To Recede-To Approach(遠ざかり、近付き…)

8月19日の土曜日、寮のとある階の談話スペース…
みく「ナナチャン、これで全員かにゃ?」
菜々「プロデューサーさんは時間が合えばということなので、これで全員ですね」
拓海「それじゃあ誰か音頭取るヤツいるか?」
里奈「ここはやっぱり、だりなちゃんっしょー」
李衣菜「え?私…よりここは菜々ちゃんでいいんじゃない?」
菜々「ナナですか?」
菜々が夏樹の方を見ると、そこにはウィンクをする姿が目に入った。
菜々「…はい、承りましたっ。では…皆さん、グラスは持ちましたかー?」
他全員『はーい』
菜々「ではライブツアーお疲れさまでした、そしてなつきちさん…」
「菜々さん、別にいいんだぜ。ここにいるのはみんな知ってるからさ」
菜々「えっ…あ、はい。では…んんっ!夏樹さんの誕生日をお祝いしまして…カンパーイ!!」
全員『カンパーイ!!』
あちこちでグラスの合わさる音が響き渡る…。
菜々「さあどうぞ、ナナと李衣菜ちゃんで沢山作りましたから食べてください」
李衣菜「なつきちの誕生日だからみくのとこの使わせてもらって、いっぱい作ったんだ」
みく「みくもちゃんと手伝ったにゃ」
亜季「この量を三人でですか…さすがでありますな」
拓海「そういやこんなかで一日目だったのは菜々とみくだけか?」
菜々「そうですね拓海さん。炎陣・李衣菜ちゃん組と分かれちゃいましたね」
みく「一日目は一日目で大変だったにゃ。特にナナチャンはおつかれさまだよね」
夏樹「恋せよ乙女は本当に良かったよな。あの雰囲気はさすがにあの年代に揉まれてるって思ったぜ」
菜々「夏樹さんありがとうございます。アイドルルームであの世代相手にしてるから出せたって思いますけど…」
「ああ、そうか。菜々はあっちのプロデューサーが本担当だっけ」
里奈「あの部屋いつもお酒の薫りが漂っててホントチョーヤバたんだよねー」
菜々「すみません、ナナからよく言っておきます…」
拓海「あ、亜季。アタシが喰おうと思ってた肉!」
亜季「このような戦場では早い者が勝利するのです」
みく「もう喧嘩しなくてもいっぱいあるんだから、たくさん食べればいいのににゃぁ…」
………
夏樹「こりゃそろそろ散会か?」
菜々「そうですね、結構どんちゃん騒いじゃいましたね」
夏樹「何で主役のアタシがまともなんだかね」
菜々「とりあえず片付けるのに邪魔ですから、皆さん起きてどっか行っててもらいましょう」
夏樹「そうだな。おい、里奈に亜季さん起きてくれ」
ゆさゆさ ゆさゆさ
亜季「ん、んんー…っ、はっ!ここはっ…」
里奈「んあぁぁぁっ、寝ちゃってたーっ…」
夏樹「寝てるところ二人ともゴメンな。片付けしたいから人を運んでもらえないか?」
亜季「あ、そういうことでありますか。どちらにしましょう」
夏樹「とりあえずみくとだりーは、みくの部屋でいいだろ。問題は涼と拓海なんだよなあ…」
里奈「それならとりあえずあっきーの部屋で良くないー?」
亜季「私の部屋でありますか…四人くらいなら何とか大丈夫でしょう」
菜々「スミマセンお二人とも、よろしくお願いします」
夏樹「亜季の方は適当に家に帰しといてくれればいいさ」
亜季「そうですな、ではやりましょうか里奈殿」
里奈「オッケー!」
菜々「さてナナ達も片付けたら帰りましょう」
夏樹「ああ、さっさと片付けるとするか」
………
夏樹「まあ今更聞く話でも無いけど、泊まってもいいんだよな?菜々」
そのご片付けを終えた二人は、バイクで菜々の家へと来ていた。
菜々「この状況でそれを言うんですか?夏樹さん」
夏樹「布団まで敷いてもらってそれはねーか」
菜々「そうですよぉ、もう」
夏樹「…ありがとうな」
菜々「えっ、何ですか?」
夏樹「今日のパーティー、とても楽しかったぜ」
菜々「いえ、李衣菜ちゃん達からやろうかって話が出て、ナナはそれを手伝ったくらいで…」
夏樹「菜々が作ったのってあのサラダとスープだろ?」
菜々「え?どうして分かったんですか?」
夏樹「そりゃまあ、ここに何度も来て味覚えてるからな」
菜々「でもちゃんと気が付いてくれて嬉しいです」
夏樹「ま、こうやって夕食食べながら言う話でも無いけどさ」
菜々「用意ができてなくてコレくらいしか出来なかったですけど…」
夏樹「こういうのがいいんだよ。菜々の味ってヤツ」
菜々「はい…」
夏樹「少し料理の腕上げたか?」
菜々「えっ…?」
夏樹「前よりアタシ好みの味付けになってる気がしてさ」
菜々「ナナ、そんなに調理法を変えては無いんですけど…あ、それってもしかして…」
夏樹「ん?」
菜々「夏樹さんの舌がナナの料理に慣れたからじゃないですか?」
夏樹「…それだけここで喰ってるってことか…」
菜々「帰るのが遅くなりそうな時によく寄るからですよぉ」
夏樹「それでも応対してくれるんだから、優しいよな菜々は」
菜々「それはもう…ダメなんて言えるわけないじゃないですか」
夏樹「そういうとこが菜々の良いとこ…だよ」
菜々「ありがとうございます…」
夏樹「…っくあーっ…っと、今日は主役張らされて疲れちまったな」
菜々「食事中なのに大きな伸びですね、夏樹さん」
夏樹「ああいう肩肘少し張るところはなあ…風呂って入って大丈夫か?」
菜々「そろそろ湧く時間ですから、自由に入ってください」
夏樹「菜々はどうするんだ?」
菜々「……今日は夏樹さんの誕生日ですから……」
夏樹「よっしゃ、決まりだな。食べたら一緒に風呂な」
菜々「はい…」
数時間後、くっ付けられた二つの布団の上に二人寄り添って仲の良い寝姿が見受けられたという…
………
その頃、寮のみくの部屋では…
みく「ん…んーっ!…にゃっ?」
ようやく目を覚ましたみく。そこはパーティーをしていた談話スペースではないことはすぐに理解した。
ゆさゆさ ゆさゆさ
みく「りーなチャン、りーなチャン」
李衣菜「ん?…んあーーっ!寝ちゃってたんだ、あたし達…」
みく「りーなチャン、みく達どうして部屋にいるのかにゃ?」
李衣菜「あれ?ホントだ…誰か運んでくれたのかな?」
みく「…あ、こんな時間…りーなチャンどうするの?」
李衣菜「えー、もう帰るの面倒だから泊まっていい?」
みく「泊まっていいけど…ってそれはもう最初から申請出してたにゃー!」
李衣菜「ああ、そっかー…今日は土曜日だから、明日のレッスンついでに泊まることにしてたんだっけ」
みく「ほらぁ、寝る前にお風呂行かなきゃでしょー。そっちの話ー」
李衣菜「あー、うん。こんなカーペットの上に寝てた身体じゃ寝れないよね」
みく「ほら、りーなチャンのはそっちに入ってるから」
李衣菜「大きなお風呂は久しぶりだなあ、楽しみー」
楽しみとここで言っておきながら、夜中にはやっぱり二人でお楽しみだったようですよ…
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あとがき
飛神宮子です。
今月の百合百合枠2本目は、なつななの二人と最後にちょこっとアスタリスクを添えて。
事後報告となりますが、デレ5thSSAの1日目に現地参戦しました。現地は2014年冬のSSA以来3年半ぶりでした。
席はステージから遠くでしたが、LVでは得られないあの何にも変えがたい何か…いいですよね。
それでタイトルですが、遠ざかるのは『ライブの思い出』、近付くのは『二人の年齢』ということです。
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2017・08・27SUN
飛神宮子
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