16 Times of Pleasure(楽しさ16倍)

ある日の事務所玄関ホールでのこと…
春菜「あれ?珍しいですね。加蓮ちゃん一人ですか」
加蓮「さっきまで奈緒が居たんだけど、急に取材が入ったみたい」
春菜「そうですか」
加蓮「ところで春菜は暇?」
春菜「今日の事務所の方の眼鏡メンテナンスも一通り終わったんでとりあえずは」
加蓮「春菜ってそんなこともしてるの!?」
春菜「好評頂いてますよ。最近はグラスフルワールド関係でグッズも発売したくらいですから!」
加蓮「眼鏡にどれだけ魂売っているの…」
春菜「眼鏡は私の命ですから仕方ないんです。それで暇は暇ですけど…」
加蓮「それならさー、付き合ってくんない?」
春菜「へ?」
加蓮「春菜はお昼ご飯食べた?」
春菜「いえ、まだですけど」
加蓮「それなら行こうよーハンバーガーとか食べにー」
春菜「私とですか?」
加蓮「奈緒と行くつもりだったんだけど、取材で行けなくなっちゃってさー」
春菜「それなら凛ちゃんとかは」
加蓮「ここまで来て戻るの面倒だし、わざわざ来て貰うのはね」
春菜「そこで座って暇していた私に目をつけたと」
加蓮「それでどう?」
春菜「いいでしょう。私も3時のミーティングまでは時間ありますので」
加蓮「よしっ、連れをかーくほっと。誰か一緒じゃないとつまんないもん」
春菜「仕方ないですね、行きましょうか」
………
ファーストフード店で注文も終えてトレーを持って席を探す二人。
加蓮「まだ混んでたかー。昼時過ぎたけど休日だしねー」
春菜「そうですね。あ、そこの隣空くみたいですよ」
加蓮「そこでいっか。この分だと座れるだけ良い方みたいだし」
二人はちょうど空いた二人席についた。
加蓮「先に席確保しとけば良かったかな」
春菜「これだけ混んでると交互に行った方が良かったかもしれませんね」
加蓮「ま、食べよっか」
春菜「はい…いただきます」
加蓮「いただきまーす。あーんっ…んまー」
春菜「よく言われてますけど、本当に加蓮ちゃんってポテト好きなんですね」
加蓮「まーもう好き過ぎて専用の無料券貰ったくらいだしねー」
春菜「いいなあ…私なんかそういうのは」
加蓮「春菜の場合、眼鏡みたいに高いのはコラボがいいところじゃない?」
春菜「コラボさせて頂いたのが幾つかありますけど…」
ツンツン ツンツン
春菜「…んっ?」
何やら隣の二人席に一人で座る女性に突かれる春菜。
加蓮「どうしたの?春菜」
春菜「ちょっと何で…あっ…こんにちは」
加蓮「え?何でそっちに…って!?」
その隣の女性の正体に二人はようやく気が付いた。
??「こんにちはー加蓮ちゃん、春菜ちゃん」
加蓮「こんにちは、こんな所で見るなんて珍しいね」
??「いえ、私もたまに来たい時は来ますから」
春菜「茄子さん最初から気付いていたなら、座った時に言ってくれれば良かったじゃないですか」
茄子「はーい、ナスじゃなくてカコですよー」
加蓮「どうりでアタシ達がすぐに座れたわけだ」
春菜「これも幸運ですか…さすがですね」
茄子「そんなことないですよ。皆さんの日頃の行いが良かったからです」
加蓮「茄子さんがそう言うなら、そういうことにしとこっか」
春菜「ところで茄子さんは今日はオフですか?」
茄子「いえー、今日は夜にお仕事なのでここで軽く食べてから行こうかと」
加蓮「そうなんだ。茄子さんみたいに大人だと夜の収録とかもあるんだね」
茄子「はい。ちょっと夜のお仕事は家が心配になりますけど」
春菜「へ?それってどういうことですか…?」
加蓮「あ…何か聞いたことがあるかも。ねえ茄子さん。これは噂で聞いたけどー」
茄子「はいー?」
加蓮「あ、やっぱりこれは事務所での方が良いかな。ここに下手に記者とか張り込んでたら問題になるし」
春菜「そういう系の話なんですね」
加蓮「本当は揚げたてのまま食べたかったけどねー。茄子さん、テイクアウトしても大丈夫?」
茄子「構いませんよー」
加蓮「それならテイクアウト用の紙袋を貰ってくるね。事務所のガーデンのベンチで食べよっ」
………
ここは事務所のベンチ…
茄子「それで加蓮ちゃん、お話ってなんでしょう?」
加蓮「あー、うん。茄子さんってさー、他のアイドルと一緒に住んでるって本当?」
春菜「えっ、そんな話が出てるんですか!?初めて聞いたかもしれないです」
加蓮「春菜はあまりそういう話を聞きそうに無いもんね…あむっ…やっぱりちょっとしなっちゃったー。新しい方食べよっかなー」
茄子「その話ですかー。事務所で噂になっていたんですねー」
春菜「それで真相はどうなの?…って新しいの買ってたんですか!?加蓮ちゃん」
茄子「言ってしまえば…どっちであって欲しいです?」
加蓮「それはもちろんそういうの気になるしー、もしそうだったらどういう事情でそうなったかも聞いてみたいなー」
春菜「これは私もぜひ聞きたいです。メガネ以外でワクワクするのも久しぶりです」
茄子「それなら二人にだけ真相を教えます。とは言っても、朋さんと芳乃ちゃんは知っているんですけどねー」
加蓮「ということは、茄子さんが誰かと一緒に住んでいるっていうのは本当なんだ」
茄子「はい…実はその…今はほたるちゃんと…住んでいまして
加蓮「やっぱりー!そのままストレートだったー」
春菜「えっえっ、それってどういう?」
加蓮「ほたるちゃんの不運さが今年の正月くらいを境にして徐々に小さくなってってるって聞いてたんだ」
春菜「あー!それって前にマキノさんが調査しないとと言ってた件です!ちょっと小耳に挟んでました」
茄子「元から私とほたるちゃんはデュオでしたから、そのバレることはないと思っていたのですけど…」
加蓮「茄子さんとデュオを組んでいるだけの時はまだそんな変わってなかったね…はむっ…」
春菜「言われてみれば前よりもほたるちゃんの表情がずっと明るくなった感じがします」
茄子「これは秘密ですからね…加蓮ちゃんに話したら広まる気がしてならないですけれど」
加蓮「アタシこれでも義理と口は固い方だよ。面白いことには首突っ込むけど、そういうのは守るからさー」
春菜「むしろ私の方が危ないかもしれないですね。マキノさんに聞かれたら言っちゃいそうかもですし…」
加蓮「というかさっきのちょっと気になってるんだけど、何で朋と芳乃だけ知ってるの?」
茄子「あっ…」
春菜「あれ?これはもしかして…そちらもですか?茄子さん」
茄子「今は二人とも寮ですけど、もし朋さんが寮を出たらとは聞いてます…」
加蓮「こういうのは外野で聞いているのが面白いんだよねー」
茄子「これ以上は私の口からは言えません」
加蓮「あーもうちょっと詳しく聞きたかったなー」
春菜「もうこれ以上はやめておきましょう」
茄子「あ、でも聞いて聞いて。うちの凛なんだけどさー………」
結局この駄弁りは加蓮を探しに来た奈緒が加蓮を回収するまで続いていたらしい…
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あとがき
飛神宮子です。
珍しい組み合わせですが、なぜこの3人かは作品タイトルから分かるかもしれませんね。
第5回総選挙の16位(加蓮)、32位(茄子)、48位(春菜)という16の倍数が順位だった3人です。
難産になりそうで当初は書くのやめるつもりでしたが、書き始めたら案外あっさりでした…不思議です。
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2016・06・29WED
飛神宮子
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