We Ride on a Flow of the Water(二人乗りな水流)

「へえ、ここが収録場所かー」
梨沙「収録は晴も久しぶり?」
「んー、どうだろ。ちょこちょこ小さなのはあったけどこう大きいのは久しぶりかもな」
梨沙「そうよね、特にうちは多いから上の人の方が使われるもの」
「ま、今日はオレ達だけってわけじゃないけどな」
梨沙「ありすとか他の小学生組も一緒だものね」
「なー、プロデューサー。終わった後は泳いでもいいんだよな?」
「今日は収録の始まる14時から今日いっぱいまで借りてるから大丈夫だぞ」
ここはとあるファミリー層用リゾート施設のプール。
「やーりぃっ」
梨沙「まあそうね、学校のプール開きもまだだから早めの感触楽しみましょ」
「そうだな…って桃華が呼んでるみたいだぞプロデューサー」
「本当だ。ちょっと行ってくるわ」
梨沙「その間に準備してましょ」
「準備っつったってなあ、もうこの下は水着だもんな」
梨沙「水着で歌わせるなんて、夏の曲とは言ってもねえ」
「こういうオレ達のことをそういう目で見るのも居るって話だよな」
梨沙「それが現実よね…ロ○コンっていう…」
「こんなの見て何が楽しいんだかな」
梨沙「そういう人たちはそういう人たちなの」
「ま、気にしててもしかたねーな」
梨沙「ええ」
「そういやさ、今日のメインは千枝と…誰だっけか」
梨沙「小春でしょ小春。ありすと桃華は前回、前々回とねえ…」
「あー、そうだったな。そんで梨沙は大丈夫か?」
梨沙「何をよ」
「スライダー、結構激しいみたいだ」
梨沙「別に問題ないわ。楽しめるコースなんでしょ?」
「そうらしいぜ…あ、さっきプロデューサーに伝言頼まれてたんだけどな」
梨沙「伝言?」
「あのスライダー、子供二人乗り用のミニボートがあるんだってよ。どうするかはそっちで決めてくれって」
梨沙「リハはあるけど通しだけで個別は無いのよね…先に決めとけっていう話?」
「そうらしいぜ。さっきこっち来る時に言われてさ」
梨沙「晴はどうしたいの?アタシはどっちでもいいわよ」
「そうだな、行って試せる時間はあるか?」
梨沙「今は10時10分…リハは10時半…行けるんじゃないかしら」
「よし!プロデューサーに声掛けて行ってこようぜ」
梨沙「そうね」
………
「そんじゃまずはソロで行くか」
梨沙「晴から先行く?」
「ああ、行ってくるぜ。係員の兄ちゃん、お願いな」
係員『よし行くよ、GO!』
シューーーーーーーーーーーー
「おおっ!?うおぉぉぉっ!?これすげえっ!うああああっ!」
ザパーンッ
「おーい梨沙ー!梨沙も早く来いよー!」
梨沙「ちゃんと避けときなさいよー!係員さんお願いね」
係員『じゃあ行くよ、GO!』
シューーーーーーーーーーーー
梨沙「きゃぁっ!ひゃぁぁぁぁぁんっ!?何これぇ!?ひゃんっ!」
ザパーンッ
「おつかれ梨沙、どうだった?」
梨沙「今まで体験した中では一番ね。でもちょっと…」
「ん?」
梨沙「晴、アンタ後ろ大丈夫なの?」
「うし…うわあっ!さっさと教えてくれよ梨沙!」
梨沙「そのままお尻で滑ってくると、これがあるのよ…ってどうして気付かなかったの、きっと降りた時からずっとでしょ」
「水の中にいて忘れてたんだよ…よしっと」
梨沙「んん…アタシもこれで大丈夫ね。それで時間も無いからもう一回二人用の行くわよ」
「そうだったな」
………
「これはちょっと小さめか?」
梨沙「アタシ達が使うには少し小さいかもしれないわね…」
「小学校高学年が使うモンでもねーか」
梨沙「一応小学生までだから使ってみましょ」
「そうだな…でもどう乗ったら良いんだろ」
梨沙「向かい合わせで脚絡ませるのも行けそうだけれど、これは同じ方向の方が撮影的にも良いわね」
「ま、そうなるか。梨沙が後ろだよな」
梨沙「これが意外って言われるのよね。アタシの方が身長高いって思わないっていっつも言われるし」
「3cmくらいじゃ誤差の範疇だからオレが後ろ行こうか?」
梨沙「ちゃんと前見えるならそれでもいいわ」
「よし、オレが後ろで脚拡げてっと」
すとっ
梨沙「それでアタシがその間に入って…」
すとんっ
「オレはあとは梨沙に抱き着いてりゃ…んっ…いいんだな」
ぎゅうっ
梨沙「ひゃっ…ア、アタシは…脇の取っ手を掴んで…この体勢でいいのかしら」
係員『はい、OKでーす』
「そんじゃ行ってもらうか」
梨沙「そうね、お願いします」
係員『よし行くよ、3、2、1、GO!』
シューーーーーーーーーーーー
梨沙「ひゃんっ!二人分の重さで、さっきより速いぃぃぃっ!」
「何なんだこのスピードぉぉぉぉぉぉぉ!」
バシャーーーンッッッ
「ぷはあっ!こっちの方が楽しいな梨沙」
梨沙「はあっ!そうね、水着も…問題ないみたいだしこっちにしておきましょ」
「ちょっと恥ずかしいとこはあるけどな」
梨沙「バ、バカっ」
「…しょうがねーだろ、そこまで密着させないとダメなんだから」
梨沙「少しは分かる物を密着されてみなさい…気恥ずかしくもなるわよ」
「分かってるよ…ったくさ」
梨沙「ほら、ボート返して来たらプロデューサーの所に行きましょう。通しのリハそろそろじゃない」
「もうそんな時間か…そんじゃオレ持ってくから先行ってろよ梨沙」
梨沙「いいの?それなら先行ってるわね」
「…はあ、オレだって押し付けてるの恥ずかしかったんだよ…」
梨沙「何か言った?晴」
「何でもねーよ梨沙」
本番後、何度も妙に密着しながらスライダーを楽しむ二人が何人にも目撃されていたんだとか…
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あとがき
飛神宮子です。
今月のLily Story、ますはビートシューターから。
こういう夏に楽しむための施設の収録は、忙しくなりそうなそれこそ今の時期でしょう。
布地二枚を挟んでの密着、小さい子同士ではありますが何か感じるものはあったのではないかと思います。
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2018・05・31THU
飛神宮子
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