Angle of Secret(秘密の角度)

カタカタカタカタ…
夜のとある部屋。キーボードを叩く音が響き渡る…
???「ふうん、これはもう少し踏み込んだものの方が良さそうね…」
コクンっゴクンっ
???「ふう…」
コーヒーを一口飲んだ後、その女性はおもむろにメールソフトを立ち上げて…
カタカタカタカタ…
???「○○○○、××××の二組の物をもう少し、あと□□□□とユニット△△△についての物を新しくお願いします…これでいいわね」
カタンッ
???「今日でなくても明日の朝にでも反応してもらえればいいわ。これで反応を待ちましょうか」
カタカタカタカタ…
その女性は再びパソコンへと向かって別の作業を始めた。
………
♪〜
その頃、ある女性のスマートフォンが鳴動する。
「メール?こんな時間に誰でしょう?」
時間は夜の9時。
「なるほど、あれでは足りないんですね。ちょっと調べましょう」
女性は本棚に並べられた冊子を何冊か取り出した。
「そうですね…」
パラパラパラペリペリパラパラパラ
ページをめくっていくと目的の物が見つかった。
「これと…これ、それにこれなんかどうでしょうかね。さて次も探しましょう、その前に…」
スマートフォンを操作してメールを打ち始めた。
「それぞれたぶん見つかりそうです、明日事務所に持っていきますね……さて寝る前まで探しましょう」
結局夜の10時ほどまで掛かってしまったようであった。
………
翌日…
ガチャっ
椿「おはようございます」
マキノ「おはよう椿さん」
椿「おはようございますマキノちゃん」
ここは事務所のアイドル用の控え室。
マキノ「それで昨日の件だけど、どうだったかしら?」
椿「これでどうでしょうか、確認お願いしますね」
椿はカバンから数冊のアルバムを取り出した。
マキノ「今確認するわ。椿さんはちょっとこっちを見ていてもらえる?」
椿「はい。これが今のところの予定分なんですね…」
椿はマキノが持ってきた端末に見入った。その間にマキノはアルバムを見始めた。
マキノ「椿さん、この写真はいつ撮ったの?写真係に結構付いて回ってはいるみたいだけど」
椿「確か4月頃のイベントでしょうか。フィルムに書いてあるので詳しくはそっちを見ないとですが」
マキノ「相変わらず天性のシャッターチャンスね。これだけの写真が揃えられれば大丈夫でしょう、データのディスクは…」
椿「それぞれのアルバムの最後のページにCD-Rを入れてあるのでそれにです」
マキノ「これは大収穫よ。それぞれのプロデューサーのチェックは受けてもらうけれど、とりあえずギリギリで攻めましょう」
椿「くれぐれも秘密裏で」
マキノ「出所はどこかバレバレになるのだけれど、本当にプロと遜色無いのが恐ろしくもあるわ」
椿「そうでしょうか、ただ趣味でやっていることがこうして披露できる機会が出来て嬉しくもあります」
マキノ「でも本人にとっては少し不幸かもしれないわね」
椿「フフフ、そうですね」
マキノ「ええ…フフフ」
二人は不敵な笑みを浮かべた。
マキノ「さて、発表順はどうしようかしらね。椿さんは何か良い案があったりするの?」
椿「まずは各担当プロデューサーの承認を得てからにした方がと思います。それから決めましょう」
マキノ「そうね…とりあえず今日中に連絡を送るわ」
椿「でもまさか私のこれで私達で一コーナーいただけるなんて、思ってもみませんでした」
マキノ「番組プロデューサーが椿さんの才能を聞き出したとかいう話から始まったようね」
椿「別番組の時にお話があって、その時持っていた写真を見せたら即決されてしまったようで…」
マキノ「これがこうしてこの企画書にある番組の一企画にまでなってしまったのだから、椿さんにはもっと自信を持ってもらいたいの」
椿「…そうですね」
マキノ「それでさっき何か案があったみたいだけど?」
椿「この量だと、プロデューサーごとに1組ずつくらいでいけないかなと」
マキノ「そうね、まずはプロデューサー単位で分けてみるわ」
カタカタカタカタカタカタ
端末で色々と確認をしていくマキノ。
マキノ「…そうね、各々2組くらいずつはいるみたいだからその案か、私は地方単位で何人かという形もどうかと思ったの」
椿「そうなると少しバランスが難しそうな気がしますし、それに海外の方の配分が難しくなりますよ」
マキノ「そう、海外勢の取り扱いがどうしようかという話ね…と、そろそろ誰か来るわ。この話はまた別の場所でしましょう」
椿「はい。今日の夜はそちらにお邪魔しても?」
マキノ「ええ。取材の後は特に予定は入れていないから」
椿「許可が取れたものから、そろそろ私も書き起こししないとですよね」
マキノ「提出期限もあと数週間だから一緒にやりましょ」
………
卯月「今日はCS○○チャンネルから長時間の生放送でお送りしています『美城365番地』、続いての企画はこちらです」
一瞬でスタジオの照明が落とされ…
パッ
スポットライトが灯った場所に居たのは…
椿「レンズの向こうに見えるのは…」
マキノ「真実の姿という名の油断…」
グラビアの時のスパイ衣装に身を包んだマキノとその色違いに身を包んだ椿だった。
椿「全てはこのカメラが覚えています」
マキノ「シャッターが下りた時、それは一つの事実になる」
椿「どんな場所でも角度でも」
マキノ「私たちは貴方を逃さないわ!私たち…」
椿・マキノ『ファインダー!』
口上が終わり、ようやくスタジオの照明が戻った。
マキノ「はい、ここからは私たちファインダーがお送りするコーナーよ。私は八神マキノ、そして…」
椿「江上椿です。皆さん、ちょっと覚悟をしてくださいね」
マキノ「私たちのコーナー、その名も…」
ジャンッ♪
椿「『美城マイナス1番地』です。これは私が撮影係として色々な方の撮影を行った中から…」
マキノ「厳選したとても地上波ではお送りできない写真をお送りするわ」
スタジオが俄かにざわめき始めた。
椿「各担当プロデューサーごとに1組もしくは2組くらいずつになります」
マキノ「写真に関しては担当プロデューサーと統括プロデューサーにOKを貰っているから、あとは自由に弁明してもらえるかしら」
椿「まずはYプロデューサー…レッドバラードやカナリアサマーなどの担当の方です」
マキノ「プロデューサーの名前はさすがにイニシャルとさせてもらうわね」
椿「ではサクラブロッサムのこの写真をどうぞ」
二人の横のモニターに唯の頬に付いた何かのタレを千夏が舐め取っている写真が映し出された。
「何この写真、撮られてたのっ?!」
千夏「これ…花見の時のかしら…」
椿「これは今年の春の事務所のお花見の時の一枚です。本当にこの時はいい写真が多くてこの後も何組か登場します」
マキノ「使いたい写真が多くてこれでも厳選したのよね…」
「誰も見て無いと思って油断してたー」
千夏「もう、ティッシュで取らないでなんて唯ちゃんが言うからこうなるのよ…」
椿「続いても…」
このコーナーが終了するくらいには皆の椿を見る目が変わっていたのは言うまでもない事であった…
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あとがき
飛神宮子です。
Twitterで「#346プロの色々な回」のタグに自分がネタとして書いたもの、それをそのままネタにしました。
というよりは元々書こうとしていたネタを簡略化してツイートしただけなのですが。
マキノ達に天性の才能と言わしめたんですから、きっとそうとうなものなのでしょうね。
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2015・10・31SAT
飛神宮子
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