クリスマスイブ、それは恋の天使が舞い降りる時… |
イヴ | 「聖ちゃん、どうでした〜?」 |
聖 | 「はい、無事に買ってこれました。イヴさんの方こそどうでした…?」 |
イヴ | 「私の方も何とか残ってたので良かったですー」 |
聖 | 「良かったです…何とかこれで揃ったんですよね」 |
イヴ | 「ありがとうございます、お手数お掛けしました。人数分にちょっと足りなかったみたいで〜」 |
聖 | 「いいんです。今日のみんなへのプレゼント配りのためですから」 |
イヴ | 「今日の夜はちょっとだけ夜更かしですね〜」 |
聖 | 「…はい」 |
イヴ | 「…聖ちゃんにもちゃんと用意してますから…」 |
もう二人の間には言葉を交わさなくても通じ合う何かがあった。 |
聖 | 「イヴさん、寮に戻りましょう」 |
イヴ | 「はい〜」 |
ぎゅっ |
二人の買い物袋を持たない方の手はしっかりと握られていた…。 |
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寮でクリスマスプレゼントを必要な各部屋へと配り終えた二人… |
イヴ | 「今年は中学生以下の人が全員だったので、やっぱり多かったですね〜」 |
聖 | 「去年は小学生の人だけでしたから…」 |
イヴ | 「そういえばそうでしたね〜」 |
聖 | 「でもどうして今年はそうなったんですか?」 |
イヴ | 「寮の各館長さんからお願いされちゃいました。予算も少し増やしてくれたんです〜」 |
聖 | 「その分だけ用意が大変でした…」 |
イヴ | 「はい〜、用意から手伝ってもらえて助かりました」 |
聖 | 「あれ?でも配り終わったはずなのにプレゼントがまだ袋に二つも…」 |
イヴ | 「それはですね…」 |
ガチャっ バタンッ |
イヴと聖は寮の居室の部屋へと入っていった。 |
パチン ピッ カチャッ |
そのまま部屋の電気や暖房を入れていく。 |
イヴ | 「一つは聖ちゃんのですよ〜」 |
聖 | 「…あっ…」 |
聖はようやく自分の立場を思い出したようだ。 |
聖 | 「わたしも中学生でした…」 |
イヴ | 「そうですよ〜、なのでこれは聖ちゃんへのクリスマスプレゼントです」 |
聖 | 「…ありがとうございます…」 |
イヴ | 「ちょっとだけパーティの続きをしましょう。今持ってきますね〜」 |
イヴは部屋の冷蔵庫に入れていたケーキと飲み物を取りに行った。 |
聖 | 「わたしも手伝います…コップとお皿でいいですか?」 |
イヴ | 「はい〜、お願いします」 |
……… |
イヴ | 「それでは、せーのっ」 |
フーーーーー |
こたつの一辺に寄り添って入った二人はケーキの上のロウソクの火を仲良く吹き消した。 |
聖 | 「イヴさん、誕生日おめでとうございます」 |
イヴ | 「ありがとうございますー、聖ちゃんも一日早いですけど、おめでとうございます」 |
聖 | 「ありがとうございます…」 |
イヴ | 「それじゃあ切りましょう。もう遅い時間ですから1/6ずつにして残りは明日にしましょう」 |
聖 | 「はい…」 |
……… |
聖 | 「あむっ…疲れたから甘くて美味しい…」 |
イヴ | 「はむっ…本当ですねー」 |
聖 | 「パーティのケーキはクリスマスっぽかったですけど、これはちょっと甘さ控えめで美味しい…」 |
イヴ | 「これは愛梨さんに別にいただいた物ですよ」 |
聖 | 「こうやって別々に食べるのは初めてかもしれないです」 |
イヴ | 「誕生日がお祭り事に近いと、やっぱりまとめられちゃいますし」 |
聖 | 「誕生日のプレゼントもクリスマスと一緒にされちゃったり…」 |
イヴ | 「やっぱりそうだったんですか」 |
聖 | 「そう言うイヴさんもですか?」 |
イヴ | 「私の場合はその…この日が一番忙しくてそもそも誕生日を祝ってもらいにくいと言いますか…ね」 |
聖 | 「あっ…」 |
イヴ | 「こうしてアイドルとして拾ってもらえて…アイドルとして働くことがみんなへのプレゼントだと認めてもらえて…」 |
聖 | 「………」 |
イヴ | 「だからこうして過ごせる今が…それもこんなに…」 |
チュッ |
イヴは隣に座っていた聖の頬へとそっと口付けた。 |
イヴ | 「可愛くて愛しい子となんて、本当に私は幸せ者です」 |
聖 | 「うう…そう言われると何だか恥ずかしくて顔が紅くなっちゃいます…」 |
イヴ | 「もう…そんなところも愛おしいんですよー」 |
聖 | 「あうぅ…」 |
イヴ | 「あ、そうでした。さっきもう一つプレゼントが入っているって言ってましたっけ」 |
聖 | 「えっ、あ、はい」 |
イヴ | 「それはですね…そっちは…」 |
ゴソゴソゴソ |
袋の中からその袋を出すイヴ。 |
イヴ | 「はい、聖ちゃんへの誕生日プレゼントですよ〜」 |
聖 | 「えっ…」 |
イヴ | 「私と同じような境遇だと思ってましたから。さっき分かれて買いに行った時に買っちゃいました」 |
聖 | 「イヴさん…ありが…とうご……」 |
聖はそれ以上の言葉が継げなかったようだ。 |
聖 | 「ゴメンなさい…んっ…胸、借りちゃいます…」 |
イヴ | 「聖ちゃん…」 |
ぽんぽんっ |
そんな泣き崩れてしまった聖の背中を優しく叩いてあげたイヴであった。 |
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聖 | 「イヴさん、ちょっと待っててください」 |
イヴ | 「あ、はい。わかりました〜」 |
そう言いながら聖はコタツから出て、自分の居住スペースへと向かっていった。 |
聖 | 「……イヴさん、これどうぞ…」 |
戻ってきた聖の手には小さな袋が乗っていた。 |
イヴ | 「これって…」 |
聖 | 「これはわたしからの誕生日プレゼントです…私もさっきの時に買ってたんです…」 |
イヴ | 「聖ちゃんもだったんですか……聖ちゃんは私にとって一番のサンタさんですー」 |
聖 | 「…頼りないかもですけど…いいですか?」 |
イヴ | 「…はい」 |
聖 | 「それなら…まだプレゼントはありますから…」 |
イヴ | 「私も…まだ全部はあげてませんよー」 |
聖 | 「寝る準備が出来たら…ですね」 |
イヴ | 「お互いにゆっくりプレゼント交換しましょう…ね」 |
二人だけの聖夜はまだ終わらない… |