ある日の事務室… |
P | 「ちひろさん居ますかー?」 |
ちひろ | 「はい居ますよー、おつかれさまです。どうしました?」 |
P | 「この告知を346プロ玄関の掲示板に貼りたいんですが、許可手続きお願いできますか?」 |
プロデューサーはちひろに1枚の書類を渡した。 |
ちひろ | 「これですか…これくらいならデータベースから調べた方が早いんじゃないですか?」 |
P | 「でもやる気が無い子に来られても困るんで、それなら募集した方が無難かと」 |
ちひろ | 「なるほど…それで今回のメインカラーは?」 |
P | 「今回は4色目なので黄色というかオレンジです」 |
ちひろ | 「オレンジだとあまりクール系の子は来ないでしょうね」 |
P | 「ただ緑系はキュートの人に着させたので、そういう型を破ってくれても構わないんですよ」 |
ちひろ | 「確かに…言われてみれば」 |
P | 「それにこの募集はメンバーの方からの提案なんですよ」 |
ちひろ | 「そうなんですか?」 |
P | 「自分たちに合ってくれそうな人に自ら来てもらえたらということで…」 |
ちひろ | 「あっ!もしかして、プロデューサーさんは合いそうな子をもうデータベースで見付けてますね?」 |
P | 「やっぱり分かります?この条件だともう数人しかいなくって、しかもこの色ですし」 |
ちひろ | 「でしょうね。分かりました、すぐに掲示許可は取ります。期間はこの募集最終日まででいいですね」 |
P | 「はい、お願いします」 |
……… |
数日後、その募集の紙の前… |
智香 | 「洋子さん、これって…」 |
その募集要項にはこう書かれていた。 |
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スタイリッシュなスタイルに挑戦したいアイドル募集
次の項目に当てはまるアイドルを1名募集します。
(1)年齢:20歳以上
(2)身長:158cm前後(±2cmまで)
(3)バスト:85cm前後(±2cmまで)
以上に当てはまる方で、スタイリッシュな感じのイメチェンに挑戦してみたい方を募集します。
衣装の色がオレンジですので、それでも構わない方、歓迎します。
〆切 ○月×日
応募・質問などはred-wm-dc@〜〜〜へ。
応募される方はメール送信の上で、返信されたメールの日時・場所にお越しください。
ご応募お待ちしています。
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洋子 | 「ん?なになに?…ふむふむ…」 |
いつき | 「これはきっと洋子ちゃんのことをご所望だね!」 |
洋子 | 「スタイリッシュかぁ…いつきちゃんと智香ちゃんは私に似合うと思いますかっ?」 |
智香 | 「きっと似合いますよ。ほらこの前、新しい自分に挑戦してみたいって言ってたじゃないですか♪」 |
いつき | 「そうね。スポーティとか健康的な印象があるから大丈夫だよ」 |
洋子 | 「年齢は…20歳だから大丈夫だし、身長も157だからいいとして…バストが…あ、全部クリアできてるっ」 |
智香 | 「ですけどこれって何かのメンバー募集なんでしょうか?」 |
いつき | 「たぶんそうじゃない?」 |
洋子 | 「オレンジ色かぁ…オレンジ色でスタイリッシュ…うんっ、面白いかもっ」 |
いつき | 「洋子ちゃんにオレンジは似合わないはずがないからね、やってみたら?」 |
智香 | 「そうですよ。アタシ達、応援してますから☆」 |
洋子 | 「うんっ…えっと、メールアドレスは…」 |
洋子はスマホを出して書かれていたメールアドレスにメールを送信した。 |
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数日後… |
コンコン |
とあるアイドルルームをノックする音。 |
清良 | 「どうぞ、入ってー」 |
ガチャっ |
洋子 | 「失礼し…あっ…」 |
ドアを開けた洋子が見たのはムーラン・ルージュの衣装に着替えた心・志乃・清良の3人だった。 |
志乃 | 「ちゃんと来てくれたのね、まずはそちらへ座ってもらえるかしら」 |
洋子 | 「あ、はい」 |
洋子はソファの空いている椅子へ腰を下ろした。 |
心 | 「もう見て分かるよな?あの要件で応じてきてくれた人がいて安心したぞ☆」 |
洋子 | 「この募集はてっきり私を狙い打ちにしたんだと思ってました」 |
清良 | 「他にも候補の方がいたはずだからそういうわけでもないわ。ただやる気も見たかったから募集してみたの」 |
志乃 | 「でもいいんじゃないかしら…。洋子ちゃんなら清良さんに合うと思うのだけれど」 |
洋子 | 「合う…?」 |
心 | 「ああ。あの身長の要件な。衣装の関係もあったらしいけど、清良に合わせた人が必要だったわけだ」 |
清良 | 「あの要件の158cmでバスト85cmって私のことですよ」 |
洋子 | 「そういう意味でだったんですね。それで20歳以上なのは…志乃さんを見て納得しましたっ」 |
志乃 | 「あら、残念。私たちのユニット名『ムーラン・ルージュ』で分かるでしょう?」 |
清良 | 「この『ムーラン・ルージュ』はパリにある赤い風車で有名なキャバレーが由来なのよ」 |
心 | 「プロデューサーが風車だから元から4人以上にするつもりだったって、もう次の人の衣装もあとは届くのを待つだけだってねぇ〜」 |
洋子 | 「それでその衣装は…今あるんですか?」 |
心 | 「プロデューサー、洋子ちゃんの分の衣装はどうした?もう来てるんだよな」 |
P | 「その清良さんの横にある紙袋の中だけど」 |
清良 | 「これですね。洋子ちゃん、はいどうぞ」 |
洋子 | 「ありがとうございますっ」 |
P | 「パンツなんだけど長いのと短いのどちらがいいか、洋子さんの好きなのを選んでもらえるかな?サイズは合わせてあるよ」 |
洋子 | 「じゃあこれから更衣室お借りして着替えてみますねっ」 |
P | 「あ、あと洋子さんの衣装は帽子もあるんでこれも一緒に。潰れると悪いから別にしてあったんだった」 |
志乃 | 「似合うとは思っているけれど、楽しみにしてるわ」 |
P | 「ロッカーの鍵は袋に一緒に入れてあるので、奥の方のゲスト用のを使ってください。番号は鍵に書いてありますから」 |
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15分後… |
ガチャっ |
洋子 | 「ただいま戻りましたっ」 |
心 | 「おおー、似合ってる…似合ってるぞ☆」 |
志乃 | 「洋子ちゃんもこういうスタイルがキまるアイドルなのね」 |
清良 | 「あら、心さんスタイルの短いので…確かに長いのよりは短い方が洋子さんにはしっくりきてます」 |
洋子 | 「長いのも履いてはみたんですけど、何かどうも私らしくないかなって」 |
P | 「さすがは健康が売りの洋子さん。それでみんなどうです?」 |
洋子 | 「えっ?」 |
P | 「いや、まだ加入とか本決まりにはなってなかったんだけど…」 |
心 | 「そんなのもうはぁと達が言わなくてもいいだろ」 |
志乃 | 「そうね…。あとは本人の意思次第じゃないかしら」 |
清良 | 「どうでしょう、洋子さんは私たちとのユニットに加入されます?」 |
洋子 | 「え?そういう話でさっきまで進んでたんじゃなかったんですかっ!?」 |
P | 「だって来てもらっただけで、その辺の話はまだ何もしてなかったし…」 |
洋子 | 「…この衣装で新しい私に挑戦したいと思いますっ!よろしくお願いします!」 |
P | 「よし、そうと決まれば洋子さんの方のプロデューサーにも連絡入れておきますよ」 |
洋子 | 「お願いします。それでこの衣装は…」 |
P | 「帰る時に更衣室に置いていってもらえれば、こっちでクリーニングに出しておくんで」 |
洋子 | 「はーいっ。そういえばこの衣装って帽子とかベルトのこのマーク、クローバーで可愛いですよね」 |
志乃 | 「それ、みんな違うのよ…。私はスペードだし心さんはハート、清良さんはダイヤでちょうどトランプになるの」 |
洋子 | 「ああーっ、だからこの手袋も…あれーっ?こっちは私はダイヤですけど…」 |
心 | 「それもみんなで一巡するから。はぁとはスペード、清良ちゃんがハートで志乃ちゃんはクローバーだ☆」 |
P | 「メールアドレスじゃ気付かなかったか。あれはレッドの後が、ウィンドミルのWとM、ダイヤのDとクローバーのCだったんだ」 |
洋子 | 「言われてみれば、赤い風車でダイヤとクローバーだなんて。今着ている私の衣装そのままですっ」 |
心 | 「プロデューサーは本当にそういうところ凝るからな」 |
志乃 | 「それで…今回のロワイヤルはこれで決まった人とあと二人はどうするのかしら?」 |
P | 「そうだな…属性バランスを考慮したいから決めてなかっただけだったし。それならはぁと、今回お休みで良いか?」 |
心 | 「はぁと?まあ洋子ちゃんが入るなら仕方ない。はぁとの分まで頼むぞ☆」 |
洋子 | 「任せてくださいっ。うわぁ、でも忙しくなるなっ」 |
清良 | 「そうなんです?身体は大切にしてくださいね」 |
洋子 | 「はい。あの今回のロワイヤルはメインステージの方も任されてて、そっちと並行しないとなんで」 |
志乃 | 「無理は禁物よ…ある程度は私と清良に頼ってもらって構わないわ」 |
洋子 | 「ありがとうございます。それなら少しはお姉さま方に甘えさせてもらいますねっ」 |
そんな洋子の元気と威勢に4人とも笑顔が絶えることは無かったという… |