Open-air Tea Ceremony(露天のお茶会)

ある休日の寮、そのとある一室…
美由紀「春だねー」
菜帆「そうですね〜」
美由紀「ポカポカだねー」
菜帆「外は晴れてますからね〜」
美由紀「菜帆ちゃん、レッスンはー?」
菜帆「今日はお休みですよ〜。美由紀ちゃんはどうなんです〜?」
美由紀「みゆきもー、今日はどのユニットもお出かけで欠ける人が多いって」
菜帆「ゴールデンウィークですから」
美由紀「うん。菜帆ちゃんは予定とか無かったの?」
菜帆「明日は和菓子屋さんの一日店長のお仕事ですし、明後日は…ね〜」
美由紀「ねー、一緒だもんねっ」
菜帆「美由紀ちゃんとだけじゃなくてからぱれのお仕事ですけど〜」
美由紀「でもいいのっ、一緒にお仕事楽しいもんっ」
菜帆「はい〜。美由紀ちゃんは明日はどうなんですか?」
美由紀「明日はとときらに行ってくるよ。またお呼ばれしちゃったんだー」
菜帆「放送、楽しみに待ってますね」
美由紀「うんっ、頑張ってくるっ」
菜帆「ただ今日は特にやることも無いですね〜」
美由紀「そうだねー。掃除もやったし、洗濯はもう全部干しちゃったし」
菜帆「それならちょっと外に行きましょうか」
美由紀「でも外に行って何するの?」
菜帆「それはですね〜…」
………
菜帆「そこの芝生にしましょう」
美由紀「うんっ」
ここは事務所の敷地内にある芝生の広場。
菜帆「今日はちゃんとしたものではないから、緋毛せんじゃなくて普通のシートです」
美由紀「この辺でいいの?」
菜帆「はい、ありがとうございます美由紀ちゃん」
美由紀「上がっちゃっていいかな」
菜帆「はい、どうぞ〜」
美由紀「えっと、正座するんだよね」
菜帆「そこまで堅苦しくならなくてもいいんですよ」
美由紀「そうなんだ。じゃあちょっと脚を崩しとこっと」
菜帆「痺れない方が楽しめると思いますから、じゃあちょっと準備しますね〜」
美由紀「楽しみー」
 
美由紀「うう…ちょっと苦いけど、でもお茶って感じがするー」
菜帆「フフフ、部活動ではこういうことしてるんです。最近はちょっと行けない日もありますけど」
美由紀「あむっ…そっかあ。アイドルもやってるもんね」
菜帆「はい〜…って、あらっ?」
その菜帆の視線の先には…
珠美「あっ、菜帆殿に美由紀殿ではないですか」
美由紀「え?あ、珠美ちゃんだー。それにあやめちゃんもっ」
あやめ「菜帆殿に美由紀殿、野点でありますね」
菜帆「そうですよ、今日はいい天気ですからね〜」
珠美「今日は確かに何をするにも心地よい天気ですね」
美由紀「あやめちゃん達もお茶する?」
あやめ「いいのですかっ!?先ほどから良い薫りでありまして…」
菜帆「まだお菓子もお湯も抹茶もありますから、大丈夫ですよ〜」
珠美「それならまだ時間もありますし、お呼ばれしましょうあやめ殿」
あやめ「せっかくですしそうですな、珠美殿」
菜帆「それではお出ししますね。まずはお茶菓子をどうぞ〜」
 
珠美「結構なお点前でした」
あやめ「菜帆殿、スジが良いのでありますね」
菜帆「ありがとうございます。顧問の先生からも最近良くなってきたと言われまして〜」
美由紀「そうなんだっ、菜帆ちゃんの部活の話って詳しく聞いてなかったから新鮮だねっ」
菜帆「美由紀ちゃんにもあんまり話しては無かったですからね」
あやめ「そうなのですな」
珠美「あ、あやめ殿そろそろ時間ですよ」
あやめ「もうそんな時間でありますか、では参りましょう」
珠美「菜帆殿、ごちそうさまでした」
あやめ「またこういう機会があればその時もぜひに」
菜帆「はい〜、お粗末さまでした〜。また今度ルームで〜」
美由紀「珠美ちゃん、あやめちゃん、またねーっ!」
菜帆「美由紀ちゃん、これからどうします?」
美由紀「んー、どうしよっか」
菜帆「こんな時間ですし、まだ帰るのももったいないですね〜」
美由紀「それならー」
ゴロンっ
美由紀「ちょっとお昼寝しよっ菜帆ちゃん。気持ちいいよー」
菜帆「…そうですね〜」
ポフンっ
美由紀「ポカポカだねー」
菜帆「風も心地いいです〜」
美由紀「ふわぁぁっ」
菜帆「フフフ、おっきなあくびです〜。美由紀ちゃん、眠たそうですね」
美由紀「うん…」
菜帆「それなら少し寝ててもいいですよ」
美由紀「えっ、でも…」
菜帆「春眠暁を覚えずとも言いますから〜」
美由紀「そっかぁ…んむっ…くー…」
菜帆「寝ちゃいましたね…この寝顔が可愛いんです」
横を見やる菜帆。美由紀は心地よさそうに寝息を立て始めた。
菜帆「さて…ちょっと片付けたら、私も少しだけ寝てもいいですよね〜」
菜帆は少しだけ身体を起こして茶道具を片付け始めた。
 
菜帆「美由紀ちゃん、そろそろ帰りましょう〜」
美由紀「ん?あれ、あっそっか…みゆき、寝ちゃったんだっけ」
菜帆「はい〜気持ちよさそうな可愛い寝顔でした」
美由紀「う、うう…みゆき、そんなだった?」
菜帆「はい、とっても」
美由紀「あうう…もうっ、見られちゃったのはしょうがないっ。それでもう帰るんだよね?」
菜帆「美由紀ちゃんの下に敷いてあったのを畳んだら帰りましょう」
美由紀「そっか。これも持って帰らなくちゃだね」
菜帆「……これで全部片付きました〜」
美由紀「それじゃ帰ろうっ。今日は楽しかったーっ」
菜帆「私も美由紀ちゃんとこうやってゆったり過ごせて、良い一日になれましたよ」
ぎゅっ
二人の手は仲良く握られながら、寮へと歩みを進めていく…
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あとがき
飛神宮子です。
今月のLily Storyはエビカニコンビ。フリスクの方も一応Lilyにはしていますが正式なのはこちらで。
ちょうど春、極端に暑くなる日もありましたが気候も野点にはちょうど良い時期ではないかなと。
この二人だとやっぱりラブラブというよりはほのぼのしちゃいますね。
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2018・04・30MON/HOL
飛神宮子
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