ありがとっ、悠貴ちゃん」 |
悠貴 | 「今日はちょっと寒いみたいなんで、長袖の方が良いかもですっ」 |
真尋 | 「寒いならよく筋伸ばしてから走らないとね」 |
悠貴 | 「今からだと…んー…40分くらい行けそうですね」 |
真尋 | 「走ったらシャワー浴びて朝ご飯食べて準備して学校だねっ」 |
悠貴 | 「はいっ、行きましょうっ!」 |
真尋 | 「よっし、じゃあ起き上がって着替えよっと」 |
悠貴 | 「私も着替えてきますね」 |
真尋 | 「また洗濯は一緒でいいよね?」 |
悠貴 | 「そうですね。籠の中のと一緒に今度の休みにでも洗濯しましょう」 |
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ここは寮の玄関… |
真尋 | 「おはようございまーす」 |
悠貴 | 「おはようございますっ」 |
寮監 | 「おう、いつもの二人か。おはよう北川さん、乙倉さん」 |
悠貴 | 「鍵はもう開いてますか?」 |
寮監 | 「ちょうどさっき開けたところさ。また朝からランニングかい?」 |
悠貴 | 「もうこれがないと逆にスッキリしませんもんね、真尋さん」 |
真尋 | 「そうだね、走らないと一日が始まった気がしないっ」 |
寮監 | 「それじゃ、気を付けて行ってらっしゃい」 |
真尋・悠貴 | 『行ってきまーす』 |
ランニングシューズを履いた二人が玄関から飛び出していく。 |
寮監 | 「元気だねえ、みんながみんなそういうわけでもないけどなぁ」 |
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タッタッタッタッ ザッザッザッザッ |
事務所近くを併走していく真尋と悠貴。 |
真尋 | 「もうこの時間は寒くなってきちゃったね」 |
悠貴 | 「はい。今週東京でも雪が降るかもってテレビで言ってましたよ」 |
真尋 | 「そうなんだ、そうなったらどうする?」 |
悠貴 | 「できれば毎日走りたいですけど、でももし降ったら学校行くのも大変そうですよね」 |
真尋 | 「雪だと部活の夕練が中になっちゃうしなあ、走り足りなくなっちゃうんだよね」 |
悠貴 | 「それなら時間は夕方とかになっちゃいますけど、事務所のトレーニングルームで一緒にやりますか?」 |
真尋 | 「本当はそれが朝に開いてればいいんだけどね」 |
悠貴 | 「アハハっ、そうですよね」 |
二人が事務所の門に差しかかったところで… |
P | 「あれ?真尋に悠貴じゃないか」 |
真尋 | 「プロデューサーさん!?」 |
悠貴 | 「こんな時間にどうしたんですか?プロデューサーさん」 |
そこにいたのは二人も担当されているプロデューサーであった。 |
P | 「深夜にセクシーボンデージの参加した収録があってな、今送ってきて車止めてきたところなんだ」 |
真尋 | 「あれ?でも菜帆ちゃんとか保奈美ちゃんって寮にいなかったっけ?」 |
悠貴 | 「いましたね、昨日のお風呂で見ましたし」 |
P | 「今回は深夜帯だから…んーっ!高校生組は出せなかったんだよ」 |
真尋 | 「なるほどねー」 |
P | 「それでお前達こそこんな時間から走ってたのか?」 |
悠貴 | 「体力作りと部活のためですけどね、真尋さん」 |
真尋 | 「もう生活のリズムの一つになっちゃってるよね」 |
P | 「あと時間はどれくらい大丈夫だ?」 |
悠貴 | 「あと…30分くらいですね」 |
P | 「それならちょっとそこのコンビニまで一緒に行くか。朝ご飯も買いたいしさ」 |
真尋 | 「一緒に?いいよね、悠貴ちゃん」 |
悠貴 | 「そうですね、行きましょう」 |
P | 「ま、伝えたいこともあったしここで会えてちょうど良かったよ」 |
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コンビニへ走って一往復してきた三人。 |
P | 「はい、真尋のはこれだよな」 |
真尋 | 「ありがとっ!」 |
P | 「それで悠貴のはこれだな」 |
悠貴 | 「はいっ、ありがとうございます」 |
真尋 | 「そういえばさっきの話って何だったの?」 |
P | 「ああ、今日の夕方だけど二人とも大丈夫か?」 |
真尋 | 「私は5時半くらいなら大丈夫かな。悠貴ちゃんは?」 |
悠貴 | 「私は5時くらいには寮に戻ってこれると思うので、それからなら大丈夫です」 |
P | 「それなら17時半に俺のプロデューサールームの方に来てもらえるかな」 |
真尋・悠貴 | 『はいっ』 |
……… |
夜のとあるプロデューサールーム… |
P | 「真尋にはもう話したのか?」 |
悠貴 | 「はい。プロデューサーさんから聞いた当日に話しました」 |
真尋 | 「あの話だよね?」 |
P | 「まだ秘密裏に動いているプロジェクトだからさ、伝わっているのなら話は早い」 |
真尋 | 「あれ?じゃあ他には私くらいしか知らないってことなの?」 |
P | 「悠貴は他に伝えた人とかいるか?」 |
悠貴 | 「いないです。真尋さんに伝えたのは寮でも同じ部屋ですから」 |
P | 「真尋だけならいいんだ。同じユニットでもあるからな」 |
真尋 | 「私も口は堅いほうだからね」 |
P | 「今月末の発表まではとりあえず秘密で頼む」 |
真尋 | 「分かったよプロデューサーさん」 |
P | 「これからそういうことになるから、しばらくは別々の活動になることが多くなると思う」 |
悠貴 | 「そうですか…」 |
真尋 | 「大丈夫っ、私にはグラスフルもあるもんっ。頑張ってよ悠貴ちゃん、応援してるからねっ」 |
悠貴 | 「真尋さん…はいっ、ありがとうございます!」 |
真尋 | 「辛いことがあったら、愚痴でもいいからいつでも聞いてあげるよ」 |
悠貴 | 「…頑張ります、真尋さん」 |
P | 「よし、あ…そうだ。真尋は来週からロワイヤルの準メイン枠頼むぞ」 |
真尋 | 「うん、もう準備バッチリだよ!」 |
真尋のその表情に自分も応えなきゃと思った悠貴なのであった… |