年の瀬のとあるアイドルルーム… |
沙織 | 「今年もこれでお仕事終わったべな」 |
風香 | 「おつかれさまでした沙織さん」 |
沙織 | 「風香さんもけっぱったなあ」 |
P | 「沙織も風香もごくろうさま。あー、これで俺も年内は年越しのだけになった」 |
沙織 | 「プロデューサーさんも大変らすけなあ」 |
風香 | 「年越しって沙理奈さん、比奈さん、瑞樹さんのですか?」 |
P | 「それだよ。正月休み欲しかったのに負けちゃってなあ」 |
沙織 | 「プロデューサーさんもけっぱれな」 |
P | 「あと少しだもんな、頑張るさ。それで二人とも寮に送ればいいのか?」 |
風香 | 「お願いします。明日からお休みいただきますね」 |
沙織 | 「わだずも明日に秋田さ里帰りだべな」 |
P | 「故郷を楽しんでこいよ、二人とも。それじゃあ行こうか」 |
……… |
そして寮の沙織の部屋… |
沙織 | 「はあ…こたつは落ち着くべなあ…」 |
風香 | 「そうですねぇ…沙織さん、お茶飲みます?」 |
沙織 | 「いただくべな」 |
風香 | 「……はい、どうぞ」 |
沙織 | 「ありがと…ふう…はあ…身体がじんわり温まるわ」 |
風香 | 「今日は特に寒くなりましたから…」 |
沙織 | 「ああ…こたつから出たくないろも、夕飯が食えなくなるすけ」 |
風香 | 「私も手伝いますから、作りましょう」 |
沙織 | 「今日まで寮で出てくれたら助かったんろもなあ」 |
風香 | 「ご飯作ってくれる人たちもお仕事ですからね、私たちの都合でそれは…」 |
沙織 | 「言われたらそうなんだべな、よっし作るべさ」 |
風香 | 「はい、作りましょう」 |
沙織 | 「風香さんは鍋さ用意してけれ」 |
風香 | 「どの鍋ですか?」 |
沙織 | 「いつもの鍋でなぐて、でっけえので作るべしゃ」 |
風香 | 「あれ?私たちの分だけじゃないんですか…?」 |
沙織 | 「今日はこの階で帰らない人のも作るすけな」 |
風香 | 「あ、ケイトさん達の分もってことですね」 |
沙織 | 「らすけ、今日は談話スペースの方のキッチンさ使うことにしとるべ」 |
風香 | 「分かりました。みんなと一緒だと楽しい食事になりそうですね」 |
……… |
沙織 | 「もうできそうらすけ、この階の部屋にいる人みんな呼んできてもらえるか風香さん」 |
風香 | 「はい、行ってきますね」 |
ライラ | 「おー、美味しそうでございますねー」 |
メアリー | 「サオリ、これ何ていう料理なの?」 |
沙織 | 「これはきりたんぽ鍋だべな」 |
ナターリア | 「ご飯を鍋に入れるなんて聞いたことないゾ」 |
ケイト | 「ワタシの国にはプディングみたいにしたご飯はありマス。でもこれは初めてデス」 |
沙織 | 「みんなの国の料理も食べてみたいべなあ」 |
イヴ | 「あー、美味しそうないい香りですねー」 |
美優 | 「作っていただいてすみません奥山さん、いただきますね」 |
風香 | 「沙織さん、これで今いる人は全員みたいです」 |
ケイト | 「ミユ、今日はどうしマスカ?もうニナは帰省しましたよネ」 |
美優 | 「あの沙織さん、ここで飲んでも構わないですか…?」 |
沙織 | 「メアリーちゃん、大丈夫だべか?」 |
メアリー | 「アタシはノープロブレムヨ。ケイトは分別あるから」 |
美優 | 「それなら今、持ってきますね…」 |
風香 | 「それじゃあ配りましょうか、お椀渡しますね」 |
沙織 | 「ん、受け取った人から食っていいべさ」 |
……… |
ジャーーーーーーー シュッシュッシュ |
沙織 | 「鍋は多く作る方が味良いのは不思議だわ」 |
風香 | 「二人や三人分より良い味でしたね」 |
沙織 | 「みんなと食うのも楽しぐて、あっという間に空っぽさなったべ」 |
風香 | 「みんなお代わりしてましたから、作ったかいがありました…」 |
沙織 | 「んだろも、明日の朝はどうするべなぁ…」 |
風香 | 「え?もう鍋は無いですけど、もしかして沙織さん…」 |
沙織 | 「残りを朝に食うつもりだったんだべな」 |
風香 | 「それなら私が作ります」 |
沙織 | 「風香さんが作ってくれるんだか?」 |
風香 | 「はい。簡単なもので良ければ二人分大丈夫です」 |
沙織 | 「それはありがたいべ。だったらお願いするわ」 |
風香 | 「ただ明日は結構朝早くて、ここ7時には出ないとですけど…」 |
沙織 | 「別にそれでええべさ、わだすも8時台の新幹線らすけ同じ時間になるわ」 |
風香 | 「それならちょうど良かったです」 |
沙織 | 「じゃあもう風香さんの部屋さ泊まるべな」 |
風香 | 「ええっ!?」 |
沙織 | 「一緒の部屋の亜子ちゃんはもう帰ったんか?」 |
風香 | 「27日にさくらちゃんと泉ちゃんと一緒に帰りました」 |
沙織 | 「そんならだめだか?」 |
風香 | 「ダメ…じゃないですけど寝る場所が…」 |
沙織 | 「…最後の日くらい一緒でもバチは当たらないべさ…」 |
風香 | 「…沙織さん…」 |
沙織 | 「風香さんが嫌ならやめるすけ」 |
風香 | 「嫌だなんてそんなことは…ないです」 |
沙織 | 「そったらこれ洗ったら片付けて、お風呂道具持ってそっちさ行くべ」 |
風香 | 「はい…」 |
……… |
風香 | 「今年も一年色々ありました…ね」 |
沙織 | 「らろも、充実した一年だったべな」 |
風香 | 「はい…」 |
沙織 | 「もういくつも寝んでもお正月らすけ」 |
風香 | 「来年も今年以上にいい年にしたいですね」 |
沙織 | 「風香さんと一緒ならやれると思うわ」 |
風香 | 「私も沙織さんと共に…」 |
チュッ |
風香 | 「充実した年になれば嬉しいです…」 |
沙織 | 「ありがと…」 |
チュウッ |
沙織 | 「しばらくの別れの前に、いっぺこと風香さんをもらっとくわ」 |
風香 | 「私も沙織さんをいつでも思い出せるように今日はたくさん…ください」 |
沙織 | 「明日まではずーっとこうしててあげるべさ」 |
風香 | 「沙織さん…」 |
ぎゅっ |
一段と寒くなる暮れの夜、同じベッドの中に二人の心地よい時間だけが流れていく… |