Who has the Same Birthday? 2(1/366の同じコト〔2〕)

ここはとあるアイドルルーム…
亜子「はぁ…何で今年に限ってうるう年なんやろね…」
「世界的な取り決めだから仕方ないだろうよ」
亜子「だけどプロデューサーちゃんも心の中ではそう思ってるやろ?」
「去年が土曜日で2日から5連休だったから今年も普通の年なら1日から5連休だったもんな」
亜子「そうじゃないて…分かって言っているんやろ?」
「分かってるさ。亜子の誕生日だろ」
亜子「まあ…そうなんやけど。今年も5連休なら実家帰ってたんやけどなあ」
「去年はちょうど3人で帰ってたよな」
亜子「5連休だったし、久しぶりに地元の友達にも会いたくてな」
「遠くの子はよほど遠い子とかこっちに居たい子以外は、割とみんな実家に帰ってたからね」
亜子「プロデューサーちゃんは?」
「その帰ってない子とかの仕事だってあるんだぞ」
亜子「まあそうなるやろなあ。でもアタシは向こうで地元の友達にも祝ってもらえたから良かったわ」
「今年は?…ってそういえば何で今いるんだ?学校は?」
今は5月2日の13時過ぎ。世間で言えば平日の午後である。
亜子「プロデューサーちゃん忘れてるん?アタシ達の授業参観に来てもらったの」
「あー、この前の土曜日のか」
亜子「今日はその振り替えで休みなん。ホント言うとアタシは今年も5連休だったんよ」
「じゃあ最初の嘆きは何だったんだよ…」
亜子「だってここ来ても、同世代の子はほとんどみんな学校やんか」
「そういう意味でだったのか…って泉とさくらは?昨日から見てないけど」
亜子「参観の後の夕方の新幹線で実家帰ったで。4日か5日に戻るとか言ってたわ」
「次は木曜日ってそういうことだったんか。でも亜子は一緒じゃなくて良かったのか?」
亜子「約束…しとったやんか、プロデューサーちゃんと」
「亜子…それくらいだったらいくらでも予定変えてもらっても良かったんだぞ」
亜子「嫌や。ここは意地を通させてもらう」
「家族とじゃなくて良かったのか?せっかくの長い休みなのに」
亜子「アタシにとっては、プロデューサーちゃんも大切な人やもん。去年は家族とやったから今年はこっちでな」
「全くさ…昨日は一緒に名古屋だったっていうのに疲れてないのか?」
亜子「ふひひ、これもまだ若い証拠なんや。それくらいは一晩寝たらスッキリするもんだし」
「まあいいか。えっと今日はまた夕方だな」
亜子「もうプロデューサーちゃんもこんな日くらい休み貰えば良かったのに」
「だから言っただろ、他のユニットだってあるんだからさ」
亜子「まあ今日はここでゆっくりさせてもらうわ」
「世間話くらいは聞いてやるよ」
亜子「ありがと。他の子が来るまでやな」
「でも本当に今年は誕生日が平日だなんてね」
亜子「6日と違ってこの2日は本当に土日にならないと休みにならないから邪魔者扱いやもんね」
「確かに今年みたいに飛び石になると特にな。オセロゲームみたいにひっくり返して欲しい」
亜子「まあでもアタシはこうしてプロデューサーちゃんと一緒に食事行けるからいいけど」
「まったく、ちゃっかりしてるよ亜子もさ」
亜子「だって前に運命だって言ってたやん。こんな可愛い子と同じ誕生日なんて幸せもんやろ?」
「それは…まあ否定しないけどな。一人寂しく祝うことも無くなったし」
亜子「それにしても何計算しとるん?」
「9月にやるライブの旅程と移動費だよ。ほらディテヴァとファインダーが両方一緒だからさ」
亜子「アタシらのはー?」
「それは7月末だろ。特に亜子たちだけは中学生だから長期休暇じゃないとまとまった時間は取れないからな」
亜子「まあアタシはグラスフルでも歌ってるからいいけどなー」
「さくらと泉のためにももう少し機会を増やしてやりたいとは思っているんだけどね」
亜子「そこはプロデューサーちゃんに任せるわ。でももう場所は押さえてるんやろ?」
「ハコは何ヶ月も前に取らないとだしな」
亜子「それに合わせればええんやないの?」
「いやお金に関しては予算は派手に使わないようにって言われてるんだよ」
亜子「まあそうやろなあ。ちひろさんがちゃんと管理してるからこそやもん」
「でも安全も考えるとある程度の出費は避けられないしな」
亜子「なあプロデューサーちゃん、ここ新幹線より飛行機の方が安いんと違う?」
「そうか?」
亜子「9月ならまだ一番安くなる割引使えるくらいやろ」
「そうか、無理に新幹線使う必要も無いか。人数が人数だから割引効くとかでもないし」
亜子「そうすれば多少時間も余裕出るかもしれんね。ここ空港も割と近いはずやもん」
………
数時間後…
「よし、仕事も粗方片は付いたしアイドルも帰したからこれで終わりでいいな。亜子、行くぞー」
亜子「もう大丈夫なんか、うんっ行こうっ!」
「まあ一昨年と同じホテルのレストランバイキングだけどな」
亜子「アタシはそれで満足だからいいの」
 
その某ホテルのレストランバイキング…
「俺もここに来たのは去年のさくらの誕生日以来だな」
亜子「いずみんもさくらも行ったって聞いたな」
「まず亜子が二人に行ったって話したんだろ?」
亜子「あー、あれやっぱりまずかったん?」
「それから結構二人にせがまれたんだよ。亜子にばっかり良い想いさせるなんてってさ」
亜子「というかアタシとプロデューサーちゃんが同じ誕生日だからやったのになー」
「俺のお祝い用に来てたことまでは話さなかったんだな?」
亜子「あっ…でも同じ誕生日やってのは話したんだけどな」
「だけど連れて行ってもらったことしか話さなかったと」
亜子「その話は済んだ事なんやからもうええやん」
「まあな。でも今日のことは内緒にしてもらおうかな」
亜子「分かってる分かってる。アタシだって二度同じ間違いはしないて」
「でも一緒に実家に戻らなかったところで、ある程度はバレてるかもしれないけど」
亜子「二人には一緒に食事するとは言ってあるから、これくらいは問題ないわ」
「…やっぱりこれで終わりだと思ってたか」
亜子「へっ…何かするんか?」
「寮の門限は確か…20時だよな」
亜子「アタシら中学生はそうやな」
「よしそれなら7時ちょっと前くらいにここを出れば行ける」
亜子「何かよく分からないけど、まあええか」
………
亜子「うわ…隣のビルはこんな夜景が見られたんか…」
食事の後に二人は隣のビルの展望室へと移動していた。
「一昨年は時間が無くて見せられなかったからさ」
亜子「こういう景色は替え難いものがあるわ…」
「それから、はい。そんなに高級なものじゃないけど誕生日プレゼントな」
亜子「あ、ありがとうな。中身は何なん?」
「どういたしまして。ああそれは開けてみてからのお楽しみでいいか?」
亜子「ん、寮に帰ってから開けてみるわ。せやったらアタシからも、プロデューサーちゃんにプレゼントやで」
「亜子も用意しててくれたのか。こういうの人から貰うの久しぶりだから嬉しいな」
亜子「こっちも中身は見てからのお楽しみってことでな」
「了解。ありがとう亜子」
亜子「どーいたしましてっと。それにしてもホンマに綺麗やなあ」
「戻る予定の時間までもう少しだけあるからそれまでは一緒に…ね」
亜子「うん……」
後にプレゼントされたヘアピンと小銭入れを偶然同じ日に持って来て驚いたのを、泉だけは見逃していなかったという…
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あとがき
飛神宮子です。
二年ぶりの自分の誕生日SSです。月末Rが来たのも記念していますが。
同じだから好きになるっていうのも一つの形、私にとってはまさにこの子はそれでした。
HAPPY BIRTHDAY!! Ako TSUCHIYA and Me.
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2016・05・02MON
飛神宮子
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