二年前はちょっぴり悔し涙な嬉し涙だった… |
未央 | 「こんなに高い所に押し上げてくれて…ありがとうみんなっ」 |
一年前は嬉し涙でも悔し涙でもあった… |
未央 | 「嬉しいけど悔しいよ…二人に追いつけなくて…」 |
私は今年、涙を流すのかな… |
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四月終わりから五月の頭。今年は凄く長いゴールデンウィークだったね。 |
そんな時期は特に学生の私たちみたいなアイドルはお仕事もレッスンも多くって… |
未央 | 「うへえ…スケジュールがみんなもびっしりだね…」 |
特に学生が多い私たちの予定のホワイトボードは書ききれないくらい埋まってたね。 |
卯月 | 「特に未央ちゃんは凄い予定の量ですね」 |
凛 | 「ニュージェネにポジパにサンノスの掛け持ちして大丈夫なんだから、尊敬するよ未央」 |
未央 | 「結構キツイけどね。ここは頑張って乗り越えたいしさ」 |
凛 | 「ちょうどこのGW前の26日に中間発表があって、それから一層燃えてる感じがする」 |
卯月 | 「分かります。あの日を境にして未央ちゃんの目がさらに力強くなったと思います」 |
未央 | 「変わってないと思うけどなー」 |
うん…しまむーとしぶりんの言う通りかも。あの発表があって私は変わった…ううん、変えたんだ。 |
未央 | 「それじゃ、私はポジパの方に行ってくるねー」 |
凛 | 「あ、私ももうトラプリのレッスンの時間だった」 |
卯月 | 「えーっと…あ、あれ?私も何かあったような…」 |
未央 | 「しまむー…いがきょんに何か頼まれてなかった?」 |
卯月 | 「あーっ!それです!」 |
凛 | 「卯月…」 |
やれやれ…しぶりんも呆れちゃってるよ、しまむー。 |
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選挙戦も佳境に入った12日の日曜日… |
未央 | 「あれ?ウサミン?」 |
菜々 | 「え?あ、未央ちゃんじゃないですか」 |
未央 | 「ウサミンも今帰りなの?」 |
菜々 | 「はいっ。今日はもうお仕事も終わりましたから」 |
未央 | 「それなら一緒に帰ろうよ。方面一緒だしさ」 |
菜々 | 「いいですね…ってウサミン星は千葉じゃないですからぁ!」 |
未央 | 「もう、今はそれは言いっこなしだよ」 |
菜々 | 「でもそうですね、一緒に帰りましょうか」 |
……… |
一緒に帰る電車の中で… |
つんつん |
菜々 | 「未央ちゃん、おーい」 |
未央 | 「へ?あ、あれ?私寝ちゃってた?」 |
菜々 | 「はい。お疲れですか?」 |
未央 | 「んーっ!うん。結構根詰めてやってたから…」 |
菜々 | 「未央ちゃんのことは色々と漏れ伝わってますよ。今年こそって頑張っていることも」 |
未央 | 「今年は…って去年はウサミンだったじゃんかー」 |
菜々 | 「去年はナナ、一昨年は楓ちゃんでしたねえ…」 |
未央 | 「頑張っても越えられなかったんだったよなあ。今悔やんでもどうしようもないけどね」 |
菜々 | 「あの…未央ちゃん」 |
未央 | 「ん?」 |
菜々 | 「本当に大丈夫ですか?」 |
未央 | 「えっ?大丈夫かって…ど、どうしたの?急に。ヘンだなあウサミン」 |
菜々 | 「何だか色々と溜め込んでるみたいな気がしてます。ナナの勘違いじゃなければいいですけど…」 |
その言葉に何だか張りつめていたのが切れちゃったのかな… |
未央 | 「…こういう時、私ってダメだね…。見透かされてるつもりは無かったのに」 |
その言葉の後にはもう、ウサミンの胸の中に顔があったよ。 |
未央 | 「走り続けていないとどんどん不安になっちゃって…弱いところ見せないようにって…」 |
菜々 | 「分かります。去年のナナもそんな気持ちでしたから」 |
未央 | 「…そっか…」 |
菜々 | 「未央ちゃん、時間はあります?」 |
未央 | 「あるよ…どうしたの?」 |
菜々 | 「もし良かったら、一緒に降りてくれませんか?一緒に行きたいところがあるんですけど…一時間くらいで済むと思います」 |
未央 | 「一時間…それなら大丈夫かな」 |
菜々 | 「それならあと何駅かで降りますから準備お願いしますね」 |
……… |
そんな私が連れてこられたのは… |
未央 | 「ウサミン、ここって…もしかしてあの写真の?」 |
菜々 | 「はい。ナナが小さい頃に夢を誓った…ううん、叫んだ場所です。それから…夢を信じて良かったと感じた場所です」 |
未央 | 「この景色を見て泣いてたんだ」 |
菜々 | 「お恥ずかしながら…ほら、未央ちゃんも思いの丈を叫んじゃいましょう」 |
未央 | 「ええっ?!」 |
菜々 | 「地元だとできないと思いましたから、こういうところで全部ぶつけて発散してしまいましょう」 |
未央 | 「そっか…言われたら納得したよ。じゃあ…」 |
私は思い切り息を吸い込んで… |
未央 | 「絶対…絶対に…星を掴んでみせるぞーーーーーーーーーーーーっっっっ!!!」 |
もうこうなったら止まらなかったよ。 |
未央 | 「ずっとずっとーーーー!!突き進んでやるんだからーーーーーっっっっ!!!」 |
ずっと心につかえていたもやもや、それが少しくらい晴れてスーッとなった気がする。 |
未央 | 「はあ…はあ…はあ…」 |
菜々 | 「未央ちゃんの心の声、ちゃんと聞き留めましたよ」 |
未央 | 「…ありがと、ウサミン」 |
言葉の力って…凄いよね。 |
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運命の日5月20日。私はいつも通り学校に向かった。 |
友人 | 「おはよっ、未央ちゃん。今日は早引けって本当?」 |
未央 | 「おはよう。できるだけ居れても二限か三限までかなー」 |
友人 | 「大変だね。お仕事…じゃないよね」 |
未央 | 「うん…」 |
友人 | 「心配?」 |
未央 | 「そりゃあこの未央ちゃんでも、毎年この発表は心配というか緊張というかするものですよ」 |
友人 | 「そっか…でもやれるだけのことはやったんでしょ。大丈夫だよ」 |
未央 | 「そうだね…こんな表情じゃ私らしくないかっ」 |
元気をもらえる…友達ってやっぱり良いよね。 |
未央 | 「おっと、プロデューサーからLIOEだ…やっぱり早めにしようかな…っと」 |
友人 | 「じゃあ二限で早退?」 |
未央 | 「そうしとくよ」 |
……… |
もちろん朝の時間でも色々聞かれたりはしたし、授業時間中も気が気じゃなかったよね。 |
未央 | 「ほんじゃ、みんな。行ってくるねー」 |
二限が終わって鞄に荷物をまとめて…みんなの視線がちょっとプレッシャーになって押し寄せてきた感じかな。 |
未央 | 「玄関行く前に職員室っと」 |
私は職員室で先生に挨拶して、玄関まで…もちろん廊下は走っちゃダメだから歩いてだよ。 |
未央 | 「あ、いたいた。プロデューサー!」 |
P | 「来たな、おつかれさん。今日は本当は公休取れたんだろ?」 |
未央 | 「でもいつもの生活リズムは崩したくなかったからねー」 |
P | 「そこも未央らしいところだな。じゃあ乗ってくれ」 |
未央 | 「このまま直行するの?」 |
P | 「奈緒と美羽をそれぞれ学校で拾ってからだ。千葉組は学校好きだな」 |
未央 | 「だって楽しいもん。ちゃんと両立させなくちゃって言ったのはプロデューサーでしょ」 |
P | 「ま、そうなんだけどな…」 |
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それから約二時間後、私の流したのは… |
未央 | 「みんな…みんな、ありがとう…!!」 |
心からの嬉し涙だったよ! |