Points of IDOL Origin(アイドルの原点)

ここはとある事務所…
綾瀬穂乃香(穂乃香)「私がですか?」
すらっとした一人の少女がプロデューサーと仕事の話し合いを持っているようだ。
穂乃香P「ああ、こういう仕事なんだがどうだ?穂乃香」
プロデューサーはその穂乃香という名前の少女へと書類を手渡した。
穂乃香「ヴァイオリンとバレエだけの世界…」
穂乃香P「その事務所のこの子のことだけど知ってるか?」
穂乃香「前にオーディションか何かで見かけましたので」
穂乃香P「そうか、それで印象とかはどんな感じだった?」
穂乃香「そうですね、ふんわりとまではいきませんが柔らかい感じの方ですね」
穂乃香P「そうか。それでどうだ?この企画は」
穂乃香「どうでしょう、プロデューサーはどう思いますか?」
穂乃香P「判断は穂乃香に任せたいんだけどな」
穂乃香「一ついいですか?」
穂乃香P「ん?」
穂乃香「その、涼宮さんの演奏って聴くことはできませんか?」
穂乃香P「それならここにCDを持ってきてるから聴いてもらおうかな」
穂乃香「それを聴いて判断しようかなと思います」
穂乃香P「了解」
 
曲を聴き終えて…
穂乃香P「どうだった?」
穂乃香「思っていた以上に音色が軽やかで繊細で、でも力強いです」
穂乃香P「俺も最初聴いた時に驚いたよ。アイドルの演奏とは思えなくてさ」
穂乃香「これをあの涼宮さんが弾いているんですよね」
穂乃香P「そうだな。俺が実際に見たわけじゃないから確証は無いけどな」
穂乃香「あの…プロデューサー。一ついいお願いがあるのですが」
穂乃香P「何だ?」
穂乃香「やるにしてもそうでないにしても、一度ちゃんとお会いしたいなって」
穂乃香P「そうだな…向こうがOKを出してくれればだな」
穂乃香「お願いできますか?」
穂乃香P「分かった。向こうの事務所にその旨伝えてみるよ」
………
そして数日後…
コンコン
ここは穂乃香の事務所の応接用の部屋。
穂乃香P「はーい」
星花P「○○事務所の△△です。こちらでよろしかったでしょうか?」
穂乃香P「あ、どうぞお入りください。お待ちしてました」
ガチャっ
星花P「失礼します」
涼宮星花(星花)「失礼します…」
一人の女性とその女性のプロデューサーが入ってきた。
穂乃香P「今日はすみません、うちの綾瀬のために」
星花P「いえ、こちらの涼宮も一度会ってみたいとのことでしたから」
穂乃香「涼宮さん、今日はお会いできて嬉しいです」
星花「綾瀬さん、今日はよろしくお願いします♪」
穂乃香「涼宮さん…」
星花「あ、星花でいいですわ、綾瀬さん」
穂乃香「それなら星花さんって呼びますね。私のことは穂乃香でいいです」
星花「はい、穂乃香さん。穂乃香さんはわたくしの演奏をもうお聞きになったんですよね?」
穂乃香「はい。とても綺麗で力強くて…前に見かけた時にはそんな風に演奏される方には見えなかったです」
星花「フフフ、ありがとうございます♪」
穂乃香「バイオリンはいつ頃からされているんですか?」
星花「お母様から教わったものですから…もうかなり経ちますわ」
穂乃香「だからこそあれ程の腕前だったんですね」
星花「穂乃香さんに好評いただけて嬉しいですの」
穂乃香「もし今回のイベントをやるとしたら、私なんかでいいのかなって…思ってしまいました」
星花「そんなことないですわ。わたくしも穂乃香さんの踊り、拝見しましたの」
穂乃香「え…そうなんですか?プロデューサー」
穂乃香P「ああ、一応資料映像としてそっちの事務所に送ったんだ」
星花「穂乃香さんの踊り、一つ一つの動きが美しくて、バレエをとても愛しているのだと思いましたの」
穂乃香「そんな、買いかぶりすぎです、星花さん」
星花「そんなことないですわ、オーディションでのダンスはあの踊りが原点でしたのね」
穂乃香「確かに、ダンスで自分なりの表現が他の人よりできているのはバレエがベースにあるからかもしれませんね」
星花「一つ一つがスラッとしていて、あの時の穂乃香さんはとても綺麗でしたわ♪」
穂乃香「そう言われると…恥ずかしいです。そう言う星花さんだって、あの表現力は音楽の演奏が元だったんですね」
星花「踊りはまだ苦手が多いですから、そういうところで勝負しないとダメなのですよ」
穂乃香「でも歌も綺麗で、音感はやはりバイオリンからですか?」
星花「そうですね、そうであったら嬉しいですわ」
穂乃香「あ、星花さん。そちらの箱は?」
星花「これですの?今日はこの後のレッスンのためにバイオリンを持って来たんですの」
穂乃香「プロデューサー、ちょっとここで踊ってみてもいいですか?」
穂乃香P「え?急にどうした?穂乃香」
穂乃香「どういう感じになるのか、一度感じてみたくって」
穂乃香P「了解。あ、でもあんまり広くないから…いっそのことレッスン場に行くか?」
穂乃香「いいんですか?」
穂乃香P「今日は確かケイトが使った後は空きだからもう空いてるはずだ」
穂乃香「それならば…お願いしますっ」
………
場所は移ってレッスン場…
穂乃香「星花さん、演奏をお願いします」
星花「はい、穂乃香さん♪」
♪〜
星花のバイオリンから音楽が奏でられていく…
それに合わせるかのように…
タンッ ツツツツツ…
バレエの衣装を着た穂乃香がまるで前からその曲を知っているかのように動き出した。
穂乃香「(このメロディ…初めてなのに何だか自然と身体が動くっ…)」
星花「(穂乃香さんがわたくしのバイオリンに乗せて…初めてなのに何だか前も一緒にやったみたいな感じがするわ…)」
〜♪
その演奏が終わった時、穂乃香のプロデューサーと星花のプロデューサーは顔を見合わせて頷きあった。
穂乃香「星花さん、素敵な演奏をありがとうございます」
チュッ
穂乃香は弓を持っていた方の手にそっと口付けをした。
星花「ほ、穂乃香さん!?」
穂乃香「あ、す、すみませんっ。私どうしたんだろう、急に何だか…」
星花「でも、わたくしも…」
チュッ
星花も穂乃香の手を持ち上げてそっとキスをした。
穂乃香「星花さん…」
星花「一緒に…頑張りましょう♪」
穂乃香「…はいっ!」
二人の瞳、その瞳は成功を確信した澄んだものへと変わっていたという…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
シンデレラガールズシリーズの第3弾は珍しいと思われるユニットです。
属性も違えば性格も近いわけではない。ではなぜ書いたのか、それはですね…
ともに自分の最初期からいるレアアイドルなんです。片方はチケット、もう片方はローカルで…それからずっと残っています。
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2012・09・03MON
飛神宮子
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