Valentine Duet -A Part-(バレンタインの二重奏〔Aパート〕)

脇山珠美×浜口あやめ

ここは14日夕方、寮のとある廊下…
あやめ「珠美殿ー、ちょうどお帰りでしたか」
珠美「あやめ殿ですか。どうしました?」
あやめ「まずは部屋に入れていただきたいのですが」
珠美「構いませんが…」
珠美の居室へと入る二人。
珠美「何かあやめ殿に借りていましたっけ?」
あやめ「いえ、こちらを受け取ってもらいたいのです」
あやめが差し出したのは綺麗にラッピングされた箱。
珠美「これは…そういうことでしたか。それなら…」
珠美は寝室へと一度入って戻ってきた。
珠美「あやめ殿のお口に合うかは分かりませんが、珠美からです」
あやめ「珠美殿…ありがとうございます!」
珠美「こちらこそありがとうございます。珠美も夜にはお邪魔しようと思ってましたし」
あやめ「今日は事務所でもあちらこちらで居りましたね」
珠美「特に通い組の方が渡されているようでしたな」
あやめ「その点は寮生であるあやめ達はこうして、二人だけの場所で渡せるのでありがたいです」
珠美「今日は寮でも甘い薫りが漂うのでしょうね」
あやめ「フフフ、それもまたアイドルの寮らしくてよろしいかと」
珠美「アハハハハ、確かにそうですね」
二人の顔は自然と笑顔に変化していった…

奥山沙織×浅野風香

ここは14日夕方、寮のとある談話スペース…
風香「沙織さん、ちょっと失敗しちゃったんですけど…これどうぞ」
沙織「ありがとな、風香さん。わだすからもこれプレゼントらすけ」
風香「ありがとうございます。昨日作っていたんですけどその…失敗して材料ももう無くてですね…」
沙織「そんな謝らんでいいべさ。手作りしてもらった物に悪い物はねえさ」
風香「はい…」
沙織「風香さんみたいな学生はそれでなくても時間取れなくて大変だべ?」
風香「テスト期間近いですし勉強もしなくちゃですね…」
沙織「んだな、高校はもうそんな時期なんだべな」
風香「また勉強教えてもらってもいいですか?」
沙織「わだすで教えられるとごなら、いつでも部屋に来てな」
風香「今日さっそく行ってもいいです?」
沙織「構わねえさね。この箱の中身一緒に食べながらやるべな」
風香「この後ご飯食べてお風呂に入ったらお邪魔しますね」
沙織「それは一緒に行くべさ。お風呂出たらお茶の準備して待っとるすけ」
風香「ありがとうございます」
沙織「テストはいつからなんだべ?」
風香「木曜日から来週にかけてです。学年末ですから範囲も多くて大変です…」
沙織「だけんども、風香さん勉強はできる方じゃ?」
風香「…だからです…自分の部屋だと他の人が教えて欲しいと来るので集中できなくてですね…」
沙織「なるほどなあ…」
そんな苦笑している風香を優しい顔で見る沙織であった…

藤居朋×依田芳乃

ここは14日夜、寮の朋の部屋…
「最近はどう?」
芳乃「最近はとても忙しくー…てんてこ舞いですー」
「あたしもそう言ってみたいわ。でも芳乃ちゃんの幸せがあたしの幸せだから」
芳乃「そう言って頂ける方が居て、わたくしとても感激です」
「それじゃあはい、芳乃ちゃん」
芳乃「これはー…」
「今日これのために部屋に呼んだんじゃない」
芳乃「ああ、そうでしたー…」
「芳乃ちゃんのためのチョコ味のおせんべい、一緒に食べましょ」
芳乃「ありがとうございます。おせんべいなのにチョコ味でしてー?」
「ちょっと調べてたら面白いものを見つけてね。ほら」
ザラザラザラザラ
そのせんべいを袋から皿の上にあけた朋。
芳乃「ハートの形ですかー、これはなかなか」
「テレビでも見ながら食べましょ。今日でしょ?芳乃ちゃんの出た番組」
芳乃「はいー、時間はそれほど多くはないようですがー」
ピッ
「はい芳乃ちゃん、アーン」
芳乃「…アーン…んっ、これは美味でありますー」
「フフッ、良かったわ」
芳乃の幸せそうな顔を笑顔で見ている朋なのであった…

及川雫×大沼くるみ

ここは14日夜、寮の二人の部屋…
「どうでしょうかー」
バタンっ
部屋にある冷蔵庫を開ける雫
くるみ「雫しゃん、どうでしゅか〜?」
「大丈夫みたいですから、お皿にあけてみましょう〜」
カポッ カポッ
二つの皿に乗るお菓子の型…
「さて〜…」
プルンッ プリンッ
「上手に出来ましたねぇ」
くるみ「とっても美味しそうでしゅ」
「さあ、こたつで一緒に食べましょう。持っていきますね〜」
くるみ「くるみ、スプーンを用意しましゅね」
「お願いします、くるみちゃん」
………
「ん〜、くるみちゃんが作ってくれた牛乳のチョコプリン、美味しいですよ〜」
くるみ「雫しゃんの作った豆乳のも、とっても美味しいでしゅね」
「くるみちゃん、はいあ〜ん」
くるみ「あーん…んー牛乳のもいいでしゅね。あっ…じゃあくるみも雫しゃんに、あーん」
「あ〜んっ…んっ…豆乳だとこういう味なんですね〜」
互いの味に心癒される二人であった…

柳瀬美由紀×海老原菜帆

ここは14日夜、寮の二人の部屋…
菜帆「この時期は美味しいチョコのお菓子が多くて嬉しいですね〜」
美由紀「うんっ。それでこれが一番の菜帆ちゃんのおススメ?」
菜帆「そうです、なのでお茶を淹れてきましょう〜」
………
美由紀「んーっ!甘くてチョコが出てきて美味しーっ!」
菜帆「これはお茶だけじゃなくて他の飲み物でも合いそうですね〜」
美由紀「うん。温かい牛乳とかどうかな?」
菜帆「いいかもしれないですね〜」
美由紀「でも菜帆ちゃん、これも和菓子なのかな?」
菜帆「んー…そう言われると難しいですけど、大福なのできっとそうでしょう」
美由紀「そっか、そうだねっ」
菜帆「あ、ほっぺに…」
サッ ペロッ
菜帆は美由紀の頬に付いていたチョコを指で取って舐めた。
美由紀「あう…付いてた?」
菜帆「はい〜、美由紀ちゃんの味もして美味しかったですよ〜」
美由紀「もー、菜帆ちゃんったらーっ」
菜帆「うふふ、これくらい私と美由紀ちゃんの仲ですから〜」
美由紀「うんっ」
その後も仲睦まじく生チョコ大福を食べていた二人であった…
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あとがき
飛神宮子です。
今月はやはりこのネタも昇華させたかったので…誰で書くか迷った挙句、今まで登場した14組の連作です。
ここまででまずは5組。これと次のBパート5組までは比較的普通のカップルな二人組です。
それぞれあげる物、作る物…やっぱり個性的なんでしょうね…。
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2017・02・14TUE
飛神宮子
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