1月3日の朝、寮の屋上… |
珠美 | 「せいっ!せいっ!せいっ!うう…やっぱり寒いぃ…」 |
あやめ | 「珠美殿ー!珠美殿ー!」 |
珠美 | 「ん?あやめ殿、どうしましたー?」 |
あやめ | 「こちらにいましたか、おはようございます」 |
珠美 | 「おはようございます」 |
あやめ | 「朝の鍛錬中でありましたか、精が出ますな」 |
珠美 | 「まだ道場がお休みですから、空手と違って1日から寒稽古などもありませんし」 |
あやめ | 「有香殿のお姿、可愛らしかったですな」 |
珠美 | 「あ、それでどうしました?」 |
あやめ | 「この後の予定なのですが、プロデューサー殿から変更の連絡が入りまして」 |
珠美 | 「あっ…スマホを部屋に忘れていました」 |
あやめ | 「今が7時ですが、8時半には出発と1時間ほど早くなりましたぞ」 |
珠美 | 「ええっ!?そんな急にですか!?」 |
あやめ | 「それで朝ご飯はもう早めに作ったので、食べていただきたく」 |
珠美 | 「分かりました、あやめ殿…」 |
チュッ |
珠美はあやめの頬へとそっとキスをした。 |
珠美 | 「色々お手数おかけしました」 |
あやめ | 「珠美殿…」 |
珠美 | 「では行きましょう」 |
……… |
二人 | 『いただきます』 |
珠美 | 「あやめ殿、その連絡はいつの話でした?」 |
あやめ | 「あやめがその着信で起きましたから、6時半でしたぞ」 |
珠美 | 「それだともう珠美が屋上に上がっていた時間でしたね」 |
あやめ | 「何と、早い起床だったのですな」 |
珠美 | 「今日は久しぶりに6時前にパキッと目が覚めてしまいまして」 |
あやめ | 「寒いのによく起きられましたな」 |
珠美 | 「珠美も布団に籠りたいときはありますけど、学校のある時は朝練もありますから」 |
あやめ | 「さすがですな…感心します」 |
珠美 | 「それにしても1時間も早くとは…」 |
あやめ | 「プロデューサー殿もお忙しい身ですから」 |
珠美 | 「あやめ殿はどちらへ?」 |
あやめ | 「あやめは六本木の方のテレビ局で収録ですぞ。珠美殿は?」 |
珠美 | 「珠美は浜松町のラジオ局で収録した後、虎ノ門のテレビ局で収録です」 |
あやめ | 「終わったらどこかで落ち合いたいですな」 |
珠美 | 「終わるのどっちが先でしたっけ?」 |
あやめ | 「珠美殿は何時でありますか?」 |
珠美 | 「テレビの収録が確か午後5時だったかですね。あやめ殿は?」 |
あやめ | 「あやめは午後3時には終わるはずですぞ」 |
珠美 | 「それならプロデューサー殿が連れて来てくれますかね」 |
あやめ | 「そこは聞いてみます…」 |
♪〜 |
珠美 | 「あ、ちょっと電話出ますね。もしもし」 |
P | 『あ、珠美起きてたか』 |
珠美 | 「先ほどはすみません。電話を持たずに朝の鍛錬に行ってしまってて」 |
P | 『起きてたなら大丈夫だ。後でも言う話だったけどテレビ○○の方が今日はバラシかもしれないって』 |
珠美 | 「ええっ、どうしたんですか」 |
P | 『司会の人が福岡で乗る予定の便が機材トラブルで欠航らしい。新幹線か別便かで来れるかで決まると』 |
珠美 | 「でも今日だともうUターンラッシュですよね」 |
P | 『ああ。それだから来られるかどうかがまだ分かんないと連絡が入ってな』 |
珠美 | 「分かりました。それではまた8時半に」 |
タンっ |
あやめ | 「どうされたのですか?」 |
珠美 | 「午後のテレビの方が流れるかもしれないと」 |
あやめ | 「それはまたなぜでありますか?」 |
珠美 | 「司会の人が来られない可能性が出てきたらしいんです。楽しみにしてたんですけどね」 |
あやめ | 「それは仕方ないところでありますな…」 |
珠美 | 「でもまずは目の前のお仕事に全力を出しますよ」 |
あやめ | 「その意気ですな」 |
……… |
珠美のラジオ収録後の楽屋… |
P | 「珠美、今日のテレビは正式にバラシ決定だ。どうやっても都合付かなかったらしい」 |
珠美 | 「それでその収録はいつに…」 |
P | 「今日は出演者の都合で無理だから、明日の同じ時間になった」 |
珠美 | 「子どもの出演者の方多いですからね」 |
P | 「ああ、さすがにしょうがないな。小さい子を深夜収録させられないし」 |
珠美 | 「…プロデューサー殿、珠美の方を見て何か言いたそうですね」 |
P | 「いや、間違っても珠美が思っているようなことは思ってないからな」 |
珠美 | 「分かってます。では今日の珠美のお仕事はこれで終わりですか」 |
P | 「そうなるな。明日もお仕事になるけどスマンな」 |
珠美 | 「いえ。向こうの都合での話ですから、プロデューサー殿が謝らなくても」 |
P | 「それで珠美はどうする?寮に帰した方がいいか?」 |
珠美 | 「プロデューサー殿はこの後はどのような予定で?」 |
P | 「俺は本当は虎ノ門に珠美を置いて打ち合わせしたら、あやめのとこに向かう予定だったけど」 |
珠美 | 「それならあやめ殿の方に一緒に行きましょう」 |
P | 「いいのか?今からまだ終わるまで3時間は掛かるぞ」 |
珠美 | 「プロデューサー殿のご飯を買って向こうで食べましょう。珠美はこちらで弁当をいただきましたので」 |
P | 「珠美がそう言うならそれでいいか、じゃあ行く準備を頼む」 |
珠美 | 「はい」 |
……… |
六本木の某テレビ局のあやめの楽屋… |
ガチャっ |
あやめ | 「ただいま戻りました、プロデュー…珠美殿!?なぜこちらへ」 |
P | 「おかえり、あやめ」 |
珠美 | 「おじゃましてます、あやめ殿」 |
バタンッ |
あやめ | 「珠美殿どうされました、収録中では?」 |
珠美 | 「あの後正式に流れたので、こっちに来てしまいました」 |
あやめ | 「そうでしたか。あやめは珠美殿が分身の術でも会得したかと…」 |
珠美 | 「珠美は忍者じゃないんですよ」 |
あやめ | 「そうでしたな、それでこの後はどうされますか?」 |
珠美 | 「プロデューサー殿はお時間ありますか?」 |
P | 「珠美が終わる予定だった午後5時までは空けてあるよ」 |
あやめ | 「あ…それならプロデューサー殿、寮に送っていただく前に文具店かホームセンターへお願いできますか」 |
P | 「いいけど、どうしたんだあやめ」 |
あやめ | 「これから新年戻ってきた小中学生への書初めの指導が、六日まで随時ありまして…」 |
P | 「ああ、千鶴も言ってたな。よろしく頼むよ」 |
あやめ | 「はい。それで半紙や墨汁に墨がおそらく必要かと」 |
P | 「了解。じゃあまずは着替えてもらえるかな。俺は外に出てるからさ」 |
珠美 | 「終わったら呼びますね」 |
ガチャっ バタンッ |
あやめ | 「珠美殿は流れた分は明日以降でありますか?」 |
珠美 | 「今のところは明日になりました」 |
あやめ | 「大変ですな…と、すみません着替え手伝っていただけますか。このチャックを下げていただければ…」 |
珠美 | 「いいですよ、これですね」 |
ジジジジジジジジジ |
あやめ | 「ありがとうございます…フー…この解放感がなんとも…」 |
珠美 | 「あやめ殿、脱いだままでは風邪ひきますよ」 |
あやめ | 「おお、そうですな。時間を掛けるとプロデューサー殿にも迷惑となりますゆえ」 |
その後も楽屋から仲の良い二人の声が外のプロデューサーへと聞こえていたんだとか… |