With a Mystery on your Birthday(誕生日に謎を添えて)

1/6のとあるアイドルルーム…
加奈「都ちゃん、お誕生日おめでとう!」
早耶「おめでとぉ、都ちゃん」
「加奈ちゃん、早耶さんありがとうございます。わざわざこちらまで来てもらえるとは」
加奈「いいんですっ、ユニット仲間の誕生日だもん。ね、早耶さん」
早耶「そうですぅ、そんなこと気にしちゃダメですよぉ」
マキノ「あら、随分とにぎやかになったわね」
椿「そうですねマキノちゃん、あれも都ちゃんの人徳がなせることですよ」
カシャッ
マキノ「ええ、そうよね」
頼子「都ちゃん、ケーキはどれにします?」
「頼子さんありがとうございます。そうですね…」
頼子「ゆっくり時間を掛けて選んでください」
「むっ…?頼子さんがそう言うということは…このケーキには何かありますね」
頼子「フフフ、それはどうでしょうね…」
「…あっ、そういうことですか」
加奈「えっ、何か分かったの?都ちゃん」
「ええ、この1か所だけ意味ありげなユズのジュレで作られたひよこがカギですね」
頼子「…気付きましたね」
「このケーキの話をしてきた今が3時ちょうど。それですべてが解決しました」
早耶「ええっ、そうなのぉ!」
マキノ「なるほど、なかなか面白い仕掛けね」
椿「マキノちゃんも分かったんですか?」
マキノ「ええ、おそらくね。ここは都の推理を聞いてみましょう」
「ユズということは喜多見さん、そして雛は日菜子さん…つまりそちらを北とすると反対側は南。ですよね?頼子さん」
頼子「そうですよ、あと少しです」
「確か太陽の位置から大体の南を割り出す方法があったはずです…その逆を使えば…」
頼子都は8等分されたケーキの1ピースを指した。
「答はユズのジュレの反対、その45度右回りにあるこちらが答え…ですね、頼子さん」
頼子「…よく見破りました。こちらにだけ特別な物が入れてあるんです」
「はあ…よかったぁ。合ってました」
頼子「ではどうぞ、都ちゃん」
「はい、ありがとうございます」
頼子「皆さんも食べてください。プロデューサーも後で食べてくださいねー」
………
パーティが終わり、都と頼子の二人きりとなったアイドルルーム…
「頼子さん、今日はありがとうございました」
頼子「いえ、誕生日ですからこれくらいは…」
「ケーキにあんな謎解きを作っていただけるなんて、思ってもみませんでした」
頼子「あの仕掛けはプロデューサーが考えてくれたんです」
「そうだったんですか」
頼子「都ちゃんには簡単すぎました?」
「いえ、ちょっとしたヒラメキがなければ難しかったですよ」
頼子「そうでしたか…」
「でもとても楽しかったです」
頼子「喜んでいただけたなら良かったです」
「それでですがこの手紙は…新たな謎ですね」
頼子「はい。プレゼントはもう渡しましたけど、答えにもう一つのプレゼントがあります」
「なるほど…今日だけで解けるか自信無いですけれど…」
頼子「期限はあと1時間ありませんよ」
「1時間弱ですか!?」
頼子「私が帰っては意味が無いですから、私が帰るまでです」
「それなら早く解かないと…」
頼子「いつでもギブアップされて構いません」
「それは探偵としてのプライドが…」
頼子「そうですよね…フフフ、頑張ってください」
「騎士、果物、島、子爵…使わないなら奪ってしまう…と」
頼子「この怪盗は何かを奪うつもりなんですね」
「ヒントは、本棚上から三段目の端…ですか」
都は本棚へと向かっていった。そこには…
「辞書ですか…しかも和英…」
都は一つ一つの単語を調べ始めた。
「騎士はKnight、果物はFruit…あ、フルーツですからね」
頼子「その調子ですよ、都ちゃん」
「島はIsland、子爵…ほお、子爵はViscountと言うのですか」
頼子「もうあと一息ですね」
「この単語が意味するところは…うーん…」
刻一刻と時間は進んで行く…
 
「使わない…しかしこんな単語は普段使わないですよね」
頼子「都ちゃん、ずいぶん悩んでいますね」
「頼子さん、あとどれくらいですか?」
頼子「あと20分ほど…正確には18分ですね」
「あと18分…エイティーン…」
頼子「もう一つヒントがありますよ、今の言葉です」
「えっ?エイティーンですか?」
頼子「はい…」
「エイティーン…確か綴りはEighteenですが…使わないなら奪われる…」
頼子「制限時間までに都ちゃんは解けますでしょうか…」
「使わない…Eighteen………あーっ!もしかしてっ!」
頼子「理解しましたか?」
「つまりこの4つの単語は…これと、これと、これと…おそらくこれ…って、え?」
その刹那…
チュウッ
強烈な長い口付けが頼子から都へと結ばれた
頼子「はあっ…おつかれさま、都ちゃん。正解です」
「ぷはっ…怪盗頼子さんに奪われたのは唇でしたね…」
頼子「こちらの謎はどうでしたか?」
「なかなか手強かったですが、また楽しい謎をありがとうございます」
頼子「喜んでもらえて何よりです」
「しかしまた2つも頼子さんに奪われてしまいました」
頼子「えっ、私が奪ったのはその、唇…だけですけれど」
「いえ、私の心もしっかりと奪われてしまいましたよ」
頼子「都ちゃん…」
「頼子さん、今日は色々とありがとうございました。それで…」
チュウッ
都もいつもより少し長めのありがとうを籠めた唇を頼子の唇に乗せた。
「これは今日のお礼です」
頼子「はい…嬉しいです。ありがとうございます…」
今日という日は都にとっても頼子にとっても思い出に残る一日となった…
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あとがき
飛神宮子です。
今月のLily枠9発目、ディテクティブヴァーサスことよりみやです。
この連続Lily期間では聖・イヴを除くと、書いている組の面々では都が唯一の誕生日でした。
なのでそこに謎を添えて。後半の単語のヤツは単語の中で「読まない(=使わない)文字」という話でした。
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2019・01・06SUN
飛神宮子
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