学生にとっては春休みの一日、寮のとある二人部屋の一室… |
まゆ | 「ただいま、みーちゃん」 |
美玲 | 「お、おかえりー。まゆ姉、今日までだったよな?」 |
まゆ | 「はい、無事に終えてきましたよ」 |
美玲 | 「花見はどうだった?」 |
まゆ | 「ちょっとだけトラブルがあったみたいですけど…楽しかったです」 |
美玲 | 「トラブル?」 |
まゆ | 「途中で先に行ってた卯月ちゃん達と杏さん達が一度はぐれたみたいで…」 |
美玲 | 「そっか、大変だったんだな」 |
まゆ | 「でもこうやって無事に終わって良かったですよ」 |
美玲 | 「おつかれさま。あ、まゆ姉ってご飯は食べてきた?」 |
まゆ | 「レストランで打ち上げした時に軽く食べましたけど、夕ご飯は食べますよ」 |
美玲 | 「それならウチこれからショーコ達とお風呂なんだけど、まゆ姉はどうする?」 |
まゆ | 「輝子ちゃん達とですか?それならご一緒させてもらおうかしら」 |
美玲 | 「オッケー。それならショーコ達に連絡しながら待ってるぞ」 |
……… |
美穂 | 「んんーっ、まゆちゃんも今日までおつかれさま」 |
まゆ | 「はいおつかれさまです、美穂さん」 |
美玲 | 「ここに居たのはマユだけじゃなかったな」 |
まゆ | 「寮組の美穂さんと一緒に帰ってきてましたから」 |
美穂 | 「あ、そっか。美玲ちゃんとまゆちゃん、同じ部屋だっけ」 |
まゆ | 「そうですよ」 |
美玲 | 「時間が合えばここにいる5人一緒でお風呂だけどなっ」 |
美穂 | 「いいなあ…一緒かぁ」 |
まゆ | 「美穂さんは意外と年下の子との交流少ないですよねぇ…」 |
美穂 | 「そうなんだよね、高校生くらいの人が多いかなって」 |
美玲 | 「あー、確かに見たことないかもなー」 |
そこに… |
幸子 | 「まゆさーん!ちょっと石鹸借りていいですかー?」 |
まゆ | 「その声は幸子ちゃんですかー?返してくれればいいですよー」 |
幸子 | 「ありがとうございますー、お借りしますねー」 |
まゆ | 「はーい」 |
美穂 | 「フフッ、やっぱりまゆちゃん達、仲がいいねっ」 |
まゆ | 「ここにいるまゆ達5人と乃々ちゃんの6人の時間も多いですから。ね、美玲ちゃん」 |
美玲 | 「6人で一緒の番組もやらせてもらったからなっ」 |
美穂 | 「そっかあ…」 |
まゆ | 「あっ、美穂さんはこれから夕ご飯どうしますか?」 |
美穂 | 「夕ご飯は今日は智絵里ちゃんと一緒に食べる予定で…あれっ!?今何時だろう」 |
美玲 | 「今は…もう6時だぞ」 |
美穂 | 「わわっ!6時半の約束だからそろそろ身体洗ってかないと間に合わないよぉっ」 |
まゆ | 「あら大変ですねえ…」 |
美穂 | 「まゆちゃん、美玲ちゃんゴメンね。また今度っ!」 |
ザパンッ |
美穂は勢いよく湯船から立ち上がって、洗い場へと向かっていった。 |
……… |
お風呂と夕食が終わり、まゆと美玲の居室… |
美玲 | 「まゆ姉、洗濯は明日だよね」 |
まゆ | 「みーちゃんは明日はお仕事ですか?」 |
美玲 | 「うん。やっぱり学生だからって長期休暇にいっぱい入れられちゃって」 |
二人はソファに並んで座って寛いていた。 |
まゆ | 「そうですねー、まゆ達もそうでしたから」 |
美玲 | 「あ、そっか。明日はインディヴィで取材とグラビア撮影してもらってくるぞ」 |
まゆ | 「頑張ってきてくださいね」 |
美玲 | 「うんっ。洗濯とか手伝えなくてゴメンな」 |
まゆ | 「まゆは明日、明後日とちょっと取材とオフですから。久しぶりに家事を片付けようかなって思ってましたし」 |
美玲 | 「ありがと。今日はレッスンだけだったから、階の当番のとこの掃除くらいはやってたけど」 |
まゆ | 「談話スペースを掃除してくれたの、みーちゃんだったんですね」 |
美玲 | 「時間あったし、特に遊んだりする予定もなかったし」 |
まゆ | 「フフフっ…」 |
ぎゅっ |
まゆは美玲の身体に腕を回した。 |
美玲 | 「まゆ姉っ?!」 |
まゆ | 「そうやって自然にやってくれたのが嬉しいんです」 |
美玲 | 「そ、そっか…?」 |
まゆ | 「まゆがしてもらいたかったこと、言わなくてもしてくれて」 |
美玲 | 「でも結局はさー、誰かがしなくちゃダメなことじゃん」 |
まゆ | 「それはそうですけどぉ…でも心が通じ合ってたのかもしれないなって思いました」 |
美玲 | 「まあウチも何かやらなくちゃって思って、そういえばって思い出したんだよなー…特にこの階はさー…」 |
まゆ | 「はい…適当な人も散らかす子もいますからね」 |
美玲 | 「それなら完璧にしちゃおうって思ってさ」 |
まゆ | 「みーちゃんのそういうところもみんな、まゆは大好きなんですよ」 |
美玲 | 「えっ?」 |
まゆ | 「あれっ?あっ…い、今のはっ…そのぉ…」 |
美玲 | 「ん、んん?ま、まゆ姉…?」 |
まゆ | 「あの…ちょっと聞かなかったことには…できませんよねえ…みーちゃん」 |
美玲 | 「…なんかまゆ姉、変じゃないか?」 |
まゆ | 「そ、そんなこと…ないです…」 |
美玲 | 「あっ…何だかゴメン…」 |
まゆ | 「ううん、変な気持ちにさせたのはまゆの方ですから…ゴメンなさい…」 |
美玲 | 「違うっ!変なこと言ってそんな気分にさせちゃったから、悪いのはウチの方だ…」 |
まゆ | 「みーちゃん、あの、まゆはそんなつもりで…そんな…んっ…ううっ…」 |
美玲 | 「まゆ姉っ、泣くなよっ!ど、どうしたんだ?!どうしよう…」 |
まゆ | 「………んっ…ひっく…」 |
美玲 | 「…あーっ、ウチどうしたらいいんだよぉ…」 |
まゆ | 「…みーちゃん…」 |
美玲 | 「大丈夫?まゆ姉」 |
まゆ | 「みーちゃん…一つだけ…いいですか?」 |
美玲 | 「うん…」 |
まゆ | 「さっきの言葉…嘘じゃないんです…」 |
美玲 | 「さっきのって………ウチのこと……ってヤツだよな?」 |
まゆ | 「…こんなこと…急に言ってゴメンなさい…。気持ち悪いって思ってますよね…みーちゃん」 |
美玲 | 「いや、あのさ…まゆ姉の言う『大好き』っていうのは…そういうことなんだよな?」 |
まゆ | 「………はい…」 |
美玲 | 「だってまゆ姉はプロデューサーのことがそっちの意味で『大好き』なんだよな…?」 |
まゆ | 「プロデューサーさんとは違うんです。大切にしたい物がもう一つ…まゆ、欲張りすぎですか?」 |
美玲 | 「そんなことないっ。ウチも…ウチだってまゆ姉に大切にされたいモン」 |
まゆ | 「みーちゃん…」 |
美玲 | 「まゆ姉のこと…」 |
ぎゅうっ |
美玲もまゆに身体を向けて抱きしめ返した。 |
美玲 | 「これからもっと知りたいな…」 |
まゆ | 「…みーちゃんだけに…特別なまゆをちょっとずつ…ね」 |
美玲 | 「いきなり全部出されてもお腹いっぱいになっちゃうもん…ヘヘッ」 |
まゆ | 「フフッ…みーちゃんのことも…まゆに勉強させてください」 |
美玲 | 「いいぞっ」 |
桜の季節の一夜、二人の顔に満開スマイルが戻っていく… |