ある7月下旬のアイドルが住む寮の一室… |
晴 | 「はあ…今年も宿題多いな…」 |
梨沙 | 「多いって言ったって同じ学校なんだから、アタシと同じ量でしょ」 |
晴 | 「これでアイドル活動と実家帰ってたら、遊ぶヒマなんかねーじゃんか」 |
梨沙 | 「それでも自由研究は免除なんだから、ほらさっさと始める」 |
晴 | 「へいへい。分かんないトコは教えてくれよな」 |
梨沙 | 「いいけど…たまに音葉に聞きに行くかもだからね」 |
晴 | 「んー」 |
梨沙 | 「でも寮だからいいじゃない。晴はまだ実家戻っても兄弟がいるからいいけどアタシはねー」 |
晴 | 「アニキ達なんて役に立たねーぜ」 |
梨沙 | 「そういうものなの?」 |
晴 | 「そーいうもんだ。まー遊んじまうオレもオレだけどな」 |
梨沙 | 「そうだと思ったわ」 |
……… |
2時間後… |
晴 | 「ふー…とりあえずこんなもんか」 |
梨沙 | 「このペースなら7月中に終わらせられそうね」 |
晴 | 「8月からはアイドル活動メインだもんな」 |
梨沙 | 「帰省もあるからやっている暇なんてないわよね」 |
晴 | 「そういや帰省は予定通りでいいのか?」 |
梨沙 | 「広島で別れるんでしょ?それでいいわよ」 |
晴 | 「オレは直行便でも良かったんだけどなー」 |
梨沙 | 「そんなこと言って、心細いから一緒に帰ろうとか言ってたのは誰だったかしらねー」 |
晴 | 「そ、そんなこと…」 |
梨沙 | 「晴ったら…」 |
チュッ |
梨沙は慌てている晴の唇を唇で掴まえた。 |
梨沙 | 「そういうカワイイトコがあるのよね」 |
晴 | 「…ばーか」 |
梨沙 | 「馬鹿でいいわよ。晴の前だけでしか見せないもの」 |
晴 | 「ばーかばーかばーか」 |
梨沙 | 「晴、アンタいい加減にしないと…」 |
ドタンッ |
理沙は晴を床へと押し倒した。 |
晴 | 「…しないと?」 |
ギュっ |
折り重なりながら晴の後ろへと手を回す梨沙。 |
晴 | 「ちょっ、急に苦しいって。何すんだよ」 |
梨沙 | 「アタシの気が済むまでこうされてなさい」 |
晴 | 「いいけどよ…ホント梨沙の気がしれねーぜ」 |
梨沙 | 「普段できないんだからたまにはいいでしょ」 |
晴 | 「オレ達、同じ部屋ってわけでもねーしな」 |
梨沙 | 「寮の決まり事だから仕方ないけど」 |
晴 | 「早く一人部屋に移りたいぜ」 |
梨沙 | 「そうすれば自由にこういうのもできるものね」 |
晴 | 「まあな…っと、それでこれからどうするんだ?」 |
梨沙 | 「どうしようかしらね。晴は今日レッスンあるの?」 |
晴 | 「オレは今週は…ちょっと待ってくれよ」 |
左手で机の上のスマホを探し出して確認する晴。 |
晴 | 「…んー、今日と木曜だけ休みだぜ」 |
梨沙 | 「アタシは今日と…あれ?もしかして今週の休み一緒じゃない?」 |
晴 | 「梨沙も水曜の番組収録に出るのか?」 |
梨沙 | 「そうよ。じゃあ一緒に出るのって晴だったの」 |
晴 | 「まあ梨沙だったら心配ねーか。運動神経も悪くないしな」 |
梨沙 | 「アタシはアンタとだと心配ねー、クイズもあるのよ」 |
晴 | 「なんだよー」 |
ぐるんっ |
晴は体勢を表裏ひっくり返した。 |
晴 | 「オレじゃ…」 |
チュッ |
晴 | 「信頼できないっつーのかよ」 |
梨沙 | 「晴…」 |
晴 | 「確かに学力は自信ねーけどな」 |
梨沙 | 「…そうやってカッコイイとこだけ見せても誤魔化されないからね」 |
晴 | 「…チッ…バレてたか」 |
梨沙 | 「でも頑張りましょ。他には誰だったか聞いてる?」 |
晴 | 「知らないけど、プロデューサーの担当アイドルからだから誰が来たって同年代だろうな」 |
梨沙 | 「そうなのよね…約1名除いてね」 |
晴 | 「若葉な。梨沙、明日レッスン一緒だろ?」 |
梨沙 | 「L.M.B.Gのレッスン疲れるのよねえ…纏まりないし」 |
晴 | 「加入してなくて本当に良かったぜ…」 |
梨沙 | 「アンタもいずれは入る運命よ。この前、上限が152cmになったのよ」 |
晴 | 「え゛っ…」 |
梨沙 | 「最高がメアリーで更新されたの。ある程度以下は全員集めるつもりよ、あのロリコンP」 |
晴 | 「そろそろオレも逃げる準備しないとか」 |
梨沙 | 「アタシが逃がさないわよ」 |
晴 | 「へいへい。んでこれからどうする?」 |
梨沙 | 「そうねえ…もう開いてるしお風呂入りましょ。サッパリしたいわ」 |
晴 | 「そうだな、この時間なら人も少ねーだろうし」 |
梨沙 | 「それじゃ、着替え持って10分後に大浴場前ね」 |
……… |
梨沙 | 「ちょっと焼けてない?」 |
晴 | 「外居る時間長い日があったからなー」 |
二人は身体を流し終えて浴槽へと浸かっていた。 |
梨沙 | 「気をつけないとまたプロデューサーに怒られるわよ」 |
晴 | 「日焼け止めは一応してたつもりなんだけどさ」 |
梨沙 | 「でもコレくらいの方が本当は健康そうに見えていいのよね」 |
晴 | 「と言ってもアイドルしてると、そういうわけにもいかねーのが辛いよな」 |
梨沙 | 「イメージが大事な仕事だし…小学生のアタシ達くらいならまだ少しは許されるかもだけど」 |
晴 | 「梨沙はさすがだな」 |
梨沙 | 「音葉に頼んで毎日しっかり日焼け止めしてもらったもの」 |
晴 | 「あー…オレのとこのいつきは、そういうのそこまで気にしないタイプだからさー」 |
梨沙 | 「ま、自分で頑張んなさい」 |
晴 | 「こればっかりはしょうがねーか。それにしても本当にオレらだけの貸切だな」 |
梨沙 | 「みんなまだレッスンとかの時間帯でしょ。午後の3時台なんて出掛けてる人もまだ帰ってこないわよ」 |
晴 | 「あー…なるほどなー。じゃあ…」 |
ぎゅっ |
梨沙 | 「は、晴っ!?」 |
晴 | 「へへっ、こういうことしてても誰にも見つからねーぜ」 |
梨沙 | 「ちょ、ちょっと裸で抱き締めるなんていくらなんでも恥ずかしいってば!」 |
晴 | 「そんなこと、誰も来ないから大丈夫だろ」 |
梨沙 | 「そ、それは確かにアタシが言ったことだけど…」 |
晴 | 「梨沙の肌、気持ちいいな。何だか貼り付いてくるぜ」 |
梨沙 | 「晴の肌だって、ちょっと荒れてるけど心地いいわ」 |
ぎゅぅっ |
晴 | 「お、梨沙も乗り気じゃん」 |
梨沙 | 「そんなやられっぱなしってわけにはいかないわよ」 |
晴 | 「なあ、もうちょっとだけこうしてていいか?」 |
梨沙 | 「アタシだってしばらく離す気はないから好きにして」 |
晴 | 「じゃあ遠慮な…」 |
その時… |
ガラガラガラ |
悠貴 | 「真尋さんの方の大会はいつです…!!!???」 |
真尋 | 「次は秋だよっ…悠貴ちゃんの方は…!?!?!?」 |
どうやら一緒のランニングを終えて汗を流そうと来た二人が来てしまったようで… |
悠貴 | 「は…晴ちゃん、梨沙ちゃん…ど、どうしましょう真尋さん」 |
真尋 | 「り…梨沙ちゃん、晴ちゃん…私達の目は気にしなくていいからねっ…ゆっくり入っててっ…」 |
その気遣いで余計に恥ずかしくなって我に返った二人は、そそくさと大浴場から去っていった… |