Valentine Duet -X Part-(バレンタインの二重奏〔Xパート〕)

鷹富士茄子×白菊ほたる

ここは14日夜、二人の住むマンション…
茄子「たまにはチーズフォンデュもいいですね〜♪」
ほたる「こういう野菜も美味しく食べられて…いいですね」
茄子「でもそれだけでお腹一杯にしないでください、ほたるちゃん」
ほたる「もちろんです…一緒に買いに行きましたからね…」
茄子「…フフッ」
ほたる「どうしたんですか?茄子さん」
茄子「んー…こうしてほたるちゃんと二人で過ごせるのが幸せだなって思ったんです」
ほたる「…私もこんな幸せな時間が過ごせるなんて…昔を考えたら思えませんでした…」
茄子「過ぎたことはいずれ思い出になりますから…だからこそいい思い出になるようにこれからも…ね」
ほたる「茄子さんと二人ならきっと…」
………
チョンチョン
茄子「ふーふーふー…ほたるちゃん、あーん」
ほたる「あーん…んっ、甘くてちょっとほろ苦くて美味しいです」
茄子「一度はやってみたかったんですよね、チョコフォンデュも」
ほたる「茄子さん、やったことは…」
茄子「一人でやるのは寂しいですから…こうして誰かとやった方が絶対に楽しいです」
ほたる「確かにそうですね…」
チョンチョンチョン
ほたる「ふーふーふー…茄子さん、あーん」
茄子「あ〜ん…あむっ、こういうビスケットもこうして食べると楽しくて美味しいですね」
ほたる「私も次お願いします」
茄子「じゃあいきますね……」
………
チョコもあと少しのところで…
ほたる「付ける物が無くなっちゃいましたね」
茄子「ん〜…勿体無いですし…あっ!そうです、ちょっと待っててください」
茄子が台所から持ってきたのは…
茄子「量も残り少ないので剥いて丸ごと付けちゃいましょう」
それにベットりと纏わり付くチョコ。
茄子「真ん中に刺して…両側から…ね」
ほたる「はい…大きいですけど頑張ります」
両側から食べ進められていく特製のチョコバナナ。少しずつお互いの唇も近付いていき…
チュッ…
二人の唇は時を忘れたかのように、互いの形を求め甘い思い出をまた一つ描いていった…

相川千夏×大槻唯

ここは14日夜、千夏の住むマンション…
「ふぃー…疲れたー…」
千夏「今日までテスト期間だったものね、お疲れさま」
「明日はちなったんとお仕事だから公休もらえて良かったよー」
千夏「そうね、明日のお仕事も頑張りましょう」
二人は一緒のベッドの上で横になっている。
「ねえねえちなったん、ゆいのこと癒して癒してー」
千夏「…どうして…ほしいの?」
「えっ?えっ?」
千夏「具体的に言わないと分からないわ」
「えっと…な、何か今日のちなったん、ヘンじゃない?」
千夏「あら、私はいつも通りよ唯ちゃん」
「う…んー…じゃ、じゃあゆいに、チョコ食べさせて…」
千夏「そう…」
千夏は箱から四センチ角のチョコレートを取り出した。
千夏「んっ…」
そのチョコの角を食む千夏。
「ちなったん…行くよっあむっ…」
その対角から近付く唯の顔、そして…
『んっ…ちゅっ…ちゅぷっ…ちゅぅ…』
チョコが砕け溶けて二人の喉へ流れても、その唇のPlombまではしばらくそのままだった…

今井加奈×矢口美羽

ここは14日夕方、千葉へと美羽を送るPの車の中…
加奈「美羽ちゃん、今日のイベント凄かったね」
美羽「限定100人だったけど、熱気が強烈だったっ」
加奈「プレゼントのクッキー、みんな食べてくれたかな?」
美羽「響子さんとかな子さんにみっちり指導受けたから、試しに食べたのも美味しかったねー」
加奈「お菓子は分量って本当だったね。また一緒に作ろうよ」
美羽「うんっ」
加奈「あ、そうだ…」
加奈はカバンから細長い袋を一つ取り出した。
加奈「ねえ、美羽ちゃん」
美羽「どうしたの?加奈ちゃん」
加奈「これ、食べようよ。せっかく作ったんだし勿体無いよ」
美羽「…うん」
加奈が袋から出して手に持ったのは…
美羽「加奈ちゃんがそっちからで私がこっちからだね」
加奈「…行くよっ」
サクサクサクサク カリカリカリカリ
このために一緒に焼いた特製の細長いココア味のクッキー、それが両側から徐々に消えていく…
『チュッ…ちゅむっ…ちゅうっ…ぷちゅっ…』
その距離が0になった時、二人の唇からは柔らかい音が紡がれる…
「おい、加奈、美羽…!」
二人『へっ!?』
「…あのな…お前達がそういう関係なのは俺も一応知ってるからいいけど…外なんだし俺もいるんだからな…」
二人『あっ…』
「まあ一応社用車だから対策で外からは見えない窓ガラスにしてあるけどさ…」
状況を思い出した二人、ただただ顔を真っ赤に染め上げるしかなかった…

多田李衣菜×前川みく

ここはバレンタインの週の金曜、李衣菜の家の…
みく「最初聞いたときはりーなチャンの気が狂ったかと思ったにゃ…」
李衣菜「えー、でもみくちゃんだって乗り気だったじゃん」
みく「いや面白そうとか一度はやってみたい気持ちはあったにゃ」
李衣菜「やっぱりねー」
みく「でも本気でやるとは思わなかったの」
李衣菜「そのためにちゃんと準備したんだからねー」
みく「でもどうしてこういう時に限って、りーなチャンの計画を止めるような人が家にいないのー」
李衣菜「というかみくちゃんが家に来たいって言ってたじゃん」
みく「うっ…」
李衣菜「ちょうど旅行とか出張で家族みんないないから、呼ぶのにちょうどいいじゃんって思ってさー」
みく「でもみくはさっきも言ったけど、言ってたことを本気でする気だったとは思わなかったにゃ…」
李衣菜「もうそれは言いっこなしっ!せっかく水着にも着替えたんだし…」
みく「…ビニールプールなんて小学校低学年以来かも」
李衣菜「物置にあったの引っ張り出してきてちゃんと洗ったんだよ」
みく「そこまでされたら…どっちからする?」
李衣菜「じゃあまずは私からでいい?どうせ…」
みく「いいよー。みくは後でゆっくりりーなチャンを愉しませてあげるにゃ」
李衣菜「ホントみくちゃんってネコなのにこういう時はネコじゃないんだから…」
みく「だってりーなチャン、カワイイもん」
その言葉に…
李衣菜「みくぅっ!」
風呂場に置かれたビニールプールへと口付けされながら押し倒されたみく。
みく「んむっ…りーなチャン!いきなりはなしにゃっ」
李衣菜「もうガマンできないよ、みくのこといただきますっ!」
李衣菜の両手に持っていた物から次々とみくのお腹へ胸へ脇へ腕へ脚へ…あらゆる場所へと放たれる甘い物…
李衣菜「…チョコクリームとチョコとみくの味が混ざって…バレンタイン最高っ!」
みく「りーなチャン…はあっ…掛けた所はちゃんと責任とって全部舐め取ってね…」
李衣菜「もちろん…でも何か甘い物以外の味もちょっとしてるよ」
みく「それは…りーなチャンの意地悪ぅ…」
李衣菜「でも舐めとる前にもうちょっと掛けよっかなー」
みく「後でしっかりじっくり反撃してあげるから…覚悟しとくにゃっ…」
多田宅風呂場で夜中まで行われたMessyの宴、攻守逆転後の李衣菜の弁は…
『これ…癖になっちゃうよぉ…また…お願いしたらしてくれるかな…』
だそうですよ…
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あとがき
飛神宮子です。
14組の艶なる縁な宴。最後の4組はここまで書かなかった「キス」有です。
チョコ一つにしても通じ方は様々で人それぞれで…というところで今連作を締めたいと思います。
この「A・B・X」というのは…分かる方もいるかと思いますが、某ライトノベルを何となく思い出して付けました。
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2017・02・14TUE
飛神宮子
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