It is Inextricably linked Together(表裏一体)

年の瀬のとあるアイドルルーム…
清良「はあ…またですか」
愛海「でも、する前にちゃんと聞いてから…」
清良「了承はあったの?」
愛海「…ゴメンなさい」
清良「その謝罪はちゃんと櫂ちゃんにしなさい」
愛海「…はい、清良さん」
清良「…愛海ちゃんに選ばせてあげるわね。私と早苗さんと真奈美さんと拓海ちゃんと雫ちゃん、どれが良いかしら?」
愛海「えっ、いいの?」
清良「罪状はまだ軽いみたいですから、このうちの一人で良いくらいね」
愛海「それなら…うーん…うひひ…」
清良「あ、でも私と真奈美さん以外はテレビ局に行っていていないわね。真奈美さんも寮に戻ってるみたいだし」
愛海「それじゃあ清良さんしか選択肢がぁ」
清良「最初から選んでもらうつもりは無かったのよ、愛海ちゃん」
愛海「そんなあ、ズルいよー」
清良「今回は特別にナース拳は弱めにしておくわね」
愛海「はい…お願いします」
清良「手袋を用意して…愛海ちゃん行きますよ、それっ」
愛海「ひゃんっ!…あれっ、終わり?」
清良「ちょっと弱すぎたかしら…それとももう慣れちゃったのかしらね…」
愛海「うう…でも痛いのは痛いんだよぉ」
清良「そうじゃなきゃお仕置きじゃないでしょ、本当にもう懲りないんだから」
愛海「(言えないよ、少しずつこれが気持ちよくもなってきただなんて…)」
清良「どうしたの?愛海ちゃん」
愛海「ううん、何でもないよ」
清良「じゃあ櫂ちゃんにちゃんと謝ってきなさい」
愛海「はーい」
………
ところ変わって寮の一室。清良はお目付け役も兼ねて愛海と同室である。
愛海「清良さーん」
清良「どうしたの?愛海ちゃん」
愛海「みかん貰ってもいいー?」
清良「いいわよ。私も食べるから私にも2個くらい持ってきてもらえる?」
愛海「はーい。うー、コタツから出ると寒いね」
清良「エアコンもう少し上げた方がいいかしらね」
愛海「んー、はんてん着れば大丈夫かなって思うよ。はい、清良さんのぶん」
清良「ありがとう愛海ちゃん。皮はこっちに入れてね」
愛海「うんっ」
清良「で、宿題は終わったのかしら?」
愛海「んー、まだだけどもう少しやろうかなって。帰省したらだらけちゃいそうだもん」
清良「こっちで聞けるうちにやっておいた方がいいわね」
愛海「あ、そうだ。ここって何なのかな、慣用句みたいなやつ?」
清良「これね、これは確か…………って意味の言葉よ」
愛海「じゃあこの文章って………………って意味なんだ」
清良「文脈から読み切らないとだからちょっと難しいわよね」
愛海「この先生もそうだけどついていくのだけでいっぱいいっぱいな科目もあるんだよ」
清良「愛海ちゃんの学校って結構上のクラスの学校なのよね」
愛海「それはアイドルになるなら勉強もちゃんとしろって言われちゃったし」
清良「家の教育方針までは事務所も私も口出しは出来ないわよ」
愛海「分かってる…清良さん、こっちは?」
清良「こっちは普通に訳せるわ」
愛海「あ、そのまま訳していいんだ。えっとこの単語は…」
清良「本当に両利きって便利ねえ…右手で書きながら左手で電子辞書打ててるなんて」
愛海「手の運動は昔から趣味だもんっ」
清良「その手がアイドル活動でどうして悪さしちゃうのかしらねえ…」
愛海「そこにお山があるからっ!」
清良「そんな高らかに宣言しても、許されないことなのよ」
愛海「じゃあ清良さんは目の前に美味しい物があるのに、我慢なんてできるの?」
清良「大人やちゃんとした人はそこで我慢することができるのよ」
愛海「あう…あっと間違えちゃった。ここはこっちの単語だった」
清良「あとどれくらいかしら?」
愛海「あとね、英語のライティングは2ページで終わるよ。残りは社会と理科だけど少な目にしてもらったし」
清良「そうなの、帰省は明後日よね?」
愛海「一応そうなんだけど、帰れるかなあ…もしだったら帰るの年明けでもって言われてるんだよ」
清良「あら、どうしたの?」
愛海「今年っていつもよりおっきな寒波が遅かったみたいでしょ」
清良「さっきのニュースで年末寒波って言ってたわね」
愛海「それで年末に交通機関が止まるなら、顔見せは年明けてからでもいいって言われちゃった」
清良「私はあいさんやいつきさんに頼まれてるから、年明けに日帰りで行くつもりだけれど」
愛海「その日って真奈美さんと一緒のロケの日だよね…?」
清良「ちゃんとお目付け役は頼んでおいたの、残念ね」
愛海「うわーん…清良さんの意地悪ぅ」
清良「自制効かない子を一人置いて問題が行ったら、私の監督責任になるって分かってるでしょ?」
愛海「それは…うん」
清良「ほら、早くそれを終わらせて…ね」
愛海「清良さん…いいの?」
清良「今日は頑張っていたみたいだから。少しだけご褒美よ」
愛海「わーい!やるやるー、待っててーやるぞーっ」
 
さっきまでは90度で座っていた愛海が、宿題を終えて今度は清良の隣に移ってきた。
ギュっ ポンポンっ
清良「今日は頑張ったわね、よしよし」
清良は愛海の身体を優しく抱きしめてあげた。
愛海「ふかふかのお山だあ…運動してもいいの?」
清良「今しかさせてあげられないでしょ、あんまり強くはしなければね」
わきわき むにむに
愛海「この感触、ありがとう清良さぁん…」
清良「んっ…愛海ちゃんも大きくなれば、きっとこれくらい大きくなるわ」
愛海「他の人のだからいいのっ。手が幸せだぁ…」
清良「いつも言ってるけど、他の子にしたらダメなのよ」
愛海「見てると我慢できないんだもん…」
清良「こーら、それで謝って済む話にならないこともあるのだから」
愛海「…もう始末書は見たくないよ…」
清良「だから…ね。愛海ちゃんのそんな姿、私も見たくないもの」
愛海「清良さん…うん」
清良「よろしい。あ、そうそう愛海ちゃん」
愛海「なぁに?」
清良「事務所でナース拳の時だけど、もしかしなくても気持ち良かったんでしょう?」
愛海「えっ…ええっ!?」
清良「ちょっぴり顔が紅くなってたのは知ってるのよ」
愛海「やっぱりそう見えてた?」
清良「ええ。今後はレベル1からもっと強くした方がいいかしら」
愛海「レベル1があれ以上になっちゃうの?それはヤダよぉ」
清良「あらあら。すっかりナース拳で気持ち良くなる身体になっちゃったのに」
愛海「あれでも本当に痛いんだよ」
清良「お風呂入ったら、ちゃんとお薬塗ってあげるわね」
愛海「うん…」
清良「それならそろそろ終わりにしていいかしら?」
愛海「もうちょっとだけ…って言いたいけど、今日はこれくらいにしとくっ」
清良「明日もお仕事とレッスンと宿題を頑張ったら、また…ね」
愛海「エヘヘ、本当に感謝してるよ清良さん」
チュッ
その言葉の直後、愛海の唇が清良の頬へと届けられた…
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あとがき
飛神宮子です。
今月のLily枠4発目は、なんとここで初登場のあつきよです。
表向きにはお仕置きしていますが、それも愛があってこそ。清良さんにとっては手の掛かる妹的存在なのかなと。
それにしてもあのナース拳って何なのでしょうかね…書いていて疑問なんですが。
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2018・12・27THU
飛神宮子
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