アイドルの住む寮。各階に共用の大きな台所もあるが、各居室にも小さなものがあったりする。 |
料理が好きな子や急に自炊が必要な場合、そこで炊事するアイドルも少なくはない。 |
そうなると必要になるのは冷蔵・冷凍庫。各階の共用台所にも大きな物は備え付けられているが、居室に置いている子も多い。 |
今日は休日。ある部屋の冷蔵庫の中身を分けてもらいに、今日も色々なアイドルが来るようですよ… |
♪〜 |
そんな部屋の内線電話が鳴り響く。 |
くるみ | 「雫しゃ〜ん、電話でしゅよ〜!」 |
雫 | 「くるみちゃん、出てもらえるー?」 |
くるみ | 「はい〜」 |
カチャッ |
くるみ | 「もしもし〜、雫しゃんと同じ部屋のくるみでしゅ」 |
亜季 | 『もしもし、くるみ殿ですか。R-311の大和亜季であります』 |
くるみ | 「亜季しゃんですか〜。雫しゃんに変わった方がいいでしゅか?」 |
亜季 | 『いえ、取り次いでいただければそれで。牛乳をいただきたいのですが』 |
くるみ | 「聞いてみるので待っててくだしゃい。雫しゃ〜ん、牛乳は今どれくらいあるんでしゅか〜?」 |
雫 | 「牛乳の在庫ですかー?えっと…」 |
台所にある牛乳用に用意されている冷蔵庫を開けて中を確認する雫。 |
雫 | 「どのサイズで何本くらいかを、くるみちゃん聞いてー…えっと、何が何本残ってるか確認確認ー」 |
くるみ | 「亜季しゃんどれくらい必要でしゅか?」 |
亜季 | 『1Lを2本ほど頂きたいであります。昼頃には取りに伺います』 |
くるみ | 「はい〜、雫しゃ〜ん!1リットルを2本お昼に来るんだってぇ」 |
雫 | 「それなら大丈夫ですよー」 |
くるみ | 「大丈夫だそうでしゅよ、お待ちしてましゅ」 |
亜季 | 『はい、よろしくであります!』 |
カチャンッ |
雫 | 「ありがとうくるみちゃん、もぉー確認も終わったから大丈夫ですー」 |
在庫の確認を終えた雫がくるみの許へとやって来た。 |
くるみ | 「くるみのお話で大丈夫だったでしゅか?」 |
雫 | 「もちろん…」 |
チュッ |
雫の唇はくるみの右頬を捉えていた。 |
雫 | 「大丈夫だから安心してくださいー」 |
くるみ | 「し、雫しゃん…」 |
雫 | 「それで昼過ぎね」 |
くるみ | 「はい〜、今日はお休みだから注文も多いんでしゅよね」 |
雫 | 「そうですねー、他にはお菓子作る人とかからもきっと…」 |
と言ってる間に… |
♪〜 |
また内線電話が鳴り響いた。 |
カチャッ |
雫 | 「はいー、雫ですー」 |
愛梨 | 『もしもしー、雫ちゃんー?T-309の十時愛梨ですー』 |
雫 | 「愛梨さんですねー、この前は美味しいシュークリームをありがとうございますー」 |
愛梨 | 『どういたしましてー。それでですね、牛乳と生クリームとバターが欲しくってー』 |
雫 | 「牛乳と生クリームですねー、どれくらいですかー?」 |
愛梨 | 『生クリームを三パックとー、バター2個とー、牛乳は3階のみんなで料理したいのでいっぱい欲しいんですけどー?』 |
雫 | 「はいー、6Lくらいで足りますかー?」 |
愛梨 | 『たぶんそれくらいあれば大丈夫だと思いますー。11時頃に何人かで取りに行くんでお願いしますー』 |
雫 | 「分かりましたー」 |
カチャンッ |
雫 | 「えっと、冷蔵庫の在庫が10パック…今日午後に届きますし、大丈夫そうですねー」 |
くるみ | 「今日はお届けの日だったでしゅね」 |
雫 | 「くるみちゃん、また運ぶお手伝いお願いしますね」 |
くるみ | 「はい〜」 |
雫 | 「あ、くるみちゃんは今日のお昼は何がいいですかー?」 |
くるみ | 「雫しゃんの作ってくれるのなら何でもおいしいから〜」 |
雫 | 「それなら冷蔵庫は…何があったでしょう」 |
くるみ | 「えっと冷凍庫にはお魚さんがあったでしゅよ」 |
雫 | 「それなら寒くなってきましたしシチューにしましょ〜」 |
くるみ | 「雫しゃんの作ってくれるシチュー、牛乳たっぷりで好きでしゅよ〜」 |
雫 | 「ルーは…戸棚にまだありましたねー」 |
くるみ | 「お野菜さんもあったはずでしゅ」 |
雫 | 「よぉーっし、腕によりを掛けて作っちゃいますよぉ」 |
くるみ | 「くるみもお手伝いしゅるでしゅ」 |
……… |
ピンポーン♪ |
昼食を作っているところで部屋の呼び鈴が鳴らされた。 |
雫 | 「もぉーそんな時間でしたかー。くるみちゃーん!」 |
くるみ | 「はいでしゅ〜」 |
ガチャっ |
くるみはドアを開けた。 |
裕美 | 「こんにちはっ」 |
くるみ | 「こんにちはでしゅ裕美しゃん」 |
裕美 | 「さっき愛梨さんが頼んだの、取りにきたよ」 |
くるみ | 「お待ちしてたでしゅよ」 |
裕美 | 「んっ…いい香りするね…」 |
くるみ | 「お昼ご飯を作ってたところなんでしゅ」 |
裕美 | 「そっか、私達はこれからだから」 |
そこに… |
雫 | 「あら、裕美ちゃんだけですかー?量が多いですよー」 |
裕美 | 「雫さんこんにちは。いえ、そろそろもう一人来て…」 |
日菜子 | 「むふふ…想像していたら着いちゃいましたねぇ…」 |
裕美 | 「もう日菜子さん、遅いから心配しましたよ」 |
日菜子 | 「ゴメンなさい裕美ちゃん、つい料理した時のことを妄想しちゃってて」 |
雫 | 「日菜子ちゃんでしたか、二人いれば大丈夫ですー…んーしょっと」 |
くるみ | 「日菜子しゃん、まずは牛乳4本をどうぞでしゅ」 |
日菜子 | 「んっ…ありがとうございます、くるみちゃん」 |
雫 | 「牛乳2本とバターと生クリームはー、関ちゃん重さ大丈夫ですかー?」 |
裕美 | 「うんっ…おっと、これくらいなら大丈夫かな」 |
雫 | 「それでは、愛梨さんに後でお願いしますと伝えてくださいー」 |
日菜子 | 「後でってなんでしょう?」 |
雫 | 「伝えてもらえれば分かりますからー」 |
裕美 | 「分かりました。ありがとうございました」 |
くるみ | 「また今度でしゅ」 |
バタンッ |
部屋の扉が閉まり、再び二人だけの空間となった。 |
くるみ | 「次は亜季しゃんでしゅよね」 |
雫 | 「そうですねー。亜季さんは午後ですからご飯をまずはゆっくり食べましょう」 |
くるみ | 「今日は運ぶお仕事もあるから、いっぱい力を付けないと大変でしゅね」 |
雫 | 「はいー、頑張りましょうねー」 |
くるみ | 「うんっ」 |
チュッ |
他の誰の眼も届かない部屋。二人の頑張りましょうの想いが口付けという形になってそこには存在していた… |