Compensation of the Profligacy(自堕落の代償)

ここはある休日オフの比奈の住むアパート…
春菜「…はあ…」
比奈「…面目ないっス…」
春菜「あれほど言ったじゃないですか…」
比奈「自堕落な性格は治らないものなんスよ」
春菜「それで私は何をしたらいいんですか?」
比奈「もう今日明日で仕上げないといけない原稿があるんで、掃除洗濯炊事をお願いしたいんですけど…」
春菜「分かりました。去年あんなこと言わなければとは思いましたけど」
比奈「春菜ちゃんを一日自由に使える権を使うなら今しかないと思ったんで」
春菜「グダグダ言っていてもしょうがないですから気合い入れて…よしっ」
比奈「掃除の時に私が要りそうな物は聞いてくださいっス」
春菜「分かりました。比奈ちゃんは原稿の方やっててください」
………
春菜「まずは…ダイニングからやりますか。ゴミ袋を必要な分だけ用意して…これで良しっ」
春菜は手近にある物から片付け始めた。
春菜「まずは窓を開けて…」
ガラガラガラガラガラ
春菜「これは燃える、これはプラ、これは洗濯…ってそうでした」
トットットットッ
春菜「比奈ちゃーん、洗濯の洗剤はこの棚のですよねー」
比奈『あ、それっスー。柔軟剤も一緒に頼むっスよー』
春菜「柔軟剤はこれをそこに入れて…洗剤を入れて…まずは先に一度回してっと」
ピッ ピッピッピッ ピーーー グワングワングワン…
春菜「あと2回くらいはやらないと…もう比奈ちゃんったらだらしない…」
タッタッタッタッ
春菜「さて続き続き…これはペット、これは洗濯、これは瓶…栄養ドリンクの瓶ばっかりですね…」
ガシャガシャンっ
春菜「瓶缶とペットは後でちゃんと洗ってからじゃないとダメですからね」
手に余るほどの瓶を洗う前にとりあえずの袋へと入れていく。
春菜「それにしてももうちょっと比奈ちゃんは栄養を考えてほしいですね」
比奈「そうっスか?」
春菜「ふわあっ!比奈ちゃんっ!?」
比奈「ちょっと飲み物取りに来ただけっスよ」
春菜「そうですか。でもダメですよこんなに栄養ドリンクばっかり」
比奈「いやー、最近ずっと〆切が迫ってて億劫なんスよね」
春菜「そんな…言ってくれれば作り置きくらいは作りに来ても…」
比奈「それは悪いっスよ。こっちは私が好きでやってることなんスから」
春菜「そんなこと言っても…」
ぎゅっ
春菜は比奈の身体を抱きしめた。
春菜「比奈ちゃんが体調を崩して悲しむ人もいるんですからね」
比奈「春菜ちゃん…」
春菜「もしどうしてもって時は、ちょっとくらいなら頼ってください」
比奈「ありがとうございます。今度からはそうさせてもらうっスよ」
春菜「あ、ごめんなさい。急にこんなことしちゃって…」
比奈「ううん、心配させてたのは私の方だから」
春菜「じゃ、じゃあ続きしますから。あの、掃除機は廊下の棚の中ですか?」
比奈「たぶんそこっスよ。無かったら言ってください」
春菜「はーい」
………
比奈「ふう…久しぶりに人並みのご飯が食べられるっス…」
とりあえず片付いたダイニングのテーブルには春菜の手料理が並んでいた。
春菜「毎日栄養ドリンクと携帯食ばっかりじゃダメですよ。ゴミが瓶と箱ばっかりですし」
比奈「反省するっスよ…」
春菜「それで味付けはどうですか?」
比奈「バッチリですよ。春菜ちゃん、良いお嫁さんになりそうっスね」
春菜「そんなことないですよ…もう比奈ちゃんったら…」
比奈「そう顔を赤くするところも可愛いんすよね」
春菜「うう…もう知らないですっ!」
比奈「あっ、怒っちゃったすか?」
春菜「むーーー…」
比奈「ゴメンなさいっすよ、これお詫びの…」
チュッ
比奈は春菜の頬へとそっとキスをした。
春菜「比奈ちゃん…」
比奈「でも本当に美味しいっスよ。いつでも料理作ってて欲しいくらいでス」
春菜「これくらいなら、本気で来ちゃいますよ」
比奈「それは悪いっスよ。そこは自分で何とかするべき話なんですから」
春菜「それならちゃんと反省してくださいね」
比奈「はーい。それでこれからはどうするんスか?」
春菜「お昼が終わったらキッチンの残りと寝室…でもその前に洗濯を干して次のを回してからですね」
比奈「了解っス。こっちも早めに粗方終わらせて寝室は手伝うつもりでいたんで」
春菜「頑張ってくださいね」
チュッ
春菜はさっきのお返しとばかりに頬へと口付けを返した。
比奈「春菜ちゃん…そういうことする子だったんですね」
春菜「私だってたまにはしたくなります」
比奈「これで一層パワーが出せそうっスよ」
………
ザブンっ ジャブンっ
比奈「くあーっ…今日は原稿に掃除に疲れたっスよ…」
春菜「私も一日中家事はさすがに初めてで大変でした…」
比奈「ご苦労さまでした、これからは出来る限りちゃんとするつもりで…」
春菜「つもりじゃなくてちゃんとしてくださいっ」
比奈「はーい…それにしても狭くないすか?このお風呂そこまで広くないし」
春菜「大丈夫ですよ。確かに大人の女性二人で入るような広さではないですけど」
比奈「そういえば春菜ちゃん」
春菜「どうしました?比奈ちゃん」
比奈「また胸大きくなってないスか?」
春菜「ふええっ!?胸は…ど、どうして…」
比奈「前より水面に出てくる量が多い気がするんで、もしかしてって…」
春菜「そういう比奈ちゃんだって、前よりも胸がちょっとだけ違う気がします」
比奈「私もまだ成長期なんすかね…そこまで言うなら春菜ちゃん、触って確かめてみてもいいすよ」
春菜「比奈ちゃんっ!?」
比奈「ほらほら、別に減るものでもないっス。代わりにまたモデルになってくれればいいスから」
春菜「そ、それならお言葉に甘えて…」
さわさわ もちもち…
春菜「感触は前と同じ気もしますし、違う気もしますし…」
比奈「でもこうやって…好きな人に刺激されると成長するとは…聞くんスけどね…」
この後もしばらくは触り合いっこやモデルの時間がお風呂場で続けられたらしい…
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あとがき
飛神宮子です。
今月のLily Story、もう1本はサイバーグラス。
恐らくは夏○ミ前にお仕事等があってそれまでに仕上げないとという原稿だったのでしょう。
自堕落の代償…というより比奈にとってはこれは特典にすらなっているかもしれないですね。
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2018・05・31THU
飛神宮子
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