Valentine Duet 2018 -A Part-(バレンタインの二重奏2018〔Aパート〕)

古澤頼子×安斎都

ここは14日夕方、とあるアイドルルーム…
「頼子さんお待たせしてすみません。学校が長引いてしまって」
頼子「いいんですよ。今日はお渡ししたい物があっただけですから」
「私もそれがあって寮に寄ってきたのもあって…」
頼子「はいどうぞ、都ちゃんのためにちょっと仕掛けをしましたよ…」
「なになに…謎解きですか」
頼子「簡単な謎解きで解ける箱です」
「これは寮まで楽しみに取っておくことにして…頼子さん、はいどうぞ」
頼子「ありがとうございます…これは?」
「ネットを見てたらなかなか頼子さんに良さそうなものが見つかったので」
頼子「私というと…名画か何かでしょうか」
「はい!中は開けてみていただいてかまわないですよ」
頼子「そうですか、ではさっそく…なるほどそういうことでしたか」
「そういうチョコレートがあるかなと、思い立ってちょっと探してみていたんですよ」
頼子「これは大切に戴かせてもらいます」
「しかし今日はやはりというか、あちこちで見られましたね」
頼子「そうでしょう…現に私たちですらそうなんですから」
「そのせいか、寮も昨日からどこに行ってもチョコの薫りなんですよ」
頼子「フフフ、それはまた鼻血が出てしまいそうですね」
「まったくですよ…アハハハハ」
苦笑も笑顔に変わるそんな日…

結城晴×的場梨沙

ここは14日夜、寮の梨沙と音葉の居室…
「うーっす、毎年毎年本当にみんな凄いもんだな」
梨沙「それはそうよ、一大イベントだもの」
「つーてもよ、オレの場合は部屋になあ…」
梨沙「今年はどれくらいなの?」
「今日までの分でそこの段ボール2箱くらいだぜ、食い切れるかなあ」
梨沙「あんまり食べ過ぎるとニキビ出るから気を付けなさいよ」
「梨沙に言われなくたって分かってるよ。そんでほい、オレからな」
梨沙「ありがと晴…」
「あれ、オマエからは?」
梨沙「…明日でいい?」
「別に良いけどよ…どうしたんだ?」
梨沙「…ックっ…ンッ…」
「お、おい!急に泣くなって!」
梨沙「失敗したのよ…今日までにできないの…」
「それくらいで泣くなよ…オレはオマエのなら何日でも待ってやるぜ」
梨沙「パパのは上手くいったのよ、なのにどうして晴の分だけ…」
「落ち込むなって…梨沙らしくねーな」
梨沙「アタシだってこうなる時もあるわよ」
「ま、今日はオレのチョコ一緒に食おうぜ」
梨沙「…そうするわ…」
涙顔も少しずつ明るくなるそんな日…

浜口あやめ×脇山珠美

ここは14日夕方、寮のあやめの居室…
あやめ「珠美殿、ここを教えてもらえませんか」
珠美「ここですか…ここは確か…確か…あやめ殿、教科書を今一度見せてもらえますか」
あやめ「教科書ですか、こちらです」
珠美「いや一応憶えてはいるはずなのですが、自信がなくてですね」
あやめ「こうして教えてもらえるだけでもありがたいことです」
珠美「珠美はこれでも先輩ですからね…あ、ありました。やはりこちらです」
あやめ「珠美殿、かたじけない…なるほど、そういうことでしたか」
珠美「あとはこの形で構成をすればできるはずです」
あやめ「ありがとうございます。やはり先輩は頼りになりますな」
珠美「えへへ…」
あやめ「そんな先輩にはご褒美でありますぞ」
珠美「ご褒美ですか?」
あやめ「今日は何の日かお忘れでありますか」
珠美「何の日かは…それはご褒美ではないのでは」
あやめ「良いではないですか、言葉の綾というものです」
珠美「珠美も用意はしてありますが…」
あやめ「では一緒に食べましょう」
珠美「確かに…そろそろちょっと休憩しましょう」
あやめ「お茶…こういう時は飲み物は何が良いのでしょうかね」
珠美「そうですね、紅茶かコーヒーでしょう」
あやめ「コーヒーなら確かありますな…珠美殿は砂糖と牛乳は…」
珠美「お願いします」
頭を休めるホッとした時間も楽しめるそんな日…

木村夏樹×安部菜々

ここは14日夜、菜々の家…
夏樹「まったく、二年連続で家に忘れてくるもんか?」
菜々「本当に今年も取りに来させてスミマセン」
夏樹「まあいいんだけどな。アタシの宿泊と引き換えだからな」
菜々「ナナは別に構わないですけど、夏樹さんは良いんですか?」
夏樹「明日はグラビアの仕事で元から公休貰ってるからさ」
菜々「それならいいですけど…あ、やっぱり台所でした」
夏樹「ん、ありがとな」
菜々「さてと…ご飯は食べてきちゃいましたしお風呂入りますか?」
夏樹「そうだな、先に入らせてもらっていい?」
菜々「構いませんよ。ナナは布団とか洗濯とか済ませてから行きますね」
夏樹「了解。あ、そうだちょっと」
菜々「何でしょう夏樹さん」
夏樹「ファンからもらった入浴剤、入れていいか?」
菜々「いいですよ」
………
夏樹「あるところにはあるもんなんだな…」
菜々「むせ返るくらいの薫りってこういうのなんですねえ」
夏樹「ま、入れちまった物はしょうがない。入ろうぜ」
菜々「そうですね。上がったら…一緒に本物を食べましょうね」
こんな薫りも楽しむ気持ちに変わっていくそんな日…

工藤忍×綾瀬穂乃香

ここは14日夜、寮の忍の居室…
コンコン
穂乃香「忍ちゃん、今大丈夫ですか?」
『大丈夫だよ、入って』
ガチャっ バタンッ
穂乃香「点呼も近いですから手短にしましょう」
「そうだね。お互い階長だとこの辺がどうしてもね」
穂乃香「とは言ってもこの前一緒に買いに行った物ですが」
「だからお互い中身はある程度分かってるもんね」
穂乃香「ではどうぞ、今年は平日ど真ん中でしたから時間が…」
「アタシ達テストも近いから仕方ないよ」
穂乃香「もう始まってる方もいるみたいですし、忍ちゃんは明後日金曜日からですよね」
「穂乃香ちゃんもでしょ?」
穂乃香「はい…明日は一緒に勉強しましょうか」
「そうだね、ある程度は大丈夫だと思うけど…お仕事で学校休んでた所とかさ」
穂乃香「それなら今日渡し合うチョコでも食べながらでどうでしょう」
「それいいかも。糖分補給は大事って言うし」
穂乃香「忍ちゃんは何教科です?」
「アタシは8教科かな。今回学年末だから範囲広くてねー」
穂乃香「私は9教科ですから…今週ラジオが無ければ良かったんですが…」
「ホントだよ、録音にしてもらえばよかったかなあ…」
だけど二人でならきっと大丈夫、そう思えるそんな日…
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あとがき
飛神宮子です。
去年に続き今年もバレンタインオムニバス、去年より6組増えた20組を4つに分けました。
A・B・Cに関してはほとんど分類の意味はなく、ランダムに割り振った感じです。
それでは以下に1行ずつそれぞれの後書きというか解説を。
 
古澤頼子×安斎都:都が頼子にあげたのは名画が個包装の包み紙に描かれたチョコです。
結城晴×的場梨沙:大切な人にあげたいのに失敗…やっぱり悔しい想いになりますよね。
浜口あやめ×脇山珠美:高校生といえばこの時期にテスト。そんなお時間も一緒にできる仲間が居ればです。
木村夏樹×安部菜々:去年も菜々には忘れさせましたが今年も。最後の入浴剤はチョコレートの物です。
工藤忍×綾瀬穂乃香:二人の寮での立場とやっぱり高校生同士はテストも。それでも仲良しの二人ですからね。
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2018・02・14WED
飛神宮子
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