時は少し遡って11月のとある週末… |
茄子 | 「今日はよろしくお願いしますね〜♪」 |
ほたる | 「よろしくお願いします…」 |
会社担当者 | 「今回も出演ありがとう。よろしく頼むよ、鷹富士さん、白菊さん」 |
茄子 | 「お正月のCMにも私達にオファーを頂けて嬉しいです。こちらこそありがとうございます」 |
ほたる | 「さっき控え室で見ました。綺麗な着物でこれから着るのが楽しみです」 |
会社担当者 | 「わざわざこっちまで来てもらうことになったからね。それくらいはさせてもらったよ」 |
茄子 | 「そうは言いますが、私達も地元でなので楽しみにしているんですよ〜 |
ほたる | 「そうですね。地元の方々に恩返しの気持ちで頑張ります」 |
会社担当者 | 「楽しみにしとるよ。お、今来たのは君たちのプロデューサー君だね」 |
P | 「ご挨拶遅くなりました、お久しぶりです○○さん。今回も鷹富士と白菊への出演オファーありがとうございます」 |
会社担当者 | 「この二人のおかげで業績もかなりのものとなりましたよ」 |
P | 「今回もうちの二人でその助力になればと思います」 |
会社担当者 | 「今回も期待してますからね」 |
P | 「はい、期待に沿えるよう努力します」 |
スタッフ | 『××株式会社担当者さーん、346プロの担当者さーん、打ち合わせするので隣の会議室にお願いしまーす!』 |
P | 「じゃあちょっと行ってくるよ。茄子とほたるは控え室に行っててもらえるか」 |
茄子 | 「分かりました〜♪行きましょう、ほたるちゃん」 |
ほたる | 「はい…プロデューサーまた後でです」 |
ぎゅっ |
二人はしっかりと手を繋いで控え室へと向かって行った。 |
……… |
時は流れてお正月… |
ほたる | 「あらためて、あけましておめでとうございます茄子さん」 |
茄子 | 「おめでとうございます、ほたるちゃん」 |
ほたる | 「この茄子さんのお守りのおかげで何とか時間ギリギリに着けました…」 |
茄子 | 「前の列車で急病人、その前の列車が故障で運休したんでしたね」 |
ほたる | 「そのせいか乗った列車にどっと押し寄せたみたいです」 |
茄子 | 「でもちゃんとほたるちゃんが着けて良かったです」 |
ほたる | 「ありがとうございます…あ、それから…」 |
茄子 | 「はい?」 |
ほたる | 「お誕生日、おめでとうございます」 |
茄子 | 「フフフ♪ありがとうございますほたるちゃん」 |
ほたる | 「それで今日はこれからテレビ出演した後、どこへ行くんですか?」 |
茄子 | 「それは…まだ秘密です」 |
ほたる | 「えっ…?でもこの持ってくるように言われたお泊まり用のセット3泊分の意味は…」 |
茄子 | 「まずお仕事をして、それからですから」 |
ほたる | 「は、はい…」 |
|
茄子 | 「というわけで…」 |
ほたる | 「あの…ここは旅館ですけど…」 |
地元テレビ局の生放送後、二人の姿はとある旅館の前にあった。 |
茄子 | 「家族が貰ってきた福引券で当てちゃいました♪」 |
ほたる | 「やっぱりぃ…」 |
茄子 | 「ほたるちゃんはもう家族への年始の挨拶はしましたよね?」 |
ほたる | 「家族には朝にしてきました」 |
茄子 | 「だからここで水入らずで…ね♪」 |
ほたる | 「今日から3泊ってことですよね」 |
茄子 | 「帰省で私も一緒に立ち寄った時にほたるちゃんの家族にはお話をつけてあったんです」 |
ほたる | 「そんなことまで…あれ?でも当てたのは帰った後ですよね」 |
茄子 | 「それはほたるちゃんが一番知っているでしょう?」 |
ほたる | 「…フフフ、さすがにそうですよね」 |
茄子 | 「あ、何か予定とかありましたか?4日には実家に戻ってもらえますよ」 |
ほたる | 「でも…せっかく当てたのに私と一緒で良いんですか?家族の方とでも…」 |
茄子 | 「もうほたるちゃん、せっかく二人でこっちに来ているのに…」 |
ぎゅうっ |
ほたる | 「キャッ!茄子さん肩を急に…」 |
茄子 | 「一緒に過ごさないなんて勿体無いです」 |
ほたる | 「………」 |
茄子 | 「あら…ほ、ほたるちゃん?」 |
ほたる | 「何で…嬉しいのに私、泣いちゃってます…」 |
茄子 | 「ほたるちゃん」 |
ぎゅっ |
茄子はほたるの頭を抱えるように抱きしめた。 |
茄子 | 「泣くのは何も悲しいからだけじゃないですよ。嬉しい時も泣いていいんです」 |
ほたる | 「茄子さん…この薫り………ただいまです」 |
茄子 | 「…おかえりなさい、私の愛しのほたるちゃん…」 |
心配して出てきた従業員に呼ばれるまでの間、二人はそのままでいた。 |
……… |
そしてその旅館の部屋へ案内され… |
茄子 | 「…まあさっきの話は実は半分冗談でして♪」 |
ほたる | 「えっ…」 |
落ち着いたところで茄子がもう一度話を切り出した。 |
茄子 | 「あ、冗談なのは福引で当てたという話だけですよ〜」 |
ほたる | 「話を付けていたというのは本当なんですね?」 |
茄子 | 「はい。実はここの旅館の館長さんが私の親類と知り合いなんです」 |
ほたる | 「そうだったんですか…茄子さんの家はやっぱり凄いです」 |
茄子 | 「交換条件を飲んでくれれば、お正月ここに泊まっても構わないと言われまして」 |
ほたる | 「その条件はもしかして私に関係あることですか?」 |
茄子 | 「はい♪私達にスイートへ泊まるお客様に毎日1曲特別に披露して欲しいって話です」 |
ほたる | 「そうでしたか…」 |
茄子 | 「ほたるちゃん、勝手に決めちゃってゴメンなさい」 |
ほたる | 「いえ…それくらいなら私にぜひお手伝いさせてください」 |
茄子 | 「…フフッ、やっぱりほたるちゃんがパートナーで良かったです」 |
……… |
その夜、二人は曲の披露を終えて自室の露天家族風呂へ… |
茄子 | 「ふぅ…ほたるちゃん、ご苦労様でした」 |
ほたる | 「はぁ…茄子さんもお疲れ様でした」 |
湯船の中、寄り添って浸かっている二人。 |
茄子 | 「喜んで頂けて良かったです」 |
ほたる | 「ちょうどこの前撮影したCMが放送されていた時みたいで、驚かれてましたね」 |
茄子 | 「あのCMはちゃんと見ました?」 |
ほたる | 「はい…朝の番組の時にちょうどやってました」 |
茄子 | 「私は深夜の出てた番組をやっていた時に見ましたよ〜」 |
ほたる | 「でもテレビよりも、こうして見る茄子さんの方が何倍も美しいです…」 |
茄子 | 「もう、ほたるちゃんったら〜♪でもほたるちゃんも画面を通すより何倍も可愛いですよ」 |
ほたる | 「茄子さん…」 |
茄子 | 「ほたるちゃん…」 |
チュッ… |
他の誰もいない場所、二人の唇は自然と重なり合った。 |
ほたる | 「今年も茄子さんと良い年にしたいです」 |
茄子 | 「私とほたるちゃんの二人一緒なら、良い年にできますよ」 |
ほたる | 「はい…」 |
そして二人の唇はそうなるのが当たり前のようにまた引かれ合っていく… |