ここは10月第2月曜日のとあるラジオ局… |
♪〜 |
千秋 | 「レッドバラードのRED NIGHT BALLAD。月曜日は黒川千秋がお送りするわ」 |
オープニングの音楽が少し落ち着いたところで、ラジオのパーソナリティが話し始めた。 |
千秋 | 「今日は久しぶりに放送日の録って出しなの。ゲストに来てもらう人がいたから休日でないとね」 |
ブースの中には千秋…ともう一人いるようだ。 |
千秋 | 「今日…とは言ってももう昨日になるかしら。体育の日、皆さんはどう過ごされましたか?」 |
ニャー |
そこに入る猫の声。 |
千秋 | 「あら、我慢できなかったみたいね。それでこれを録っているのは夕方なのだけれど、午前中はトレーニングだったわ」 |
雪美 | 「ペロ……鳴いたらダメ……」 |
千秋 | 「いいのよ、前に来たこともあるからペロはリスナーの人は知ってるもの」 |
雪美 | 「そう……?」 |
千秋 | 「ええ。そういうわけで今日のゲストは佐城雪美さんです」 |
雪美 | 「佐城雪美……だよ……」 |
千秋 | 「午前中のトレーニングは佐城さんと他にはあいさんと龍崎さん、アヤさんと遊佐さんの3組で一緒だったのよ」 |
雪美 | 「薫とこずえ……一緒で……楽しかった……」 |
千秋 | 「佐城さんもかなり走れるようになってるわ」 |
雪美 | 「ちょっとずつ……大丈夫になってきたよ……」 |
千秋 | 「今度のライブが楽しみね」 |
雪美 | 「うん……みんなと一緒の……ステージ楽しみ……」 |
千秋 | 「それで今日の番組は佐城さんとのトークでお送りするわ」 |
雪美 | 「……いいの?私……喋るのは自信がない……」 |
千秋 | 「大丈夫よ。前に千夏さんの回でやったみたいだけど、佐城さんに関しての質問が結構届いてるの」 |
雪美 | 「そうなんだ……」 |
千秋 | 「それに答えてもらう形で構わないわ。まずはやってみましょう」 |
雪美 | 「ん……」 |
……… |
♪〜 |
千秋 | 「お聴きいただいたのはヴィヴァルディの『四季』より、冬第1楽章でした」 |
雪美 | 「聴いたことが……ある……?」 |
千秋 | 「確か途中のフレーズが使われているCMがあったかしらね」 |
雪美 | 「そうかも……」 |
千秋 | 「ではここからは皆さんから頂いている佐城さんへの質問をご紹介します」 |
雪美 | 「どきどき……」 |
千秋 | 「もう口で言わなくたって…可愛いんだから」 |
雪美 | 「千秋……」 |
千秋 | 「それじゃあ読むわね。まずはこれから。『佐城さんは今までのアイドル活動で着てきた衣装の中でお気に入りのものはありますか』ですって」 |
雪美 | 「お気に入り……全部好き……」 |
千秋 | 「どれもさじょ…もういいわ、やめましょ。この番組では雪美で呼ぶことにするわ」 |
雪美 | 「ん……そっちの方が……話しやすいから……」 |
千秋 | 「ええ。でもどの衣装も雪美のために作っているものだから似合うのは当たり前なのよね」 |
雪美 | 「あ、千秋と一緒だった……メイドも好き……」 |
千秋 | 「ありがとう。私としてはあのファッションショーの時のは、今までと違う姿が見れて好きだったわ」 |
雪美 | 「それなら今度……着てみる……?」 |
千秋 | 「それはそれよ。みんなどれも良かったもの」 |
雪美 | 「うん……」 |
千秋 | 「一つには決められなかったみたいね。では次は…『佐城さんは千秋さんのここが好きというところはどこですか』ね」 |
雪美 | 「どこが……全部……好き……」 |
千秋 | 「もう、無理しなくたっていいのよ雪美」 |
雪美 | 「無理は……言ってない……本当だから……」 |
千秋 | 「照れるわね…」 |
雪美 | 「優しくて……護ってくれて……私の頼れるお姉さん……」 |
千秋 | 「寮では保護者的な役割も兼ねてるものね」 |
雪美 | 「寂しいときは……一緒に……寝てくれるよ……」 |
千秋 | 「寝室言ってみれば個人スペースは、一応一人一部屋ずつあるのよ」 |
雪美 | 「……ペロと……千秋と一緒に寝るの……大好き……」 |
千秋 | 「明日は学校だけど、今日は一緒に寝る?」 |
雪美 | 「うん……」 |
千秋 | 「フフフ、たぶんこれが放送されている頃には、私と雪美で一緒に夢の中だと思うわ」 |
雪美 | 「……ペロも」 |
千秋 | 「そうね。ではこれで最後にするわ。『佐城さんだけが知っている、千秋さんの…』」 |
雪美 | 「千秋……?」 |
千秋 | 「ごめんなさい、これ以外は…選んでないわね、仕方ないわ。『千秋さんの寮での秘密を教えてください』…なのよ」 |
雪美 | 「千秋の……寮での秘密……」 |
千秋 | 「無理しなくてもいいのよ…」 |
雪美 | 「千秋は……寮でも優しいから……あ、でも……」 |
……… |
ラジオ収録も終わり、ここは寮の二人の部屋。 |
千秋 | 「もう、あんなこと話しちゃうなんて悪い子ね」 |
雪美 | 「ゴメンなさい……千秋」 |
千秋 | 「別にいいの、怒ってるわけじゃないから」 |
雪美 | 「話してほしそう……スタッフの人……」 |
千秋 | 「番組も結構やっているから、気心は知れている人達だもの」 |
雪美 | 「……そうなんだ……」 |
千秋 | 「それでまた出てみたい?」 |
雪美 | 「千秋と一緒なら……出てもいい?」 |
千秋 | 「私は大歓迎よ。私の担当日は月曜日だから、3連休の日なら時間取れそうね」 |
雪美 | 「次はもっと……ちゃんと喋りたい……」 |
千秋 | 「ええ、期待しているわよ。それじゃあこれから食堂行きましょ」 |
雪美 | 「ん……」 |
千秋 | 「そういえば宿題はあるの?」 |
雪美 | 「うん……だからお風呂上がったら……教えて……」 |
千秋 | 「いいわよ。お風呂から上がったらやりましょう」 |
……… |
雪美 | 「……んんっ……」 |
お風呂や宿題、歯磨きなども終えてすっかり眠そうな表情の雪美。 |
千秋 | 「雪美、もう眠たいんでしょう?」 |
雪美 | 「でも千秋と……一緒に寝たい……」 |
千秋 | 「点呼が終わったら部屋に行くから、明日も早いんだから先に部屋で寝てなさい」 |
雪美 | 「うん……」 |
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ガチャっ |
点呼が終わり、自身用の寝室へと入った千秋。そのベッドの上には… |
雪美 | 「くぅ……すぅ……」 |
すっかり夢の中にいた雪美と、足元の方にペロのの姿があった。 |
千秋 | 「フフフ、可愛い寝顔ね。これが拝めるのも…」 |
チュッ |
千秋はその雪美の唇へとそっと口付けた。 |
千秋 | 「特権ね…」 |
千秋もそのまま同じベッドへと入り… |
千秋 | 「おやすみ、雪美」 |
冬に向けて一段と寒くなってきた夜…二人とペロの寝息の三重奏が響くのもそう時間は掛からなかった… |