We Look Through two Lenses(一枚通して見るセカイ)

「春菜はいるな。真尋と風香も大丈夫だし、千夏と晶葉は直接現地入りであとはマキノと亜子…だな」
ここは寮の駐車場に停めてあるワゴン車の中。
ガラッ
待っているうちの一人が到着したようだ。
マキノ「プロデューサー、まだ大丈夫だったかしら」
バタンッ
「ああ。まだ出発までは20分余裕があるから、マキノも中でゆっくりしていてもらえるかな」
風香「マキノさん今日のダンスの動きですけど…」
マキノ「この動きのことかしら、風香さん。こっちからこう来て…こうね」
風香「私はその時はこっちですね…いつもクロスで失敗しちゃいますし…」
真尋「あー、身体がうずくーっ!早くライブやりたーいっ!」
春菜「真尋さん本番はまだだから落ち着いて。ほらメガネを掛けて落ち着いてください」
「春菜、またそうやって人に勧めない。前もそれでスタッフに笑われたって聞いてるぞ?」
春菜「はい…でも私はそれでもやめませんからね」
「その心意気を他で活かしてくれないものかな…」
ガラッ
亜子「いやー、ぎりぎりセーフかな。今日に限って日直の仕事が重なるなんてなー」
バタンッ
そこに残るもう1人も到着したようだ。
真尋「おつかれー!亜子ちゃんまだ全然大丈夫だよね、プロデューサーさん」
「そうだな。まだ出発15分前だけど全員揃ったし行くとするか。全員シートベルト締めてな」
亜子「あれ?晶葉ちゃんと千夏さんはどうしたん?」
春菜「あの二人は現地集合なんです。寮から行くのは私たちだけです」
亜子「そうなんかー、でもニューウェーブ以外の仕事も久々やな」
風香「亜子ちゃんの本当の担当は私達のプロデューサーさんじゃないんですよね…」
亜子「アタシはこういうの楽しく思ってるからいいんや。風香ちゃんがそう言うことないて」
「全員締めたかー?運転始めるぞ」
プロデューサーの運転する車は今日のライブ会場へと向かって走り出した。
………
ここは会場であるライブハウスの裏口…
晶葉「おーっす、待ちくたびれたぞ助手」
千夏「これで勢揃いかしら。あらためて見ても妙な光景ね」
そこには晶葉と千夏がみんなを待っていた。
「そうは言ってもまだ時間前じゃないか晶葉」
マキノ「晶葉、お願いした機械の準備は大丈夫ね?」
晶葉「ああ、ちゃんと完成はさせてある。さっき千夏に手伝ってもらって入口に設置しておいた」
マキノ「プログラムは…亜子、頼んだのはどうなったの?」
亜子「あ、あれやな…」
亜子は自分のカバンを開けて何やらケースを取り出した。
亜子「ほい、この中のUSBに入ってるで。この前、ラボに出向いて動きを確かめたって言ってたから大丈夫なはずや」
マキノ「分かったわ…」
マキノはカバンからノートPCを取り出してUSBを差し込んだ。
マキノ「…大丈夫ね。楽屋で随時チェックするわ」
晶葉「一応プログラムの概要は泉から聞いているから、何かトラブったら私に一言な」
真尋「ねーねー!早く楽屋入ろうよー」
春菜「そうですね、プロデューサーさんお願いします」
「お前たちがそんなことやっている間に鍵とか貰ってきたから。楽屋はいつもの場所だから…よし、風香」
風香「は、はいっ…!」
「鍵は風香に預けておくから、先に行っていてもらえるか」
風香「はい…分かりました。出る時になったら預ければいいんですね…?」
「ああ、とりあえず着替えとかは見られないからそれまでの管理をお願いするぞ」
春菜「プロデューサーさん、荷物運び手伝います」
「いや、いいから。お前たちは先に最終確認しておいてほしい。あ、でも衣装だけはお願いできるか?」
春菜「分かりました。それでは皆さん順番に渡しますからトランクの方に来てもらえますか」
………
場所は移ってライブハウスのステージ、彼女たちのライブがようやく始まるようである。
真尋「行っくよー!マキノさんよろしくーっ!」
♪〜
まるで戦隊物の登場のような音楽が鳴り始めた。
マキノ「行くわ…っ!グラスグリーン!八神マキノ!」
風香「ぐ…グラスパープル…浅野風香…!」
亜子「グラスオレンジ!土屋亜子や!」
千夏「グラス…インディゴ…相川千夏…!」
真尋「グラスイエローっ!北川真尋ーっ!」
晶葉「リーダーではないがグラスレッド!池袋晶葉!そして…」
春菜「ブルーですけどリーダーなんです!グラスブルー、上条春菜!」
春菜を真ん中にして、色違いで揃いのライブ衣装に身を包んだ7人がライトの下へとポーズをキメて立った。
春菜「見えない場所もまるっと見通し、見えれば世界は明るく変わる!光の集まるところに私達あり!私達…」
7人『グラスフルワールド!』
ワーーーーーーー!
会場のボルテージは一気にトップへと駆け上がった。
春菜「皆さーん!今日もメガネってますかー!」
ワーーーーーーー!
真尋「はるにゃん、メガネるって何かな?」
春菜「メガネるはメガネるですよ。同士の真尋さんなら分かって貰えると思ってたんですけど…」
春菜はステージの隅でいじけ始めた。
マキノ「そうは言っても分からないものは分からないわよ」
風香「まあまあ…皆さん、そろそろ最初の曲に行ったほうが…」
千夏「そうね。今日はせっかくのフルメンバーだもの」
晶葉「このメンバーで揃うのは、雑誌以外では確か7月以来か。結構前なものだな」
亜子「こっちのアタシは久々やね。アタシとか千夏さんが欠けることも多いしなー」
千夏「兼ねているとそこが大変ね。ほら春菜ちゃん、そこでいじけてないでやりましょ」
真尋「はーるにゃん!ほらもう私も分かったから、最初の曲行っくよー!」
春菜「は、はいっ!では行きましょう!1曲目はいつものあの曲ですけど、ちょっとアレンジ違いでお送りします!」
 
アンコールまで終えて…
春菜「10月01日眼鏡の日!みんな今日の記念ライブはどうでしたー?」
ワーーーーーーー! パチパチパチパチパチ
春菜「皆さん楽しんでいただけたようで何よりです」
真尋「会場の人もみんな眼鏡なのは、さすがに今日は凄く珍しいものを見たって感じだよっ」
マキノ「さすがにここまではいつもの風景には無いわ…。みんな良い汗で眼鏡も光り輝いているのね」
風香「皆さん、眼鏡を大切にしてください…それで私たちのことを見続けていてくれたら嬉しいです」
千夏「なかなか上手い事を言うのね風香ちゃん」
風香「そ…そんなことないです…」
千夏「でも私たちのファンであり続けてもらえたなら、それ以上に嬉しいことは無いわ」
亜子「せやなー。私たちだけじゃなくて事務所にはまだ色々なアイドルの子がおるから、みんなのファンになって欲しいな」
晶葉「また来年もきっとこの記念ライブはあると思う。それをみんなとともに楽しめれば嬉しいぞ」
春菜「それではまたお会いできたら嬉しいです!グラスフルワールドでした!今日は皆さん…」
7人『ありがとうございましたーっ!』
パチパチパチパチパチパチパチパチ
万雷の拍手が照明が暗くなっていくステージを包んでいった…そんな彼女たちの顔は安堵と充実の笑顔になっていた…
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あとがき
飛神宮子です。
…何なんでしょうね、この作品(書いている自分でも最後まで方向性が掴めていなかった)
本家グラスフルワールドは3人(春菜・真尋・風香)なのですが、常時メガネの7人に人数を増やしちゃいました。
メガネの日ということで衝動に駆られてしまった…それだけなんですけどね。
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2015・10・01THU
飛神宮子
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