クリスマスイブの夜、それもてっぺんを回りかけた夜のことだった… |
♪〜 |
寮にある千鶴の部屋の内線電話が鳴り出した。 |
千鶴 | 「はいもしもし、松尾です」 |
寮監 | 『松尾さんですね、寮監です』 |
千鶴 | 「は、はい。な、何でしょう?」 |
寮監 | 『今さっき外で飲んでこられた方々が来たんですが、佐藤さんが松尾さんの名前を叫んでいるので引き取りに来てもらえませんか』 |
千鶴 | 「…はい、今行きます。他にそちらにおられる方はいますか?関係者を分かる範囲でお伝え出来ますが」 |
寮監 | 『あとは…並木さんと姫川さんですね。分かりますか?』 |
千鶴 | 「それなら…並木さんは江上さん、姫川さんは輿水さんか小早川さんで大丈夫かと思います」 |
寮監 | 『ありがとう松尾さん…ってああ五月蠅いっ!この酔っ払いたち…ってアハハ、ゴメンなさいね』 |
千鶴 | 「いえ、ご迷惑をおかけしているのはこちらの方ですから。では今行きますので」 |
ガチャっ |
千鶴 | 「…はあ…」 |
千鶴は苦笑いを浮かべながら寮の事務室へと向かっていった… |
……… |
千鶴 | 「もう、どれだけ飲んできたんですかっ」 |
心 | 「もう覚えてな〜いもんっ☆楽しかった〜」 |
ここは引っ張ってきた心の居室の寝室。 |
千鶴 | 「そう可愛く言ったってダメです。ほら、まず着てるのを下着以外脱いでください」 |
心 | 「脱〜が〜せ〜て〜」 |
千鶴 | 「それくらい自分でやってください」 |
心 | 「千鶴ちゃんの意地悪〜、太眉毛〜☆」 |
千鶴 | 「今は太眉は関係ないでしょっ!早く脱いでください…えっと心さんのパジャマは確か…」 |
心 | 「うう、寒ぅ〜まだ〜?」 |
千鶴 | 「あったあった…って何でブラまで脱いでるんですか!」 |
心 | 「さっきまで着けてたの、ナイトブラじゃないも〜ん♪」 |
千鶴 | 「あ、同じ棚に入ってたのってそれだったんですか…これでいいかな」 |
心 | 「千鶴ちゃん、着けてー」 |
千鶴 | 「…はあ、酔っ払いに言うことを聞かせる方が無理か…はい、気を付けっ!」 |
心 | 「はーい♪」 |
千鶴 | 「脚から入れてください、胸までやったら紐上げますから」 |
心 | 「んしょっと…よいしょっと…あとやって〜☆」 |
千鶴 | 「もう面倒なんだから…よしっと。あとはこれを着てください」 |
心 | 「んん、もうスウィーティーなパジャマ選んじゃって〜」 |
千鶴 | 「一番上がこれだったんです。持ってますから早く脚を入れて」 |
心 | 「んー…」 |
千鶴 | 「上も着てください。ボタンは…」 |
心 | 「留・め・て☆」 |
千鶴 | 「言うと思ってました…はあ…終わった…」 |
ぼふんっ |
心はベッドへと腰掛けた。 |
心 | 「ん〜、洗面台にあるメイク落としのヤツも頼むぞ♪」 |
千鶴 | 「行ってきますから待っててください。寝ないんですよ」 |
心 | 「は〜い、千鶴ママ〜」 |
千鶴 | 「誰がママですかっ!」 |
ポカっ |
心 | 「わ〜ん、ママがぶった〜」 |
千鶴 | 「反省しててください」 |
……… |
メイク落としも終わり… |
心 | 「千鶴ちゃん帰っちゃうの?」 |
千鶴 | 「洗濯物もまとめましたから、帰りますよ」 |
心 | 「や〜だ〜☆」 |
千鶴 | 「そんなこと言われてもどうしたらいいんですか」 |
心 | 「一緒に寝るんだぞ♪」 |
千鶴 | 「…はい?」 |
心 | 「だ〜か〜ら〜、はぁとと一緒に寝るのっ☆」 |
千鶴 | 「嫌ですよ、こんな酔っ払いとなんて」 |
心 | 「千鶴ちゃん、はぁとのこと嫌いなのね…」 |
千鶴 | 「嫌いとかじゃ…ないですけど」 |
心 | 「だったらいいだろ?どうせもう点呼とか無いんだし〜☆」 |
千鶴 | 「もう点呼はあっても終わってる時間です!もう帰りますよ」 |
心 | 「む〜…千鶴ちゃん、はぁとのことやっぱり嫌いになったんだぁっ!!うわ〜ん…」 |
千鶴 | 「し、心さんっ!?こんな夜中に大きな声出さないでくださいっ!」 |
心 | 「だってだって、一緒に寝てくれないってことははぁとのこと嫌なんでしょ?」 |
千鶴 | 「そんなことないですから、ああもうっ負けました!」 |
心 | 「千鶴…ちゃん?」 |
千鶴 | 「一緒に寝てあげますから、今日だけですからね」 |
心 | 「…嬉しいぞ☆」 |
千鶴 | 「分かってましたよ、嘘泣きだってことも。それくらいで泣くとは思ってなかったです」 |
心 | 「あちゃ〜、やっぱり全部見破られてたね〜☆」 |
千鶴 | 「それは…付き合い長いですから…」 |
心 | 「それじゃあ寝るぞ☆」 |
千鶴 | 「ちょっと待ってください。一旦部屋に戻って色々やってまた来ますから」 |
心 | 「ん〜、待ってるぞ」 |
……… |
千鶴 | 「どうしてこんなに飲んできたんですか?」 |
心 | 「ん?大人にはそうしたい時があるんだぞ☆」 |
既に二人横並びでベッドの中。 |
千鶴 | 「それでパッション組の方々と一緒だったんですよね」 |
心 | 「クリスマスの時くらい、はっちゃけたいの♪」 |
千鶴 | 「そういうものなんですか?」 |
心 | 「そういうものなの。でも…やっぱり一緒に過ごすならぁ…」 |
チュッ |
心 | 「千鶴ちゃんとの方が良かったかも☆」 |
千鶴 | 「う…酒くさ…」 |
心 | 「…でもありがと…」 |
千鶴 | 「…心さん?」 |
心 | 「こうして酔っぱらったはぁとにもちゃんと構ってくれて」 |
千鶴 | 「だってちゃんとさせなかったら床でも寝ちゃう人ですから」 |
心 | 「そうだな…きっとそうしてるわ☆」 |
千鶴 | 「でも、私だって…」 |
チュゥッ |
千鶴 | 「大好きな人でなかったらここまではしてあげませんよ」 |
心 | 「嬉しいこと言ってくれる…はぁと、泣いちゃいそ♪」 |
千鶴 | 「ほ、ほら…そろそろ寝ましょう」 |
心 | 「あ、紅くなってるぞ☆」 |
千鶴 | 「これは…心さんのアルコールのせいで…」 |
心 | 「そういうことにしといたげる☆」 |
千鶴 | 「も、もう知りませんっ、おやすみなさいっ心さん」 |
心 | 「フフフ、そんなところがスウィーティーなんだからっ♪おやすみ、千鶴ちゃん」 |
ぎゅぅっ ぎゅっ |
そんな二人の腕は布団の中で温もりを求めるように自然と相手を抱きしめていった… |