A Gemmy Flier（輝く羽根）
5月13日19時少し前…346プロ所属のアイドルの殆どが一番大きなレッスンルームに集合していたんだ。
統括Ｐ『ほぼ全員来ているようなので始めます。先日予告した通り、本日第5回総選挙の結果を発表する』
多少ざわついていた周りも静かになったみたい。
統括Ｐ『ここに右から順に26位から50位、10位から25位、そして1位から9位の3枚を貼り出す』
みんな固唾を呑んで見守っている。
統括Ｐ『1番左の1位から9位に書かれていた者とそのプロデューサーは、この後19時半から話があるので残っているように』
その言葉に緊張が張り詰めたのが分かったよ。
統括Ｐ『この表は貼ってすぐに社のサイトにも載せるので、後日あらためて確認したい人はそちらで確認してもらいたい』
何人かのプロデューサーが印刷された模造紙を持って来た。
統括Ｐ『該当者以外は発表以降は解散なので自由にしてもらっても構わない、以上。では…お願いします』
私は中間発表でも入ってないから期待はしてなかったんだけど、ある人のことがどうしても気になってたんだ。
ガサガサガサガサガサ
何人かのプロデューサーが書かれた模造紙をホワイトボードへと貼っていった。
？？「んー…ライグリもヒートチアーもみんなダメだったかなぁ…夏樹ちゃんもかあ…」
私の目はもう中間発表でも良い順位だったそのある人を探していた。
？？「えっとパッション5位だったからこの辺かな…」
50位から26位を見ても無い、25位から10位を見ても無い…
？？「…えっ、もしかして…」
私は最後の紙に目をやった。その次の瞬間にはもうその人へとダッシュで駆け寄っていたんだけどね！
　
志乃「はぁと、落ち着いたかしら？」
心「……んっ…うん…ううっ……」
志乃「これは頑張った貴女の力がもたらしたものよ」
心「そう…だよな…。はぁと…うん…」
そこに３人の女性の姿が……
清良「やっぱりそんな気がしてました」
翠「はぁとさん、おめでとうございます」
洋子「はぁとさん、信じてましたっ！」
心「みんな…来てくれたのか☆」
清良「私達も嬉しいんですから」
志乃「ええ。大切な仲間が成し遂げたのだもの」
洋子「そうですよ！あそこで菜々ちゃんも泣いてますけどね」
心「はぁとの名前しか見てなかったけど、ナナ先輩もだったか」
翠「私たちももっと精進していかないとですね」
心「ぐすっ…ちょっとナナ先輩のとこ行って来るわ♪」
心は菜々の許へと駆け寄っていった。
Ｐ「お、清良たちも来てくれたのか」
清良「はい。こういう素晴らしい結果でしたから」
Ｐ「俺も直前に結果は教えてもらったけど震えてたよ」
翠「はぁとさんに悟られはしなかったんでしょうか？」
志乃「詮索はされていたみたいよ。ここに来る前までそうとう震えてたもの」
Ｐ「まあでも今回は都合よく誤魔化せたからな」
洋子「どうしたんですか？」
Ｐ「美優も今回行けそうな感じだってさ。上手いことはぐらかせたかは微妙だったけどな」
志乃「それでプロデューサーはこの後もここに残るのよね？」
Ｐ「この後の話に参加するからそうなるな。はぁとと菜々に美優さんもだからお祝いも盛大にしてやらないとなぁ…」
志乃「いつくらいになりそう？」
Ｐ「それはこの後のスケジュール次第になる。近々にはやるとは思うけどさ」
志乃「そう、分かったわ」
洋子「そっかぁ…私のプロデューサーはみくちゃんだけだけど３人ともなると大変ですね」
翠「第３回の時に４人入ったプロデューサーの方は凄く大変だったと聞きました」
Ｐ「ああ、あの先輩のことか。でもこれは嬉しい悲鳴だよ」
志乃「あらプロデューサー、美優が呼んでるわよ」
Ｐ「ちょっと行ってきます。日程が決まり次第、清良さん達にも連絡します」
清良「よろしくお願いします」
洋子「んー…」
翠「どうしたんですか？洋子さん」
洋子「それとは別に私たちでもお祝いしてあげたいなって思って」
志乃「そうね…ユニットの代表として大きな舞台に出てもらうようなものだもの」
清良「私達だけではぁとさん一人を盛大にお祝いしましょう」
翠「それなら秘密裏に進めないとですね。まずは別にグループ作りましょうか」
洋子「そうだね！メインの話し合いはそっちでってことで」
清良「志乃さん以外は他のプロデューサーなのが幸いですね」
志乃「みんなが別隊で動いても別に怪しまれないのがいいわ」
翠「まずは合同の方の日程が決まったらこちらの日程も決めましょう」
洋子「そこで都合の良さそうな日時を合わせてってところですか」
清良「志乃さんはそれとなくプロデューサーかはぁとさんに予定を聞いてください」
志乃「普段は一緒な私ができそうなのはそれくらいなのよね。すっかりお願いすることになりそう」
洋子「任せてください。そこらへんは私たち３人が何とかしますよ」
心「ん？何話してるんだ？洋子達は☆」
そこに心が戻ってきた。
志乃「何でもないわよ。菜々はどうだったの？」
心「もうはぁとと一緒になってわんわん泣いてたぞ。志乃も美優のとこ行かなくていいのか？」
志乃「そうね、ちょっと私も行って来るわ」
心「それで清良達も来てくれるんだってな？」
清良「はぁとさんのプロデューサーに言われましたから、時間さえ合えばぜひ…ね、洋子ちゃん翠ちゃん」
洋子「そうですね。次こそは私が祝われる立場になってみたいですけど」
心「おっ、言ったな」
翠「私も一度はこういうきらびやかな舞台に立てるように頑張らないとです」
心「翠は天然というか入り込むとこがあるから、また何か新しい自分を見せてみたらいいかもな☆」
清良「そうですね、あの美食公演みたいのをもう１回くらいやってみるとか」
翠「むぅ、あれで変なイメージ付いたみたいなのでちょっと…」
心「それはそれだ☆」
………
時は流れて数日後…
洋子「ではあらためて…」
４人『はぁと（さん）おめでとー！』
心「全くよう…みんなまたはぁとを泣かせる気かよ…」
ここは寮の食堂。心の前には手作りながらも豪華な料理が並べられている。
志乃「こういうお祝いは何度やってもいいものでしょ？」
翠「さあどうぞ、これははぁとさんのために用意しましたから。何から食べます？」
心「そうなのか？じゃあそのボンゴレのパスタからにしようかな」
洋子「はぁとさん、シャンパンをどうぞ」
心「お、何か至れり尽くせりだな♪」
トクトクトクトクトク
心の持ったグラスへと金色の液体が注がれていく。
清良「洋子ちゃんはまた飲み過ぎないようにね。今日は翠ちゃんもいるんだから」
洋子「分かってますっ」
志乃「明日からもまた忙しいんでしょう？今日のこれで英気を養ってもらえればいいわ」
心「ああ…うん。本当にこんなにいい仲間に巡りあえたはぁとは幸せ者だ☆」
紫、橙、緑、桃、そして青。５枚の羽根はこれからも回り続けていく…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
飛神宮子です。
結果発表から１週間強経ちましたが書いていた以上はやっぱり書かないとと思いました。
最初の一人称視点は他のユニットでも分かるとおりの洋子ちゃん視点です。
これからの活躍、他にボイスが付く芳乃、美優さん、乃々とともに期待したいですね。
それにしてもパッションの魔物は今回も健在だったようですねぇ…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
２０１６・０５・２２ＳＵＮ
飛神宮子
短編小説に戻る