心 | 「発注したサイズと違うのが届いたーっ!?」 |
ある日のとあるアイドルルームに響き渡るとあるアイドルの声。 |
P | 「向こうが数値を間違ったらしいんだよ」 |
心 | 「はぁ!?作り直してもらえよ☆」 |
P | 「もう時間が無いだろう。今度のLIVEロワイヤルに枠取ってもらってるんだ」 |
志乃 | 「しょうがないわね、このサイズで合いそうな子はいるの?」 |
P | 「調べたらいたにはいたんだが…まずは聞いてくれ」 |
心 | 「話だけは聞いてやるぞ」 |
P | 「色のイメージに合うかが微妙な子は一人いる」 |
志乃 | 「それだけ?」 |
P | 「おそらく合うだろう子も何人かいる」 |
心 | 「そっちは何が問題なんだ?」 |
P | 「話はここからだ。前者は20歳以上なんだが、後者は未成年なんだ」 |
志乃 | 「…そういうことなのね」 |
心はスマホを操作した。 |
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Moulin-Rouge346 (4) |
洋子、清良、今時間取れるか?
つーか来れるか?
洋子 はぁとさんどうしたんです?
清良 大丈夫よ
ユニット緊急召集☆
清良 了解したわ。10分後にね。
清良 いつものお仕置き中だから。
それでいいぞ。
これから話し合いだ♪
洋子 私も10分後なら。
洋子 もうすぐ事務所着くんで
分かった。気をつけてな
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心 | 「これでよし。洋子と清良を召集したから、10分後にこの件について話し合いな♪」 |
志乃 | 「あら、L○NEしてたのはそれなのね。さっきから私のも鳴ってるわ」 |
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10分後… |
コンコン ガチャっ |
清良 | 「おじゃまします」 |
洋子 | 「おじゃましますっ」 |
清良と洋子がアイドルルームへとやってきた。 |
心 | 「お、こっちだこっち」 |
P | 「急に悪かったな。これに関してはどうしても二人の意見も必要だったんだ」 |
志乃 | 「それで業者の方は何か言ってたの?」 |
P | 「え?ああ、この件に関してはこっちの通達ミスではなかったから衣装代チャラで手を打った」 |
心 | 「だけどどうしてこうなったんだよ」 |
P | 「ほとんど初期段階でコピーミスだったかミスプリントしたのがそのまま流れたとかいう話でな」 |
清良 | 「何かあったのですか?」 |
洋子 | 「私達には全く話が見えないんですけど…」 |
P | 「ああ、説明まだだったな。ここに新しい衣装があるのは分かるな」 |
洋子 | 「はい、この青紫色の物が衣装なのは分かりますけど…」 |
清良 | 「これが何か問題があったんですね?」 |
P | 「業者から昨日送られてきた衣装がサイズミスだった…」 |
清良 | 「それならどうしてすぐに作り直してもらわないのですか?」 |
P | 「洋子には連絡済だから理由は分かってるよな」 |
洋子 | 「今度のロワイヤルにこの衣装を着た子も出るってことですよね?」 |
P | 「ああ…そういうことだ。あと作り直すにしてもこの布の在庫が今は無いらしい」 |
心 | 「届けてもらう前にどうして気が付かなかったんだよ」 |
P | 「出来上がりの写真だけ見たら正しいと思うだろうよ。物が来て初めて分かったんだから」 |
志乃 | 「それで緊急召集した理由はこの衣装に合う新メンバーについてなの」 |
洋子 | 「この衣装が着られる人ですよね?」 |
P | 「急ぎだけど…まあここが問題でな。さっきはぁとと志乃には話したんだが…」 |
清良 | 「何だか歯切れが悪いですね」 |
P | 「簡潔に言おう。この色が似合いそうにない成年と似合いそうな未成年、どっちがいいかだ」 |
志乃 | 「そういうことらしいの。二人はどっちがいいかしら?」 |
清良 | 「そうですね、私は特にどちらでも構わないですよ。洋子ちゃんは?」 |
洋子 | 「お酒…ああっ!んーでも…そうすると未成年は無理ですし」 |
心 | 「飲ませなければいいじゃないか☆ちなみに未成年組は何歳くらいになりそうだ?」 |
P | 「衣装の色と身長とスリーサイズを加味すると15歳から19歳だな。165cm前後で似合うように作ってある」 |
心 | 「15かあ…それはちょっとな。まあ未成年とはいえ18歳くらいなら自己管理できそうか」 |
清良 | 「確かにこのユニットとしてはさすがにそれくらいからかしら」 |
志乃 | 「そうね。大人の雰囲気としてせめてR-18のクリアはしていてほしいわ」 |
洋子 | 「R-18っていかがわしい作品じゃないんですから志乃さん」 |
P | 「これくらいの身長で20歳以上だと、みんな何だかんだプロポーションが良くてな…このサイズを着れるのが稀少なんだ」 |
心 | 「それでどうする?はぁとはお酒そんなに関係ないからどっちでもいいぞ♪」 |
志乃 | 「私もどちらでも。ただ似合っていない人に無理にさせるのは好かないわね」 |
心 | 「それどっちでもじゃないぞ」 |
清良 | 「私はさっき言ったとおりです。どちらでも構いませんから」 |
洋子 | 「どちらでも私に歳が近いくらいになりそうですし、未成年の方でも構いませんよ」 |
P | 「よし、4人の総意は未成年のこの衣装が似合う子ということでいいな。さてと、今すぐは来てもらえるか…」 |
プロデューサーはとあるPへと連絡を取り始めた。 |
志乃 | 「もう頼んではあったの?」 |
P | 「もしかしたら連絡行くかもとは一応先に言ってましたから」 |
心 | 「そういう手回しだけは早いな☆」 |
P | 「担当アイドルの皆さんのおかげでこの手のトラブル処理は慣れていますから」 |
清良 | 「ダメだったらどうするんです?」 |
P | 「その時ははぁとと洋子の二人で出てもらうより他は無いなと…お、30分後にこっちに来させると担当Pから連絡だ」 |
洋子 | 「それなら私たちも着替えますか?」 |
志乃 | 「そうね。衣装はいつもの場所でしょう?」 |
P | 「あ、はい。衣装部屋の鍵を渡しておきますね。清良さんと洋子さんはいつものロッカー使ってください」 |
……… |
20分後… |
P | 「やっぱりこの衣装を見ると、みんなスタイリッシュに見えるな」 |
清良 | 「今回は私達はお休みですけれどね」 |
志乃 | 「ちょっと前にトランプ騎士団もやったものね」 |
心 | 「あれは大変だった。本筋に関係ないのにあんなことさせられるとはな☆」 |
洋子 | 「でも楽しかったですよ。酔っ払いの役はもうこりごりだったんですけど」 |
志乃 | 「あらそう?礼子に聞いたけど弱いって話ね」 |
洋子 | 「礼子さんには温泉の時に色々お世話になりました…はあ…」 |
心 | 「何だ?思い出したくなさそうな言い方だな」 |
清良 | 「洋子ちゃん、お酒はほどほどに楽しみましょうね」 |
洋子 | 「プロデューサーがそういう人とのお仕事を回してこなければですけど…」 |
P | 「もうそろそろ来る頃だな」 |
心 | 「ところで誰を呼んだんだ?」 |
P | 「あえて俺の口からは言わない。来てからはぁと達の印象で決めてもらいたい」 |
志乃 | 「強気で大した自信なのね」 |
コンコン |
清良 | 「どうぞ入ってー」 |
ガチャっ |
? | 「失礼します、こちらで良かったですか?プロデューサーさん…え?」 |
入ってきた少女はその衣装をまとったアイドル達の光景を見て唖然とした。 |
心 | 「そう来たか…クールなのは衣装の色で大体予想はしてたんだがな」 |
清良 | 「確かに…制服ということは未成年ね」 |
志乃 | 「確か身長は私や心と同じくらいだったかしら。さっきも165前後とは言ってたものね」 |
洋子 | 「スラリとしていて立ち振る舞いも綺麗ですよねっ」 |
P | 「そこに立っているのもアレだからこっちのソファに座ってもらえるかな?」 |
? | 「あ…はい、それでは失礼します」 |
その少女は言われるがままにソファへと腰を下ろした。 |
P | 「さて4人に聞きたいがこの子でどうだ?」 |
志乃 | 「どうって…話は着てもらってからでどうかしら」 |
心 | 「そうだな。実際見てからの方が良さそうだ☆」 |
清良 | 「来て早々悪いんですけれど、この衣装に着替えてきてもらえる?」 |
洋子 | 「判断はそれからでもいいですよね?プロデューサー」 |
P | 「…どうだ?この子達のような衣装を着るかの判断は貴女に仰ぐよ」 |
? | 「せっかくここまで来ましたし、試してきてもいいですか?」 |
P | 「分かった。それならこれは空きロッカーの鍵だ。書いてある番号のところを使ってもらえるかな」 |
? | 「はい、では行ってきます」 |
|
さらに15分後… |
ガチャっ |
? | 「再び失礼します。着替えてきました」 |
青紫色のムーラン・ルージュの衣装に身を包んだ少女がアイドルルームへと戻ってきた。 |
心 | 「なるほどな。やっぱりクールの子だからこの色は似合うもんだな」 |
洋子 | 「私よりもスマートに着こなしてるような気がしますね」 |
志乃 | 「さすがは礼子のユニットの…そう、千秋と組んでいる子ね。この衣装でスラッとしているわ」 |
清良 | 「心さん達の短パンの方を選んだのね。確かに若いから脚は魅せになっているかしら」 |
? | 「皆さんありがとうございます。プロデューサーさん、この姿はいかがでしょうか」 |
P | 「似合うと思って呼んだんだ。間違いなかったよ」 |
心 | 「そうか、それならさっさと入れるか決めちゃうか♪」 |
志乃 | 「あとは本人の意思次第ね」 |
清良 | 「私達のユニット『ムーラン・ルージュ』に入りますか?」 |
洋子 | 「私達は関係なく決めちゃってください」 |
? | 「…私で良いんでしょうか。私が入って不都合なことが無ければ…」 |
心 | 「このはぁと達の顔を見てもそう思うか?」 |
翠 | 「心さん…皆さん、よろしくお願いします。水野翠、『ムーラン・ルージュ』にお世話になります」 |
P | 「いやしかし一発で決まって良かったよ。あと似合いそうな子は忙しい子しか残ってなくてさ」 |
翠 | 「そうだったんですか」 |
P | 「よし、翠のプロデューサーに連絡入れたら今度のロワイヤルについて話し合いするから。時間は大丈夫?」 |
翠 | 「はい。今日のところはこちらに時間を頂いてきましたので」 |
洋子 | 「もしかして翠ちゃんも今回のロワイヤルのメインステージに出るのかな?」 |
翠 | 「洋子さん、それをどうして…」 |
洋子 | 「私も前に加入した時にそうだったから、きっとそうだと思って」 |
清良 | 「翠ちゃん、私たちお姉様方を頼ってもらっていいですからね」 |
心 | 「もうはぁと達の仲間になったんだからな」 |
志乃 | 「未成年で学業も大切なのだから、それくらい甘えてもらっても構わないわ」 |
翠 | 「ありがとうございます。皆さんよろしくお願いします」 |
P | 「じゃあちょっと俺、連絡とか書類準備とかしてくるからちょっと待っててくれ」 |
5つ目の羽根を加えた紅い風車、新鮮な風を巻き込んでよりその力強さを増していく… |