The scenery I want to see with you（貴女と見たい景色）
年の瀬のとあるテレビ局の楽屋…
奈緒「っあーっ！終わったぁーっ！」
加蓮「奈緒、うるさいよ」
奈緒「いいじゃんか、今年最後の仕事やっと終わったんだし、加蓮は叫びたくならないのか？」
加蓮「私はそういうタイプじゃないし」
奈緒「はいはい、そうですねー」
加蓮「その態度、すっごい傷ついちゃうなー」
ガチャっ
凛「外からでも聞こえてきたけど、何してるの二人とも」
加蓮「凛もおつかれ、凛は明日も仕事だっけ？」
凛「うん。明日のニュージェネで終わりかな」
加蓮「ほら奈緒、まだ仕事終わってない人もいるんだよ」
奈緒「あー、まあそうか。あたし達もまだまだってとこなんだろうな」
凛「何の話？」
奈緒「いや、こっちの話。で、プロデューサーは？」
凛「スタッフさんに挨拶してたからもう来るんじゃない？」
加蓮「どうしたの？奈緒」
奈緒「あたし、秋葉原まで送ってもらう予定だしさ」
加蓮「その話、初耳なんだけど」
奈緒「朝のうちに決めてたからなー、加蓮が来る前にさ」
加蓮「ねえ凛、ズルいと思わない？」
凛「私はここの局までお父さんがフラワースタンドを持って来る予定だったから」
加蓮「うわ、何か二人ともズルいー」
奈緒「加蓮は聞かれなかったのか？」
加蓮「私は別に何にもー。でもだったら奈緒についてっちゃおうかなー」
奈緒「え、あたしにかー？」
加蓮「ダメってことは怪しいなー」
奈緒「いや、そういうわけじゃないんだ。今日明日までは混んでそうだから連れて行きたくはないんだよ」
加蓮「そうなの？あー、何かもしかして例のイベントってヤツ？」
奈緒「それそれ。それ終わりでこっちにも多少なりとも流れてくるからさー」
加蓮「それならやめとこっかなー」
奈緒「うん。やめといた方が賢明だぜ」
加蓮「じゃあ私はどうしよっかなー。街中はいくらみんな帰省してても混んでそうだしなー」
凛「無理しない方がいいんじゃない？また風邪でも引いてもこもこにされるんじゃない？」
加蓮「あれはプロデューサーが過保護すぎだったの。凛、何で知ってるの」
凛「あれ結構有名な話だし、藍子も言ってたんだけど」
奈緒「あー、あの話かー」
コンコン
奈緒「はーい」
ガチャっ
Ｐ「あれ？まだ着替えしてもなかったのか」
凛「もう楽屋明け渡さないとダメ？」
Ｐ「いや、まだ時間は充分あるけどな。じゃあ廊下で待ってるから着替えたら連絡して」
奈緒「あ、プロデューサーちょっと待って」
Ｐ「どうした？奈緒」
奈緒「あのさ、今日秋葉原行くのやっぱりやめた」
Ｐ「分かった。それじゃあ着替えた後に送り先教えてな」
奈緒「はーい」
バタンッ
加蓮「え？いいの奈緒」
奈緒「いーの。加蓮は今日時間あるんだろ」
加蓮「うん。え？もしかして買い物とか付き合ってくれるの？」
奈緒「たまにはな。今くらいしか年末は時間取れないだろうし」
加蓮「ありがと…自分の予定をやめてまで、そう言ってくれるなんて嬉しいな」
凛「本当、二人の話を聞いててこっちが恥ずかしくなるよ」
奈緒「りーんー！からかうのやめろよー！」
加蓮「凛こそ、明日はお愉しみなんでしょ」
凛「加蓮！誰からその話聞いたのっ！」
加蓮「さー、誰でしょうねー。本人に話を聞けばいいんじゃない？」
凛「あれほど加蓮には喋るなって言ってるのに………」
＼ワーワー／
その後も着替えそっちのけで三人の応酬は続いていた…
………
Ｐ「二人ともここでいいんだな？」
加蓮「ありがと、プロデューサー」
Ｐ「遅くならないうちに帰れよ、特に奈緒な」
奈緒「分かってるって、その辺はちゃんと弁えるから」
Ｐ「それじゃあな、二人とも良いお年を」
奈緒・加蓮『良いお年をー』
プロデューサーの運転する車はそのまま事務所方向へと去っていった。
奈緒「んでお台場に来たわけだけど、どこ行くんだ？」
加蓮「んー特に無いけど」
奈緒「へ？」
加蓮「何となく来てみたかっただけ、二人きりになりたかったし」
奈緒「そういうヤツだったな、加蓮は」
加蓮「どうせそういうヤツですよーだ」
奈緒「まあもう夕方だから先にご飯食べちまうか」
加蓮「そろそろ混んできそうだもんね」
奈緒「加蓮は何食べたい？」
加蓮「ポテトがあればあとは奈緒の好きでいいよ」
奈緒「あー、じゃあんー…この辺の店だと…」
加蓮「あれ？こういうところのお店知ってるんだ、意外ー」
奈緒「そこの局の番組収録終わりで、スタッフさんとたまに来てるからなー」
加蓮「あー、納得した。虹色ドリーマーのヤツでしょ？」
奈緒「それそれ。それでこの辺の店は多少なりとも詳しくなったんだよ」
加蓮「それなら奈緒に任せるから決めてね」
奈緒「んー…」
………
奈緒「それで何であたしは加蓮の家にいるんだろうな」
加蓮「さあねー」
奈緒「この時間まで出歩く気は無かったんだけどなー」
加蓮「はいはい、私が悪うございました。でも電車はまだあったんでしょ？」
奈緒「そんな家に遅く着くくらいなら、あたしの親もどっかで泊まってくれってさ」
加蓮「ま、原因作ったのは私だからね」
奈緒「買い物して夜景見てあたしも楽しんじゃったからな。泊めてもらえるのもありがたいし」
加蓮「でも綺麗だったー」
奈緒「そうだったなー。色んな光が溢れてて」
加蓮「カップルもいっぱいだったねー」
奈緒「寒いからあれでも少ない方だったけどな」
加蓮「へえ、そうなんだ…。ねえ奈緒…」
奈緒「ん、どした？」
加蓮「あそこでできなかったこと…していいかな」
奈緒「…本当する人は恥ずかしくもなくよくできるよな…いいぜ加蓮」
チュ…
寄り添い並んで座っていたベッドの上、その光景を目に浮かべながら二人の唇は引き寄せられていった…
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あとがき
飛神宮子です。
Lily枠10発目は、奈緒加蓮です。2本掲載は次は年明け2日から6日まで、書きたい面々は全部書くことにしました。
関東圏なのでまだまだお仕事の方々。でもそれも終わってしまえばみんな一人の年頃の女の子ですから。
二人だけの時間は時を忘れさせてしまったようですね…
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２０１８・１２・３０ＳＵＮ
飛神宮子
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