1月6日の寮の一室… |
裕美 | 「明日から学校かあ…」 |
泰葉 | 「裕美ちゃんどうしたの?」 |
裕美 | 「4日からもうお仕事だったから、感覚がちょっと…ね」 |
泰葉 | 「分かるよ。でも学生は学業の方が本分って言われちゃうから」 |
裕美 | 「えー…?」 |
泰葉 | 「あ、裕美ちゃん何か言いたそうに私の方を見てる」 |
裕美 | 「泰葉さんの子役時代…」 |
泰葉 | 「う…それを言われると否定できない」 |
裕美 | 「でももうアイドルだから違うのかな」 |
泰葉 | 「そうそう。そういうことだけど…あれ?」 |
裕美 | 「泰葉さんどうしたの?」 |
泰葉 | 「裕美ちゃん、その手の絆創膏は何かあった?」 |
裕美 | 「これですか、さっき雑巾作っている時にちょっと刺しちゃって…」 |
泰葉 | 「それくらいなら良かった…アイドルだからあんまりそういうケガもね」 |
裕美 | 「はーい」 |
泰葉 | 「ところで裕美ちゃんは明日学校は普通通り?」 |
裕美 | 「うん、全校朝会の後は普通に授業もあるよ」 |
泰葉 | 「そっか、それだと何時くらいだったっけ?」 |
裕美 | 「帰ってくるのも含めると5時くらいかな…」 |
泰葉 | 「明日千鶴ちゃん書初めの先生お疲れさま会を、何か軽くやりたいなって思ってて」 |
裕美 | 「確かに大変そうだったな…あやめさんと二人で一生懸命だったし」 |
泰葉 | 「今日もやってるみたいかな。明日に間に合わせないとだって泣きつかれてるってね」 |
裕美 | 「それで私は何をすればいいのかな?」 |
泰葉 | 「私も同じくらいに寮の予定だから…一緒に買い物行こうかな」 |
裕美 | 「明日千鶴さんのお仕事は…さすがに無いよね」 |
泰葉 | 「この土日と明けくらいは小中高生ほとんどお休みにしてもらってると思うよ」 |
裕美 | 「そうだよね、お仕事まであったら大変になっちゃうし」 |
泰葉 | 「きっと疲れてるだろうから、甘い物がいいよね」 |
裕美 | 「それは明日お店に行って考えた方がいいかも」 |
泰葉 | 「うん、そうしよっか。あれ?そういえば裕美ちゃん、髪切った?」 |
裕美 | 「誰にも気づかれてなかったのに…泰葉さん分かったんだ…」 |
泰葉 | 「毎日見てるからね。地元の美容院?」 |
裕美 | 「ううん。こっち戻ってきてから、行きつけになっちゃった所でしてもらってるよ」 |
泰葉 | 「そっかー、私もそろそろ整えてもらわないとな」 |
裕美 | 「泰葉さんそれで年越ししたから眉がそろそろ…」 |
泰葉 | 「うん。これ以上下がってくると見えにくくなっちゃうし」 |
裕美 | 「ドラマの撮影ももうすぐだっけ」 |
泰葉 | 「1月の毎週土日と平日のどっかだよ。だからその前に切っておかないと」 |
裕美 | 「泰葉さんはどこの美容院なの?」 |
泰葉 | 「私は馴染みのヘアメイクさんにお願いしてるんだ」 |
裕美 | 「あ、ずるーい」 |
泰葉 | 「子役時代からお世話になってるから、長さの好みとかも分かってくれてるからね」 |
裕美 | 「芸歴が長いってそういうこともあるんだ…」 |
泰葉 | 「昔取った何とかっていうのじゃないけれどね」 |
裕美 | 「そういうの羨ましいなあ」 |
泰葉 | 「でもこの髪型しかできないけど、裕美ちゃんはそれでも?」 |
裕美 | 「あっ…」 |
泰葉 | 「私はこの髪型が割と気に入ってるからいいけど…そういうことなんだよ」 |
裕美 | 「でも私はこの髪質だからアレンジもあんまり多くはできないし…」 |
泰葉 | 「んー、でもね…」 |
さわさわさわ |
泰葉 | 「私はこの裕美ちゃんの髪、好きだからね。ふわふわしてて触ってて温かくなるし」 |
裕美 | 「私だって…」 |
さらさらさら |
裕美 | 「この泰葉さんの髪、好きだよ。さらさらだけどとても整ってて気持ちいいから」 |
泰葉 | 「でも…」 |
チュッ |
泰葉は裕美の頬へとチューをした |
泰葉 | 「裕美ちゃんは全部が好きだけどね」 |
裕美 | 「泰葉さん…それなら私だって…」 |
チュッ |
裕美も泰葉へとチューをお返しした。 |
裕美 | 「全部が好きなんだから」 |
泰葉 | 「ありがと、裕美ちゃん」 |
裕美 | 「こちらこそ、泰葉さん」 |
泰葉 | 「この話はこれでお終いね。いつまで経っても終わりそうになさそうだから」 |
裕美 | 「はーい」 |
……… |
ガーーーーーーーーー ガーーーーーー |
お風呂に入り終わり、脱衣所でドライヤーを掛けている泰葉と裕美… |
泰葉 | 「お風呂上がってドライヤー後は凄くふわふわになるよね」 |
裕美 | 「だから長いとたまに爆発っぽくなっちゃって困るんだ」 |
泰葉 | 「梅雨の時期とか毎日大変だから知ってるけど」 |
裕美 | 「湿気とはよく戦ってるから…うん」 |
泰葉 | 「たまに手伝ったりね」 |
裕美 | 「お世話になってます、泰葉さん」 |
泰葉 | 「うむ、殊勝な心掛けだよ裕美ちゃん」 |
裕美 | 「もーっ、すぐノッちゃうー」 |
泰葉 | 「だけど毎日あの編み込み、見てて大変そうだよね」 |
裕美 | 「慣れればそうでもないかな。パパっととはいかないけど最近は割と速くできるようになったし」 |
泰葉 | 「そっかー」 |
裕美 | 「泰葉さんはパッツンで困ったこととか無いの?」 |
泰葉 | 「んー、そんな無いかな。アイドル仲間にパッツンショートが多くて個性が無いくらいでね」 |
裕美 | 「アハハ…確かに事務所の中だけでも結構多いよね」 |
泰葉 | 「アイドル界の頂点に立つには、まずその人たちを一人一人潰していって…」 |
裕美 | 「…えっ…」 |
泰葉 | 「パッツンアイデンティティを私だけの物として確立して…」 |
裕美 | 「…ええっ!?そ、それはっ…」 |
泰葉 | 「…なんてことは思ってないけど」 |
裕美 | 「はあ…驚いた…。いきなりそんなこと言うんだもん」 |
泰葉 | 「私には子役時代からの芸能魂という武器がちゃんとあるから」 |
裕美 | 「泰葉さんのそういう信念は見習いたいな」 |
泰葉 | 「裕美ちゃんにもいずれは身に付くと思うよ」 |
裕美 | 「それならちゃんとお仕事もっと励まないとかな」 |
泰葉 | 「そうだね…」 |
キョロキョロ |
泰葉は周りを見渡して誰も脱衣所にいないことを確認して… |
泰葉 | 「頑張って、裕美ちゃん」 |
チュッ |
裕美の頬へと応援のための今日二度目のキスを押印する… |