Heavy Compensation of the Pleasure(楽しさの重い代償)

1月5日夕方の寮の一室…
♪〜
いつき「はーい、鍵開いてますよー」
ガチャっ
清良「こんばんは、真鍋さん」
いつき「こんばんは、柳さん」
「いつき、帰ってきたぞー」
いつき「あっそうでしたね、柳さんおつかれさまでした」
清良「いえ、私も今日日帰りですけど実家への顔見せもできましたから」
「本当は薫と二人で帰るつもりだったけど、さすがに事務所からNG言われちゃってなー」
清良「でも、晴ちゃんも薫ちゃんも帰りの飛行機は良い子にしてましたよ」
いつき「無事に晴ちゃんが戻ってきて何よりです。ありがとうございました柳さん」
清良「いえいえ、どういたしまして。では失礼しますね」
「清良、ありがとなー」
バタンッ
「くあーっ、帰ってくんのも疲れたーっ」
いつき「おつかれ、晴ちゃん」
「はいこれ、いつきに愛媛土産って。アタシの親が持たせたんだ」
いつき「ありがとっ、みかん大福かー美味しそうっ」
「結構イケるぜ、オレも割と好きだしさ」
いつき「あ、そうだ。書初めの宿題、千鶴ちゃんに頼んどいたから今日中に行ってきてね」
「んー、サンキュ。あー、宿題の残りもやんねーとなー」
いつき「あと晴ちゃんのお母さんから電話来てたけど、『宿題はちゃんと終わらせるように』だって」
「うわっ、いつきにまで連絡入れてたのかよ、オレの親…」
いつき「それと『帰寮次第、梨沙ちゃんがこの部屋に行くように手配しとく』だってね」
「え゛…どういうホットラインなんだよ、オレの親と梨沙よぉ…」
いつき「それは私経由でお願いされたの。えっと梨沙ちゃんのところの内線は…」
ピッピッピッ
「に、逃げるが勝…!」
ガシッ
いつき「トレーナーにならないかって誘われたくらいの能力をナメてもらっちゃね」
いつきは晴を小脇に抱えたまま電話をすることになった。
「ぎゃー!放せー!」
いつき「晴ちゃんダメだぞー。あ、はい…すぐ来るね、鍵はもう開いてるからよろしくっ」
ガチャンっ
「やりたくないんだー!」
♪〜
いつき「はーい、入ってー」
ガチャっ
梨沙「まったく…蓋を開けてみればやっぱり宿題終わらせてないじゃない晴」
いつき「梨沙ちゃんおつかれ。はい、部屋に放り込むから一緒に頼むね」
梨沙「…ほらやるわよ。今日明日で終わらせないとなんだから」
「うへえ…あれ、ありすは?」
梨沙「ありすは今日からお仕事よ。巴と出てまだ帰ってきてないわ」
「なんなら梨沙だけか」
梨沙「言っとくけど、逃げようとしたら怒るわよ」
「はいはい、どうせそんなことだと思ってた。あー、でもその前に書初め片付けちまっていいか?」
梨沙「そうね、一気にカンヅメになってもらった方がいいものね」
「千鶴も向かいの部屋だしよ、ちゃちゃっと終わらせちまった方がいいや」
………
書初めと夕食を終えて…
梨沙「故郷に帰る前とほとんど変わってないわね…」
「そんなこと言ったってよ、兄貴たちもいて遊んでくれるのにできるかよ」
梨沙「それでもやるのが宿題でしょ」
「言い返せねー…」
梨沙「ほら口を動かすより、手を動かす」
「んー…」
梨沙「これでも少しは量を減らしてもらってるのよ」
「面倒くさいなこれ…」
梨沙「言いたいことはわかるけど、教科書見れば分かるんだから」
「そりゃそうだけどな」
………
宿題を粗方終えて、お風呂へと来た二人…
「ふぃー…頭がパンクしそうだった…」
梨沙「まだあと1/4は残ってるわよ」
「まだやるしかねーのか…」
梨沙「終わってないんだからしょうがないわよね」
「梨沙は写させてくれないし」
梨沙「自力でやりなさい」
「ふぁーい」
梨沙「だいたい帰る前もなかなかやろうとしなかったじゃない」
「クリスマスイベントも近かったし、やる気なんて無かったぜ」
梨沙「それはみんな一緒よ、そこでやらなかった晴が悪いの」
「それは分かってる」
梨沙「じゃあやりなさいな」
「…なあ、今日って点呼無いんだよな」
梨沙「そうね、始まるのは明日からよ」
「それならオレのとこ泊まってくれないか」
梨沙「ええっ!?それって…」
「もう今日中に終わらせちまいたいんだよ」
梨沙「えー、どうしようかしら」
「頼むっ!」
梨沙「明日はお仕事もレッスンもないから時間はいいけど…」
「ダメか?」
梨沙「しょうがないわね…音葉に言ってくるからお風呂上がったら部屋で待ってなさい」
「了解」
梨沙「さすがにありすまでは連れてこなくていいわね?」
「ああ。仕事終わりのありすまで呼び寄せたら酷だろうしな」
………
宿題をほぼ終えて、ここはベッドの中…
「こんだけ勉強したの久しぶりだ」
梨沙「サボってた晴が悪いんだからね」
「ああ、もう懲りた…」
梨沙「これからはちゃんとやるの、いいわね」
「もうすぐ中学生だもんな」
梨沙「これからもっと勉強も難しくなるのよ」
「…はあ、やっぱりやりたくねーな」
梨沙「もう…」
チュッ
梨沙はそっと晴の頬へとキスをした。
梨沙「これでやる気出しなさい。おやすみ、晴」
「ああ、ありがとな。おやすみ、梨沙」
チュッ
晴も梨沙の頬へそっと唇を触れさせて…一つのベッドの中、そんな幼気な愛の夜…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
飛神宮子です。
今月のLily枠8発目、ビートシューターこと晴梨沙です。
清良愛海SSでの「故郷日帰り」の話はこれのことでした。何せ他の出身者が二人とも小学生ですからね。
晴は夏もやっていないところを見るときっと冬もでしょう…恋人なら特に梨沙なんかはさすがによっぽどじゃなければ見捨てられないでしょう。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2019・01・05SAT
飛神宮子
短編小説に戻る