When I feel lonely in quietness ...(静けさに寂しい時は…)

お正月も開けたとある土曜日のマンションの一室前…
「ここね、芳乃ちゃん」
芳乃「そうですなー。鳴らしてみれば出てくるでしょー」
♪〜
茄子『は〜い』
芳乃「依田芳乃ですー」
「藤居朋も一緒よ」
茄子『今、鍵開けますね〜』
ガチャっ ガチャンっ
茄子「こんにちはー、いらっしゃいませー朋ちゃん、芳乃ちゃん」
「こんにちは、おじゃまするわね茄子さん」
芳乃「こんにちはー。本日はお呼びに与りましたー」
茄子「フフフ、ここで立ち話もなんですから、入ってください〜」
「暖かいわねー、暖房…だけじゃなさそうだけど」
芳乃「そうですなー…道中寒かったゆえ、余計に身に染み入りますー」
バタンッ ガチャンっ
茄子「そういう朋ちゃん達も…しっかり手まで繋いでるのはどうしてでしょうね〜?」
「あっ…もー茄子さんそれはっ…!」
芳乃「朋殿いいではないですかー」
「それはそうだけど…そういえばほたるちゃんは?」
茄子「ほたるちゃんは台所で食事の準備中ですよ〜」
「あ、茄子さん。その頼まれたものはリスト通り買ってきたと思うけど…確認してもらえる?」
茄子「お客さんなのにおつかいありがとうございます………たぶん大丈夫ですよ〜」
………
「んー、美味しそうな薫りねー」
ほたる「今、蓋を開けますね…」
パカッ
芳乃「おぉ…これは見ただけでも美味しそうと分かりましてー」
茄子「今日は朋ちゃんと芳乃ちゃんが来るということで、いつもより豪華にしたんですよ〜」
「あたし達が買ってきたのも入ってるのね」
ほたる「朋さん、芳乃さんありがとうございました…。昨日買い忘れていた食材だったんです…」
「いいのいいの。ごちそうしてもらえるんだからこれくらいね、ほたるちゃん」
茄子「ではいただきましょうか〜。小鉢に盛りますね〜」
芳乃「はいー、お願いいたしますー」
………
「今日の食事会、楽しかったわ。積もる話も色々聞けたもの」
茄子「私とほたるちゃんの関係を一番知っている二人ですから〜」
ほたる「相談にも乗ってもらえて…ありがとうございました…」
芳乃「わたくし達よりもむしろそなた方の方がー関係が進んでいたのではともー」
「そうね。同居に踏み切れるなんてなかなかできないわよ」
茄子「そうでしょうか〜。でも朋ちゃんも将来的には〜…」
「ああ、その話はまだ有効のつもりだけど…芳乃ちゃんはどう?」
芳乃「朋殿と…その話でしょうかー」
ほたる「茄子さん、確か隣ってもうそろそろ空くんですよね…」
茄子「はい〜。ちょうどいい物件ができそうですね〜」
「ちょっと話が早いわよ。でも…そろそろ検討したいのもあるのよね」
芳乃「朋殿?」
「実は…………………なの。だからこっちでちょっと探そうかなと思うところもあってね」
茄子「それでしたらぜひ〜。近くのお安いところも探してみましょうか〜」
ほたる「芳乃さん達が近くにいるなら…私にとっても心強いです…」
「それはまだ少し先の話になりそうだけれどね…さて、そろそろ帰らないといけないかしら」
芳乃「そうですなー…明日もレッスン等がありますゆえー」
ほたる「もうそんな時間なんですね…」
茄子「明日は何時からですか〜?」
芳乃「明日は10時からでしてー。ねー朋殿」
「そうね。あたしはハートウォーマーの方もあるからそこから午後までよ」
ほたる「私もGBNSでレッスンがあるので行ってきますね…」
茄子「私は明日は取材があるので〜一緒に行きましょうね〜」
「それじゃあまた明日、事務所で逢いましょう」
芳乃「はいー、ではお二方ともまた明日でしてー」
………
ほたる「茄子さん…いいですか…?」
茄子「どうしました〜?ほたるちゃん」
ほたる「何だか…寂しくて…」
茄子「そうですか…フフフ、実は私もそうですから〜」
ほたる「入りますね…」
ススススス
茄子「ほたるちゃん、身体がもう冷えちゃってますよ」
ほたる「ゴメンなさい…」
茄子「…そうじゃなくて〜…」
ぎゅうっ
ほたる「か、茄子さん…温かいです」
茄子「しっかりと温めてあげますからね〜」
ほたる「でもそれじゃあ茄子さんが冷えちゃいます…」
茄子「私のことは、ほたるちゃんが温めてくれればいいんですよ」
ほたる「えっえぅ…は、はい…」
ぎゅっ
茄子「ほらこうしていれば温まりますよ〜」
ほたる「…本当ですね…」
茄子「もうほたるちゃんは心配しすぎなんです」
ほたる「………」
茄子「大人が良いって言ってるんですから」
ほたる「…はい…」
茄子「頼るべき時は頼ってくれていいんです」
ほたる「そうですよね…茄子さん…」
茄子「こんな可愛いほたるちゃんのこと、余程のことが無い限りは突き放したりなんてしませんよ」
ほたる「茄子さんっ…!」
ぎゅむっ
茄子「ほたるちゃんっ?!」
ほたる「茄子さんのこと…これからもずっと信じ続けていいですよね…」
茄子「ほたるちゃんがそう信じ続けていてくれるなら、私もそれに応えますね…」
ほたる「ずっとずっと…いつか分かれる時が来ても…この思いは変わりませんから…」
茄子「ん…」
ほたる「茄子さん…大好きですっ…これは世界中の誰にだって負けない自信がありますっ…!」
茄子「私も…ほたるちゃんのこと…誰よりもずっと愛してますよ…」
ほたる「エヘヘ…同じですねっ…」
茄子「フフフ…同じね…」
ほたる「一緒で何だか安心しました…」
茄子「一緒って良い物…なんです、きっと」
冷えこむ一夜…一つの布団の中で二つの温もりが一つの想いを温めていく…
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あとがき
飛神宮子です。
今年のLily Story初め(二作同時ですが)はお正月といえばということで、かこほたの朋よしのん添えです。
本当はかこほたのみの予定だったのですが、朋よしのんもたまに書きたくなるんですよね。
二人がやってきて去った後の二人だけの家。騒がしかった場所が静かになった時間、寂しいのも無理はないんじゃないって思います。
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2018・01・31WED
飛神宮子
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