"Something" I want after a Lesson(レッスンの後に欲しい「モノ」)

1月8日のとあるレッスンルーム…
李衣菜「♪〜♪〜♪♪♪〜♪♪〜」
トレーナー「はいストップ。多田さん、そこはもう少し♪〜♪♪〜♪♪♪〜♪♪〜って区切るの」
みく「りーなチャン、どうしたの?歌だけだったらここミスしないはずなのにゃ」
李衣菜「うーん、どうしてもダンスに引っ張られてるのかなー」
トレーナー「ここは確かにステップとリズムが違うから狂いやすいですけど、身体で覚えてもらうしかないですね」
李衣菜「もう一回やってみるかー、お願いします」
 
トレーナー「前川さんそこは笑顔、できるはずですよ」
みく「あう…身体に意識が行き過ぎてたにゃ…」
トレーナー「多田さんは一回ズレるとそのままテンポから遅れてしまう癖があるみたいですね」
李衣菜「んー…どれも意識し始めると音楽が耳に入ってこないのかなあ…」
トレーナー「レッスン時間がそろそろ厳しいですから、これは次回レッスンまでの宿題としますか」
みく「次回って…ナナチャン達と一緒のレッスンかにゃ?」
トレーナー「そうですね、合わせないといけない部分もありますからそこで確認しましょう」
李衣菜「なつきち達とかー、もしなら二人にも見てもらった方がいいかな?」
みく「ダメそうならそうしよ。二人とも通勤組だから、どっちかだけとかになるかもしれないケド」
トレーナー「それではおつかれさまでした」
二人『ありがとうございましたー』
トレーナー「二人とも身体動かした後ですからストレッチは忘れずにね」
二人『はーい』
トレーナー「では失礼しますね」
ガチャっ バタンッ
トレーナーは次の準備のために部屋から出て行った。
李衣菜「んんーっ!みく、一緒に背中伸ばししよう」
みく「そだね…んんにゃあーっ」
二人は背中合わせになって交互に背中を伸ばし始めた。
李衣菜「んーっ!それにしてもなかなかこの曲は難敵だねぇーっ!」
みく「あーっ!そうだにゃあ…苦戦する曲も久しぶりにゃーっ!」
李衣菜「んーっ!みくがこの手の曲苦手だなんて思わなかったぁーっ!」
みく「にゃーっ!りーなチャン、さっきからやり過ぎなんだにゃーっ!」
李衣菜「んあーっ!そう言うみくだって、それは…はあ…はあ…こっちのセリフなんだけど…」
みく「はあ…はあ…ストレッチなのに余計に疲れたにゃ…」
李衣菜「普通にやろっか、背中伸ばしはもういいや」
みく「そうだにゃ…普通に使ったとこ伸ばそ」
………
シャーーーーー シャーーーーー
レッスンルームの軽い掃除も終えてシャワールームへと来た二人。
李衣菜「ねえ、みく」
みく「どしたの?りーなチャン」
李衣菜「みくって今週末何かある?土曜日がレッスンだけどさー」
みく「みくはそのレッスン前に雑誌のコラムのチェックしてもらうにゃ」
李衣菜「じゃあ日曜と月曜は?」
みく「日曜は今のところはフリーかにゃ、月曜は何かあった気がする」
李衣菜「日曜は空いてるんだ、それならどっか行かない?」
みく「返事は後で予定ちゃんと確認してからね」
李衣菜「うん。あ、月曜って14日だっけ」
みく「今日が火曜で8日だから…そうだにゃ」
李衣菜「その日は二人で生放送のレポーターじゃん」
みく「あー、それにゃ!確か…この3連休まででお年玉がどうなったか子供たちに聞くんだにゃ」
李衣菜「そんな感じだったね」
みく「りーなチャンはお年玉もらった?」
李衣菜「一応貰ったよ。今狙ってるヘッドフォンは買っちゃうと厳しいから貯金したけどね」
みく「そういうトコロはちゃんとしてるにゃ」
李衣菜「みくは?」
みく「みくももらったけど、とりあえずは貯金したよ。ネコカフェの軍資金でいずれ消えちゃうけど」
李衣菜「でもさー、あたし達ってお仕事で多少は貰ってる立場だから、ちょっと貰いづらいところもあるよね」
みく「そうなんだけど、くれるのに貰わないのも印象悪くなっちゃうモン」
李衣菜「そこがちょっとだけ面倒なところかな」
みく「りーなチャンってお仕事のお金ってどうしてるの?」
李衣菜「あたし?あたしは親が管理して、そこから必要なお金をもらうカンジにしてる。お年玉とかは別にしてさー」
みく「みくと一緒にゃ。こっちで使うためのカードの口座に入れてもらってるのが違うくらいで」
李衣菜「未成年だとやっぱりそうなるよね。まだ未熟だって分かってるし」
みく「おっきいお金なんて持つにはまだまだ早いモン」
李衣菜「杏みたいに自立しているなら別だけど。杏って一人暮らしで寮生じゃないよね?」
みく「うん。関東以外だと数少ない寮生じゃない学生の一人にゃ」
李衣菜「生活の質は別としてさ、あの歳で北海道から一人出て来て一人暮らしは凄いなあ…」
みく「あのある意味アクティブさは尊敬に値するね」
李衣菜「みくは考えたことないの?」
みく「みくは別にいいかなって。自活はなかなか難しいものだにゃ」
李衣菜「そうだよね」
キュッ
みく「あ、りーなチャン終わった?」
李衣菜「終わったよ。みくはまだ?」
みく「みくもこれ流したら…」
キュッ
みく「終わったにゃ。すぐに髪の毛乾かさないと」
李衣菜「今日も寒いから濡れたままだと絶対に風邪ひくよね」
みく「あー…みくの学校、早速今日から学級閉鎖出たって言ってたにゃ」
李衣菜「あたしのとこも、皆勤賞狙いで無理して出てきた子のクラスがそうらしくてさー」
みく「うわあ、それはパンデミックにゃ…」
李衣菜「こういう仕事だから予防接種できてるあたし達は幸運だよ」
みく「もし休んで代役の人が良い仕事できたら、お仕事取られちゃうモン」
カチッ カチャッ ガーーーーーーー ガーーーーーーー
李衣菜「あ、ちょっと髪痛んでるかも」
みく「りーなチャンの髪、そうは見えないにゃ」
李衣菜「枝毛が何本か見えたからさー」
みく「今のところは大丈夫そうだよ」
李衣菜「そっか、みくが言うなら大丈夫かな」
みく「あ゛ー、おっきな鏡見て現実を思い知ったにゃ…」
李衣菜「みく…バスタオルの上からだけどあらためて見るとー…」
みく「りーなチャン、それ以上は言わないでも分かってる…分かってるにゃ…」
李衣菜「現実を直視した方がいいんだよ」
みく「お正月は美味しい物が多すぎるのが悪いの!」
李衣菜「…どれくらい?」
みく「確か…1.2kg…」
李衣菜「でもあたしはちょっぴりくらいなら…」
チュッ
李衣菜はみくの頬にそっと唇を付けた。
李衣菜「そんなみくの身体も好きだな」
みく「りーなチャン…もー、そういうこと言うー。恥ずかしいにゃ…」
李衣菜「でも本当だよ」
みく「…ありがとにゃ…」
チュッ
そんなありがとうの気持ちは、みくの唇を李衣菜の頬へと向かわせていった…
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あとがき
飛神宮子です。
今月のLily枠14発目、メインで書くのは実は初めてのAsteriskことみくりーなです。
これで昨年の年末から続けたLily枠の連続更新は最後です。12/20のかこほたと12/24から今日までLilyのみで計25組、非Lily組の3組を含めると28組でした。
それは置いときまして、みくと李衣菜のレッスンとその後のお話です。
背中伸ばしで意地を張り合ったり、シャワータイムでお話したり…仲良く喧嘩する仲だからこそ好きでいられるそんな二人なんだと思います。
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2019・01・08TUE
飛神宮子
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