Little Friend(月一度のお客さま)

346プロアイドル部門アシスタントの千川ちひろです。
年頃のアイドルが多くいる私達の部門には、とある厳重に管理されたサイトがあるんです。
外部に漏れないようにアイドルの方は私にその情報を送って、私が登録する形で運営されています。
私達アシスタントとプロデューサーさん達、トレーナーさん方とあるアイドルの方だけに閲覧が許されています。
ちひろ「そのサイトというのはですね…」
「ちひろさん、誰に話しかけているんですか?」
ちひろ「ふわあっ!○○プロデューサーさんですか、どうされたんです?」
「いやちょっと会議のための部屋の利用許可をお願いしに来まして」
ちひろ「そうですか、分かりました…申請が通ったらメールで連絡しますね」
「お願いします。それにしても来週は誰にピンチヒッターで行ってもらおうかなあ…」
ちひろ「どうしたんです?」
「2月の番組収録中に調子悪かったって話、確かしましたよね」
ちひろ「拓海ちゃんと美世ちゃんの話ですか?」
「それです。昨日確認しましたけど、ちょうど来週の収録くらいなんですよね」
ちひろ「二人とも重いんですか?」
「そこらへん俺は男なんで分からないんですけど…2月の時は後々にちょっと辛かったって聞きました」
ちひろ「それはちゃんと本人と相談してから決めたらどうです?」
「そうですね…あ、その机にある日付だけの書類って…」
ちひろ「この連休中の手書き分をこれから入力するところでしたんで」
「作業中にお手数お掛けしました」
ちひろ「いいんですよ、それもお仕事ですから」
「では、失礼しますね」
ちひろ「はい、お疲れさまでした」
プロデューサーさんが去っていきました。さてこの書類も通しておかないとですね。
ちひろ「さて、入力しますか…これは…○○ちゃん…っと…前回が先月の×日だからちょうどくらいね」
こうやってチェックして、変化を感じた子に関しては併せてある方へ報告するのもお仕事なんです。
………
一方ここはとあるアイドルルーム。
清良「さぁ愛海ちゃん…お仕置はどのナース拳がいいかしら…?」
愛海「そのですね…清良さん…今日はこの後レッスンが…」
清良「無いですよね?一緒に住んでいるんですから嘘は通じませんよ」
愛海「ほら、清良さん…ちょっと落ち着こうよ」
清良「そこのくるみちゃんが泣いている理由をきちんと説明できたらいいですよ…フフフ」
愛海「…痛くないナース拳でお願いします…うう…」
清良「今月これで何度目かしらね」
♪〜
清良のスマホから着信音が鳴り響く。
清良「あらっ…ちょっと待って」
着信の内容を確認した清良。
清良「更新ね、あとで確認しないと…何人か…ね」
「あ、清良さん」
清良「あらプロデューサー、どうしました?」
そこにちひろのところに居た担当プロデューサーがやってきた。
「ああ、そのまま続けてて良いんで話だけ聞いてもらえればと」
清良「分かりました。それじゃあ愛海ちゃん…えいっ」
愛海「んみゃぁぁぁぁぁぁーーーっっっっっ!!!!!」
アイドルルームの中に愛海の絶叫が響き渡る。
「あのですね、先月の拓海と美世が出た番組なんですけど」
清良「あの映像を見るバラエティ番組ですか?」
「はい。今月もその二人で行こうと思ったんですけど…」
清良「はあ…」
「先月の収録の日がちょうどその…」
清良「先月は確か…×日でしたよね。その日って確か…」
お仕置している手とは逆の手でスマホを操作した清良。
清良「もう…こんな日に二人を収録へ行かせたんですか?」
「忙しくてチェックから漏れちゃってて、気付いた時にはもう遅くてですね」
清良「特に拓海ちゃん、先月は放送でも機嫌よろしくなかったですね。3本録りですし…」
「特に2週目は画面通しても出ちゃってましたね」
清良「はい…それで私は何を?」
「あの、今月の収録もちょうど周期的に来そうなんですよ」
清良「何日の予定なんです?」
「☆☆日です」
清良「二人ともちょうど2日目か3日目…くらいですか」
「それで清良さんとレナさんに収録へ行ってもらいたいなと思いまして…」
清良「私がですか?私はこの子の監視をしてもらえるなら構いませんが」
愛海「あぁうぅぅぅ…ぎよらざんー…ゆるじでー…」
清良「ダメですよ、それなら代わりに早苗さんと真奈美さんのフルコースですよ?」
愛海「ぞれはぁぁぁぁ、らめぇぇぇ…ひゃんっ!」
清良「プロデューサー、どうです?」
「それくらいなら構いませんよ。その時間は真奈美さんと一緒に別番組へ連れて行くんで」
愛海「え゛っ!プロデューサー、そんな話聞いてないよぉぉぉ、ぎゃんっ!」
「今言ったからな。スケジュール自体は問題ないし、真奈美さんには先に了承もらってある」
愛海「そんなぁ、あたしの都合はぁぁ…」
「ほう、今月頭に先方へ迷惑を掛けたのはどこの誰だったかな?」
愛海「…やります…だって、あんな美味しそうなお山が目の前にあるなんて…我慢できなくてぇ」
清良「無理矢理させるのって…どうなのでしょう…」
「まあその時に何でもするって約束してもらってますから」
清良「それなら仕方ありませんね」
愛海「清良さんもぉ…」
「それじゃあレナさんの許可がもらえたらよろしくお願いします」
清良「分かりました」
………
その夜…
コンコン ガチャっ
ここは寮の清良と愛海の居室。
清良「はい、どうぞ入って」
ゆかり「失礼します、清良さん」
清良「ゆかりちゃんね、内線で用件は聞いてるから詳しい話は中で聞くわね」
ゆかり「お邪魔します。すみません、お手数をお掛けします」
バタンッ
清良「いいの。あなた方みたいな女の子は気になる年頃でしょう?」
ゆかり「その…はい」
清良「そっちのテーブルのところで座っていてもらえる?」
ゆかり「わかりました」
清良は二人分の飲み物を準備に流し台へと向かった。
清良「だけど本当、みんなちょっと痩せすぎなのよね。こういうお仕事だから仕方ないのですけど」
ゆかり「お腹を出す衣装も多いですよね」
清良「ええ。それで無理にすると不順になることもあるから…はい、紅茶で大丈夫?」
ゆかり「ありがとうございます…はあ…こうなったのがあまり経験がなくてですね…」
清良「私からも担当プロデューサーに伝えておくわ」
ゆかり「よろしくお願いします。でも最近忙しくて清良さんから連絡を受けるまで気付いていませんでした」
清良「でもちゃんと毎回データを送ってくれているから気付けるの」
ゆかり「そうなんですね…」
清良「だけど最後の体調管理の砦はあくまで自分自身だから、そこはちゃんと気に掛けた方がいいわね」
清良の身体の相談室、そこはアイドル達の一つの拠り所として今後も続いていく…
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あとがき
飛神宮子です。
女性ならではの問題のお話。これだけのアイドルが所属しているのですから当然こういうこともあるでしょう。
こういう時は清良さんがいい相談役になってくれることでしょう。餅は餅屋です。
タイトルの英語は、こんな訳もあったんだという感じです。
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2017・03・31FRI
飛神宮子
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