Mid autumn Night Wrapped in Your Warmth(中秋の貴女の温もり)

ある日の某ファーストフード店…
加蓮「ねー聞いてよー、奈緒ー」
奈緒「はいはい、次は何の話だ?」
加蓮「莉嘉に聞いた話なんだけどさー」
奈緒「出どころが莉嘉ってことはまた美嘉の話か?」
加蓮「そうそう…ってこんな所で話す話でもないかなー」
奈緒「そこまで言われると気になるんだけどさ」
加蓮「持ち帰りにして場所変えよっか。この近くの持ち込みOKのカラオケ屋でさ」
奈緒「そうだな、また持ち帰り用にも買うんだろ?」
加蓮「うん。ちょっと行って来るね…何時間分?」
奈緒「どれくらいでもいいけど、加蓮こそどれくらい時間大丈夫なんだ?」
加蓮「私は何時間でも大丈夫だよ。何なら今日は泊まってきてもいいって言われてるから」
奈緒「…それならいっそのことさ…」
加蓮「ん?」
奈緒「あたしのとこ来るか?」
加蓮「えっ、いいの?」
奈緒「凛とか加蓮のとこに行くのはよくあるけど、あたしのとこ来させたことってほとんどなかったよな」
加蓮「言われてみればそうなんだよね」
奈緒「菜々さんとか未央はまだ近い方だからたまーに来るんだけど」
加蓮「へー、そうなんだー」
奈緒「明日って加蓮もオフだよな?」
加蓮「うんー。ここんとこ忙しかったからねー」
奈緒「最近はすれ違いも多かったよなー」
加蓮「みんなオフがなかなか合わないから、忙しいってことだよね」
奈緒「もうすぐ事務所も周年イベントの時期だから、これからがさらに忙しくなる時期だな」
加蓮「毎年大変だもんね。私は1年目の時にやったからまだ楽だったけど」
奈緒「懐かしいなあ。まだあたし達は組んでなかったけどな」
加蓮「そうだね…ってそれでどうしよう、行くんだったら用意しないとだし…」
奈緒「それなら一度加蓮の家に行ってから行こーぜ」
加蓮「うん…」
………
奈緒の家へ向かう電車の中…
加蓮「そういえば奈緒のとこ、ポテト買えるところある?」
奈緒「ちゃんと駅前にあるから心配するな」
加蓮「良かったー。さっきは結局買えなかったもん」
奈緒「そっか、前に来た時は迎えに来てもらったから駅には寄ってないんだった」
加蓮「それで急だったけど私が泊まっても良かったの?」
奈緒「大丈夫大丈夫、急なのは未央とか美羽で慣れてるから」
加蓮「ふーん、そっか…」
奈緒「それに今日は家にいるのあたしだけだし」
加蓮「えっ?」
奈緒「親は出張と旅行で今日はあたししか居ないんだよ」
加蓮「どうりで今日はどれくらいでもって言ってたんだ」
奈緒「なんならあたしも泊まりでも全然構わなかったし」
加蓮「それなら先に言ってほしかったー、そっちの心配して損したー」
奈緒「そわそわしてたのはそれだったんだな」
加蓮「だって私、こういう性格なんだよ。あること無いこと言っちゃうかもだし」
奈緒「…それはあたしが一番知ってるから」
加蓮「だよねー」
奈緒「この前もそれが元で美嘉に莉嘉が怒られたんだろ?」
加蓮「莉嘉ちゃんは私の情報源になってくれる易しい子だよ」
奈緒「…ん?何かちょっと…」
加蓮「奈緒の勘違いじゃない?」
奈緒「何か変な感じするけど…まあいいか」
加蓮「そこで聞いた美嘉の話は後でちゃんとしてあげるから」
奈緒「んー。あ、ポテトはいいけど夕飯はどうする?」
加蓮「奈緒が作ってくれるんじゃないの?」
奈緒「まああたしの腕前で良ければ…ご飯まだあったかな…?」
加蓮「もしならポテトと一緒に買えばいいけど」
奈緒「いーや、作るぞ」
加蓮「フフフ、楽しみにしてるね」
………
加蓮「ふー、今日は疲れたぁー」
奈緒「あたしの通勤の苦労が分かっただろ」
加蓮「これを事務所に来る時は毎回なんでしょ?」
奈緒「よっぽど急いでて車の時以外はな…はい、ドライヤー」
食事を済ませてお風呂も入り終わった二人。
加蓮「ありがと…今晩は寒くなるんだっけ」
奈緒「そうだってな。朝方が特にそうなるってさっきの予報でも言ってたし」
加蓮「それなら奈緒にしっかり温めてもらわないと」
奈緒「…まあ別にいいけどな」
加蓮「一緒に寝てくれるんだ。恥ずかしがると思ってた」
奈緒「加蓮のとこみたいに客人用の布団をいちいち持ってくるのも面倒だし」
加蓮「そっか…あ、ドライヤーしてあげよっか?」
奈緒「んー、うん。あたしの髪、時間掛かるけどいいのか?」
加蓮「別にー。だって奈緒の髪ってふわふわで触り心地いいんだもん」
奈緒「本当にあたしだけトラプリの中で異質な髪質だよなー」
加蓮「いいんじゃない、そんな姿も含めてファンはファンなんだし」
奈緒「まあそう言われたらそうなんだろうけど…」
加蓮「凛もそうだけど、長いと朝とか大変じゃないの?」
奈緒「元から癖っ毛だから、そこまで気にしないけど…凛の方が大変そうな気がする」
加蓮「凛の場合ストレートのロングだもん」
奈緒「あれは癖付くと大変そうだろうなー」
加蓮「いつ逢ってもちゃんと整ってるよね」
奈緒「本当にいつ見ても綺麗な髪してるし、さすがだよ」
加蓮「あとどのへん?」
奈緒「ああっと、んー…全体的に乾いた?」
加蓮「表面は大丈夫そうだけど」
奈緒「この頭の中の方が乾き悪いんだよ。そこお願いできる?」
加蓮「んー」
………
その後の二人一緒のベッドの中…
奈緒「今日は色んな話が聞けたな。加蓮の情報ネットワークは凄いぜ」
加蓮「これでもまだ話し足りないくらいだし…奈緒の身体が温かい…」
奈緒「そんなにひっ付くなって…まあいいけどさ」
加蓮「さっきしっかり温めてもらうって言ったし」
奈緒「はいはい。まったくこんな姿は凛に見せられないな」
加蓮「…これだけはね」
奈緒「ほら、もう寝るぞ」
加蓮「チューしてくれたら寝るよ」
奈緒「んあっ!?」
加蓮「奈緒、チューしてっ」
奈緒「…ったく、しょうがないな」
チュッ
加蓮「…ありがと…おやすみ、奈緒」
奈緒「…おやすみ、加蓮」
その口付けから二つの規則正しい寝息が起こるのもそんなに時間は掛からなかったという…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
飛神宮子です。
今月の百合百合枠3本目は、なおかれです。
何気ないけれど忙しくなってそれができるのも実はそう多くない…だからこそ二人だけの時間は大切にしたいですよね。
あ、こちらの話ですが…実はPCが故障したためこの9月30日分からは新PCでの掲載となりました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2017・09・30SAT
飛神宮子
短編小説に戻る