元日の某放送局のCM… |
みく | 『あけまして…』 |
四人 | 『おめでとうございます』 |
夏樹 | 『本年も…』 |
李衣菜 | 『私たち…』 |
菜々 | 『346プロダクションを…』 |
四人 | 『よろしくお願いいたします』 |
ナレーション | 【346プロダクション 代表取締役………】 |
そのテレビはというと… |
菜々 | 「…あ、流れましたね、夏樹さん」 |
夏樹 | 「何か気恥ずかしいな、自分が出ているのをこうして見るのって」 |
菜々 | 「そうですねえ…これが三が日くらいは毎日流れるんですからね」 |
夏樹 | 「年末から年の瀬の方も流れてたけどなあ…どれだけ地元でからかわれたかって」 |
菜々 | 「夏樹さんの着物姿って京町に行った時以来でしたっけ」 |
夏樹 | 「ああ、そういやそうなるか。もう結構前になるんだな」 |
菜々 | 「後で見せてもらった写真、粋な女性って感じでした」 |
夏樹 | 「菜々にはその粋が分かってもらえて良かったよ」 |
菜々 | 「何というか…ああっ!つっ…!」 |
夏樹 | 「ああ、この辺か」 |
菜々 | 「はい…っつあーっ!」 |
夏樹 | 「あれだけ経ったのにまだ痛むのか…本当重症だな」 |
菜々 | 「治りが昔に比べて遅くなっちゃってるんですよ」 |
夏樹 | 「もう10日以上前だろ、ステージの段差でなあ…」 |
菜々 | 「そうですねえ…あ、湿布ありがとうございます」 |
夏樹 | 「去年の一番最後の大きなステージだったから、はしゃぐのも分かるけどな」 |
菜々 | 「つい段差があるのを忘れてて…はい、反省しています」 |
夏樹 | 「そういや今テレビに出てるはぁとさんって、本当は菜々が出る予定だったんだろ?」 |
菜々 | 「長時間の審査で同じ姿勢はちょっと難しいってことで、変わってもらったんです」 |
夏樹 | 「これのせいで実家に帰れなくなったとか言ってなかったっけか」 |
菜々 | 「本当にはぁとちゃんには悪いことしちゃいましたね…」 |
夏樹 | 「今言っても仕方ない話だけどな。ちゃんと説明もしたんだし」 |
菜々 | 「あ、でも…怪我の功名ってちょっと違いますけど…」 |
夏樹 | 「ん?」 |
菜々 | 「何か聞いた話だと、千鶴ちゃんもお正月のお仕事で帰省できなかったらしくて…」 |
夏樹 | 「千鶴って…ああ、はぁとさんのか」 |
菜々 | 「寮で毎日ご飯作ってもらってるらしいですよ」 |
夏樹 | 「…それはそれって話だろ、実際は迷惑掛けてるんだからな」 |
菜々 | 「はい…」 |
夏樹 | 「しっかしなあ、アタシはどうしてまだここにいるんだろう」 |
菜々 | 「それは…ここに来たからじゃないですか?」 |
夏樹 | 「おかしいよな、菜々のとこに顔を見せに来たと思ったらいなくてさ」 |
菜々 | 「さすがに痛めてからは実家に寄せてもらったんです」 |
夏樹 | 「電話掛けたら地図が送られてきて、従ったらここに来ちまったんだよ」 |
菜々 | 「ママに一度連れてきて欲しいって言われまして…」 |
ここは菜々の実家である。 |
夏樹 | 「そうなのか、どうりでアタシの顔を見た時に喜んでたわけだ」 |
菜々 | 「それが正月になるとは思いもしませんでしたけど…でもどうして顔見せただけですぐに帰らなかったんです?」 |
夏樹 | 「さすがにそれだけじゃ付き合い悪いだろって」 |
菜々 | 「それで結局ナナのママに捉まっちゃいましたからね」 |
夏樹 | 「菜々の親も巧みだよな、どんどんと奥に誘導されて結局腰を据えちまったよ」 |
菜々 | 「夏樹さん、まるで竜宮城みたいに時間を忘れてたみたいでしたよ」 |
夏樹 | 「宴会っぽいのに付き合わされて、もう帰れない時間になっちまってな…」 |
菜々 | 「ナナも止めようとは思ったんですけど、この身体ではどうしても動けなくて……」 |
夏樹 | 「お暇しちまわなかったアタシも悪いさ」 |
菜々 | 「アハハハハ…今度ママ達にはよく言っておきます」 |
夏樹 | 「まあでもさすがにお年玉だけは勘弁して欲しかったぜ」 |
菜々 | 「ナナのママが色々とスミマセンでした…」 |
夏樹 | 「怒ってるとかいうわけじゃないからいいけどさ」 |
菜々 | 「そういえば、夏樹さんの家はいいんですか?」 |
夏樹 | 「正月の挨拶は朝のうちに済ましてるから、後はどこ行っても咎められないんだ」 |
菜々 | 「なるほど…」 |
夏樹 | 「それに今の時期だと、受験生は追い込みだから付き合い悪くてな」 |
菜々 | 「夏樹さんは明日は予定あるんですか?」 |
夏樹 | 「アタシ?アタシは3日にラジオゲスト呼ばれてるくらいだけど」 |
菜々 | 「それなら…明日は一緒にどこか行きましょうよ」 |
夏樹 | 「アタシはいいけど、その身体で大丈夫か?」 |
菜々 | 「何とか…んんっ!」 |
夏樹 | 「本当に気を付けろって。ただでさえ寒いんだしな」 |
菜々 | 「はい…でも、初詣くらいは行きたいですね」 |
夏樹 | 「それくらいは…この近くに神社とかあるのか?」 |
菜々 | 「そうですね…有名どころだと○○神社が車で15分くらいの場所です」 |
夏樹 | 「それくらいならバイク耐えられるか?菜々」 |
菜々 | 「た、たぶん…」 |
夏樹 | 「よし、じゃあ明日行こうぜ。多少は変装必要だけど」 |
菜々 | 「はいっ」 |
夏樹 | 「それじゃ今日のところはもう寝ちまうか」 |
菜々 | 「夏樹さんはこっちのお客様用布団でどうぞ」 |
夏樹 | 「そっちが菜々の布団か?」 |
菜々 | 「今は実家に帰った時しか使いませんけど、ここに住んでた頃の最後はこれでした」 |
夏樹 | 「菜々らしい布団だな。色といい、柄といいさ」 |
菜々 | 「ありがとうございます…」 |
夏樹 | 「なあ、菜々」 |
菜々 | 「何でしょう夏樹さん」 |
夏樹 | 「布団、くっ付けてあるけどどうする?」 |
菜々 | 「え、あ、ど、どうすると言いますと…」 |
夏樹 | 「菜々が嫌じゃなければそのままでいいけど」 |
菜々 | 「べ、別にナナはそのままでも…そのままの方がいいです…」 |
夏樹 | 「…もしかして、これも…なのか?」 |
菜々 | 「たぶん…そうかなと思います」 |
夏樹 | 「気にしたら負けだな。…寝ようぜ」 |
菜々 | 「そうですね…」 |
そして布団の中… |
菜々 | 「夏樹さん…」 |
夏樹 | 「どうした?」 |
菜々 | 「その…くっ付いてもいいですか?」 |
夏樹 | 「菜々の好きにしていいよ」 |
ススススス ギュっ |
菜々は夏樹の布団へと移動しながら抱き着いた。 |
夏樹 | 「アタシには甘えん坊さんだな…」 |
菜々 | 「ナナが甘えん坊になれるのは夏樹さんの前だけですから…」 |
二人で見る初夢、それはきっと二人にとっての良い夢に… |