It's Unplanned and Unexpected(予定外で予想外)

ここは1月7日の…
♪〜
とあるマンションの一室の呼び鈴が鳴らされた。
???「あら、届け物…?」
♪〜
???「何かしら…」
♪♪♪♪♪〜
???「もう…こんなことする子は…」
ガチャンっ ガチャっ
千夏「そんなに鳴らさなくても聞こえてるわ、唯ちゃん」
「だってー、ちなったんにすぐに会いたかったんだもん」
千夏「今日から学校なんでしょう?」
「もう学校終わったもん」
千夏「それにこれから私、居なくなるわよ」
「えっ、そうなの!?」
千夏「明日と来週分のラジオをこれから録り直しなの」
「ぶー…ちなったんいなくなっちゃうのかー」
千夏「海外の作品なんだけど、ちょっと作者が国内で問題を起こしちゃったのよ…」
「それならしょうがない…のかな?」
千夏「作品には罪は無いのだけれど、さすがに紹介は今はNGだって言われて…」
そこで千夏はあることを思いついたようだ。
千夏「ねえ唯ちゃん」
「どしたの?ちなったん」
千夏「時間はどれくらいあるのかしら」
「そうだなー…サイアク明日はちなったんのトコから通学でもいいよ」
千夏「学校には間に合うの?」
「だいじょーぶっ♪ちなったんのトコからなら電車で50分掛からないしー」
千夏「学校で必要な物とかは?」
「授業の道具は学校にキホン置いてあるけど。明日体育とか無いから体操着いらないし、それに制服だもん」
千夏「そこに唯ちゃんが忘れて行ったブラウスも二枚ほどあるものね」
「あっ…」
千夏「金曜日に泊まって、土曜日買い物はいいのよ。買った服を着てこっちを置いていくんだもの…」
「制服の中いっぱい着てると秋とかまだ暑いんだよ。買った服手荷物にするのやだったしー…」
千夏「下手に事務所に持って行ったら何言われるか分からないわよ…」
「あー、ゴメンちゃい」
千夏「親御さん、これでよく心配しないわね…」
「ちなったんのとこ行くって連絡するだけで安心して送り出してくれるよ」
千夏「…ええ…」
「ゆいのママとパパによっぽど信用されてるよねー」
千夏「この前の埼玉ライブでも挨拶はした…というかされたのよ、お世話になってますって」
「アハハ…そっかー。それで時間がどうかしたの?」
千夏「そろそろプロデューサーが迎えに来るから…」
千夏は本を眺めて栞を4枚挟みこんだ
千夏「この同じ色の栞の間のページを読んでいてもらえるかしら」
「これ?10ページずつくらいだね」
千夏「ええ。それ持って行くわよ」
「え、ゆいも一緒に行くの?」
千夏「唯ちゃんをここに置いて行くわけにはいかないでしょう」
………
♪〜
千夏「レッドバラードのRED NIGHT BALLAD。火曜日は私、相川千夏がお送りします」
オープニングの音楽が少し落ち着いたところで、千夏が話し始めた。
千夏「まずは明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします。では今日は文学の火曜日、2週に渡って文学作品を一つ紹介します」
いつものように定型文を語っていく。
千夏「まずここで一つお詫びです。この番組は基本3週録りなのですが、理由がありまして前回分とこの2週分は別録りの物となりました」
「ねー、まだー?」
千夏「もうちょっとだから我慢して…今回は『○○○○○』、邦題では『×××××』を紹介します」
「はーい」
千夏「今回はお正月を挟んだからというわけではないですが、特別に来てもらいました。どうぞ」
「おひさしぶりー、大槻唯だよー」
千夏「収録の日に事務所に来ていたので、せっかくなので連れて来ちゃいました」
「今日はよろしくねー」
千夏「今回紹介する作品は、女性二人を中心としたお話です。どのようなお話かは一曲の後に…」
 
「んあー!緊張したーっ」
千夏「唯ちゃんおつかれさま。そういうお話だったからセリフを喋ってもらいたかったの」
「ちなったんとのシーン、何だかドキドキしちゃった」
千夏「後半はかなり濃厚な作品だったものね」
「あの続きってどんななの?」
千夏「続き?読んでみたらどうかしら。まだ本は持ってるでしょう?」
「うん。えっと………」
にわかに顔が紅くなっていく唯。
千夏「フフフ、そういう話よ」
「もー!ちなったんー!」
千夏「あら、プロデューサーが来たわよ。ついでなら家まで送ってもらう?」
「どうしよっかなー…ううん、やっぱり初志貫徹でちなったんの家に行くもん」
千夏「テコでも動きそうにないわね…分かってるわ」
「エヘヘ、楽しみー」
………
「ちなったん、シャンプーはどれー?」
千夏「そっちの白いボトルのよ」
「あれ?変えたんだ」
千夏「あいさんからの頂き物よ。あいさん、結構色々とファンからもらうから使いきれないって言われて」
「あいさん女性人気凄いもんねー。これ凄くいい香りするっ」
千夏「今度からずっとそれにしてみようかしらって思ってるわ」
「じゃあゆいもこれにしようかなー」
千夏「ちゃんと自分の髪に合うか確かめてからにしなさいね」
「はーい。そういえばさっきの作品ってさー…」
千夏「さっきのね、あれはあの部分以降の20ページくらいが割と濃厚なラブシーンなの」
「何だか凄かったなー」
千夏「同性だと相手の弱い所も大体分かるものね」
「ゆいはもう、ちなったんの弱いとこちゃんと知ってるよ」
千夏「あら、私だって唯ちゃんのイイところは知ってるわよ」
「ねえねえ、ちなったん」
千夏「どうしたの?唯ちゃん」
「今日って…ダメ?」
千夏「明日も学校でしょ」
「でも…あんなの読まされたらぁ…」
千夏「それなら処理困るから…ここで…」
チュッ
千夏「…1回だけよ」
「…うん…」
二人がもう一度入った浴槽の中、二人の手は新たな二人だけの作品を紡ぎ出していく…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
飛神宮子です。
今月のLily枠11発目、サクラブロッサムことゆいちなです。
…実は当初の書く予定順でこの組だけ書くのをなぜか抜いてしまっていました。なので最後の最後の登場となりまして…。
今日は大体の学校の開始日。唯は色々あって正月明けは来れなかったのでしょう。そこからは愛しい人に会えるならな想いで…です。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2019・01・07MON
飛神宮子
短編小説に戻る