It's Accidental and Necessary(偶然で必然で)

年の瀬の寮の一室…
「まさか千鶴ちゃんがこっちで年越しだなんてねー♪」
千鶴「本当は帰りたかったんですけど、プロデューサーが正月のお仕事を入れちゃって…」
「それは知ってるけどな。国外の子とかいるから寮が閉まるとかはないけど、帰省した子が増えてきて静かになってきたな」
千鶴「この階も残っているのは私たちくらいですから」
「そういえば何のお仕事なの?」
千鶴「一日の生放送で書道パフォーマンスをするのをあやめさんとジャンケンして負けたんです…」
「あっちゃー、それはしょうがないぞ」
千鶴「勝ってたら今頃はもう空の上だったんですけどね」
「お互い不憫だな☆」
千鶴「そういう心さんこそ、帰省はしないんですか?」
「はぁとも年明け早々の仕事なの♪」
千鶴「それは知ってます」
「なーんか、一日の生放送で審査員してって言われたの」
千鶴「それなら心さんじゃなくても…」
「ナナパイセンに泣き付かれた…」
千鶴「へ?」
「パイセンがほら、この前のライブの最後ですってんころりんしてさー」
千鶴「ああ、ありましたね」
「それでアレまだ痛いって言ってて、とても長時間の番組は無理だって」
千鶴「なるほど…でも心さんじゃなくても…」
「まあそこは大人の事情ってヤツ♪」
千鶴「心さんがいいならそれでいいですけど…」
「まあ偶然だけど、こうして千鶴ちゃんと過ごせる時間が増えたんだからいっか」
千鶴「フフフ、まあそうですね」
「ところでご飯とかはどうするの、寮のご飯は今週までで3日までは自炊か外食になるはずだぞ」
千鶴「ご飯は作るつもりで冷蔵庫に年明けまでの用意はしてますけど」
「ねえ、千鶴ちゃんってー…」
千鶴「…食材費の半分は出してくださいね」
「千鶴ちゃん、話が分かってるー☆」
千鶴「そういう予感はしてましたし、作る分には一人分でも二人分でも変わりませんから」
「ありがとっ、本当はぁとはいい子をフィアンセにできたな♪」
千鶴「うう…そういう恥ずかしいことは言わないで欲しいのに…」
「もう紅くなっちゃってさー、そういうとこも可愛いんだからな」
千鶴「だーかーらーっ」
「でもご飯の方はよろしくな☆なるべく寮で食べることにするぞ」
千鶴「はい、分かりました」
………
「はあ…お風呂気兼ねなく入れるってのはいいな」
千鶴「混んでる時間帯は芋洗いじゃないですけれど、入るのに大変ですからね」
「ちびっ子達が多いとちょっと大変だもんな☆」
千鶴「心さんは遊ばれる方ですか?」
「どういう意味で?」
千鶴「その…」
「いや、言わんでも分かってるけど♪たまーにツンツンされたりとかあるぞ」
千鶴「羨ましいです…そういうのされたことないですし」
「この歳でこの身体維持すんの大変なんだからな」
千鶴「ほんっっっと綺麗な肌してるじゃないですか」
「天然素材には敵わないけどな。その輝く肌がはぁとにとっては眩しすぎるんだよ」
千鶴「でも私はこの…」
つんつんつん
「んひゃっ!」
千鶴「心さんの肌触り、好きですよ」
「もう、いきなり突いてくるー」
千鶴「他に誰も居ないんだからいいじゃないですか」
「それならお返しするぞ☆」
つんつんつんっ
千鶴「きゃぁっ!どこ突いてるんですか!」
「どこって…狙っただけだぞ」
千鶴「そういうのやめてください!」
「ほらほら、またお返ししてもいいぞ」
千鶴「いいん…ですね?二言は…ありませんね?」
「はい?」
千鶴「じゃあ…」
つんっ
「やぁんっ!」
つつっ
「あぁんっ!どうしてはぁとの弱いとこ知ってるの?」
千鶴「お仕事が一緒だった時に並木さんから聞きました」
「はぁと、芽衣子ちゃんに喋った記憶が無いんだけど…」
千鶴「また酔っ払った時にでも話したんじゃないですか?」
「つーことは、はぁとあること無いこと喋ってそう…ノットスウィーティーだわ…」
千鶴「特にパッションですけど、大人の方と一緒だと色々心さんのこと話してくれますよ」
「う…絶対ヤバいヤツだわそれ…」
千鶴「あとは個人情報に関わりますから秘密にします」
「出所だけでも教えろー、いや本当に教えてください千鶴ちゃん」
千鶴「ダメです。墓場までとは言いませんが持っていくつもりですから」
「じゃあいいもん、千鶴ちゃんのことなんかしーらない☆」
千鶴「あ、やり過ぎちゃったかも…」
「つーん♪」
千鶴「心さん機嫌直してください。私の弱い所も教えますから」
「つーん☆」
千鶴「そんなに拗ねてたら、明日は何も作りませんよ」
「つーん♪」
千鶴「本当は今日は一緒の部屋で寝ても良いかなって思ってたんですけど…」
「つ、つーん☆」
千鶴「もう心さんの作った服、着てもあげませんよ」
「それだけはすっごいショックだからカンベンな☆」
千鶴「だって、全然聞く耳を持たなかったじゃないですか」
「でも元はといえば千鶴ちゃんが悪いんだぞ」
千鶴「それも元を辿れば心さんが悪いんじゃ…」
「それはそうだけどぉ…んで、千鶴ちゃんの弱いとこはどこだって?」
千鶴「え?」
「だってさっき教えてくれるって言ったろ☆」
千鶴「それは言葉の綾で…」
「それはズルいぞ」
千鶴「ああ、言いますよ。私が弱いのはこことこことあと…この辺もですから」
「そっかあ、そうなんだー。いいこと聞いちゃった」
千鶴「はあ…心さんには勝てないです」
「大人をからかうっていうのはこういうことだ」
チュッ チュッ
千鶴「きゃっ!」
心は千鶴の頬と弱い所へとそっと唇を降らせた。
「よぉし、そろそろ上がって一緒に寝るぞ☆」
千鶴「もう…え…あ…さっきの話は、一緒の部屋っていうだけでっ!」
「ベッド一つなのに床に布団敷いて寝せる気は無いからな♪」
千鶴「…でもまあいっか」
その後のはぁとのベッドには寒さに身を寄せ合って眠る二つの身体があったという…
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あとがき
飛神宮子です。
来月頭まではこの体勢かも。Lily枠6発目は、ちづしんです
二人とも年始にお仕事が入って帰省できず。でも二人ともだったおかげで少しは気持ちが晴れたことでしょう。
余談ですが、芽衣子さんと千鶴はアイプロのクッキングロシア料理編で共演しています。
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2018・12・28FRI
飛神宮子
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