Aroma of Effort（努力の薫り）
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忍「よっ、とっ、やったったんっ！」
穂乃香「はいっ、たんたん、とたたたとんっ！」
自主レッスン用ルームにシューズの鳴る音とリズムを取る声が響き渡る。
忍「せーので」
二人『はいっ！』
忍「………はあ…はあ…穂乃香ちゃん…はあ…どう…？」
穂乃香「……ふう…ふう…忍ちゃんこそ…ふう…大丈夫ですか…？」
忍「はあ…んっ…何とか息が落ち着いてきた…」
穂乃香「…ふう…忍ちゃん、とりあえず一度休憩…しましょう」
忍「そうだね…これ３回連続はさすがにキツかった。音楽止めてっと」
穂乃香「ドリンクとタオルです」
忍「ありがとう、座ろっか」
穂乃香「はい…」
二人はレッスンルームの床へと座り込む。冷えた板が火照った体には心地よい。
忍「ほぼ仕上がってはいるけど、まだステップがねー」
穂乃香「振りのクロスのところももう少し練習が必要ですね」
忍「ぶつからないようにいければ、その後もスムーズに行けそうなんだけど」
穂乃香「でも今日は時間的にもやれるとしてもあと次の３、４回くらいですか」
忍「よしっ、あと集中して２回だけやろうっ。それ以上だと筋肉痛めてダメになりそう」
穂乃香「はい、ではこれを飲んだら…やりましょう」
………
忍「せーので」
二人『はいっ！』
忍「………穂乃香ちゃん、今の良かったよね！」
穂乃香「………間違いなく今までで一番の出来です！」
忍「…くぁーっ、やりきったーっ！アタシ達が求めてたのがやっとできたーっ」
そのまま床へと倒れ込む忍。
穂乃香「忍ちゃん、そのまま寝たりしたら髪の毛汚れますよ」
忍「いいよ、どうせこの後シャワーとか浴びるしさ」
穂乃香「それはそうですが…」
忍「…よっと。穂乃香ちゃん、ドリンクとタオルお願いっ」
穂乃香「私もストレッチするんで座りますね。はい、どうぞ」
忍「サンキュ。それじゃあアタシも…あー、筋肉が悲鳴上げてるって分かるー、痛つつつ…」
穂乃香「これだけ激しいのを10本以上やりましたから、んーっ！これはお風呂上がった後にマッサージも必要でしょうか」
忍「それじゃこの後掃除してシャワー浴びて寮に戻ったら、ご飯食べてからそれしよう」
穂乃香「これから行くとちょうど夕食くらいですね」
忍「でも疲れたー。やっぱりちょっと横になって身体伸ばそう」
穂乃香「忍ちゃん、結局横になっちゃうんですね」
忍「穂乃香ちゃんもどう？」
穂乃香「そうですね…たまにはやりましょうか」
床へと並んで横になる二人。
穂乃香「忍ちゃん、そのままだと痛いですから」
忍「えっ…いいの？」
穂乃香「私はタオル敷きますから構いません」
忍「何だか悪いなあ…でもそこまで言うならお言葉に甘えて」
ぼふっ
忍「穂乃香ちゃんの腕枕って…初めてかな」
穂乃香「そうかもしれないですね。布団の上なら別ですが、こういう場所だとおそらく」
忍「あーそっか、でも何か嬉しいけど…ちょっと恥ずかしいね」
穂乃香「はい…」
忍「あのさ、ちょっとだけ…」
ゴロンッ
穂乃香「し、忍ちゃんっ！？私の身体に顔を近づけて何を…」
忍「クンクン…穂乃香ちゃん、穂乃香ちゃんの香りだっ」
穂乃香「あ、あう…ただ汗臭いだけですよ」
忍「そんなことないよ。穂乃香ちゃんらしい香りがしてる」
穂乃香「そんな風に忍ちゃんが言うなら私だって…」
忍「えっ？」
穂乃香「クンクン…忍ちゃん、シャンプー変えました？」
忍「え…あ、そっか…アタシの頭がちょうど嗅げる所に来てるんだっけ…」
穂乃香「忍ちゃんの薫りと相交わって…はあ…」
忍「アタシだって汗臭いだけだよぉ…さっきのは謝るからそんなに嗅がないでー」
穂乃香「謝らなくてもいいですよ、その分堪能させてもらうだけです」
忍「えっ、じゃあアタシもさせてもらうけど良いってこと？」
穂乃香「いいですよ。忍ちゃんにならって思ったら、気にならなくなりましたから」
忍「それなら…もう一度お邪魔するね」
………
シャーーーーー　シャーーーーー
忍「穂乃香ちゃんそっちにボディソープ無いー？」
穂乃香「ありますよ、下通しますね」
忍「ありがと、こっちの空になっててさ」
穂乃香「ふう…まだ４月なのに汗がこんなにびっしょりだなんて」
忍「だからこうやって汗流す時が気持ち良いんだよ」
穂乃香「シャツもインナーもびっしょりでしたから」
忍「べったりの服を脱いだ時の、空気に晒された解放感って言ったらね」
穂乃香「それが寒い時だと蒸気が凄くて…頑張ったんだなって感じます」
キュッ
忍「あ、穂乃香ちゃん終わった？」
穂乃香「はい。忍ちゃんあとどれくらいですか？」
忍「身体軽く洗って流したら出るよ」
穂乃香「分かりました。身体拭きながら待ってますね」
忍「うんー」
………
忍「あ、そこそこ…痛っ」
穂乃香「この辺ですね、この辺重点的に行きますよ」
忍「くあーっ！痛いけど、気持ちいー」
穂乃香「踊ってた時に一番使っていた部分ですから、ちゃんとマッサージしておきましょう」
忍「はあ…んんっ…本当、身体まだ固いのかなあ…」
穂乃香「これは固い柔らかいの問題でもない気がします。使う部位の問題ですから」
忍「でも穂乃香ちゃんはそこまで痛くないんだよね？」
穂乃香「…まあ…」
忍「ん？もしかして、穂乃香ちゃん」
穂乃香「な、何でしょう？」
忍「アタシも後で穂乃香ちゃんにみっちりマッサージしてあげるから」
穂乃香「え、いいですよ。私はそこまで痛くは…」
忍「同じ身体のところを使ってるんだから、そこは同じくらい疲れているはずだよね」
穂乃香「し、忍ちゃん、あの目が怖いですよ」
忍「覚悟していてね…フフフフフフフフ」
忍の部屋から穂乃香の喘いだ声が聞こえたのは、それからそう時間が掛からなかったという…
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あとがき
飛神宮子です。
月刊フリルドスクエアの３６本目兼今月のLily枠１本目です。
二人だけの自主練。そうとう激しいダンス曲だったようで、そうなるとやはり汗も凄いことになるでしょうね。
こちらでは恋人同士の二人。そんな薫りに包まれたらきっとイチャイチャはしちゃいますよね。
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２０１８・０４・２７ＦＲＩ
飛神宮子
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