8 Years Later...[Naho×Miyuki](8周の先【菜帆×美由紀】)

海老原菜帆(25):タレント(食関係多め)/柳瀬美由紀(22):タレント(セーブ気味)・大学生
 
 
 
とある街角…
菜帆「菜帆のスイート散歩〜」
アイドルからタレントとなった菜帆がロケをしているようだ。
菜帆「スイート散歩、今日は港区の○○にお邪魔しています」
歩きながら説明をする菜帆。
菜帆「今日はですね、美味しい菓子パンやパイが戴けるこちらのベーカリーのご紹介です」
菜帆が示した先には、カフェが併設されたベーカリーがあった。
菜帆「では入ってみましょうか〜、おじゃまします〜………」
そこで菜帆はまさかの光景を目の当たりにすることとなった。
 
その数十分前のそのベーカリー…
美由紀「んーっ、はあ…今日も課題しなくちゃかあ…」
一人の女性が授業の合間だろうかやってきた。
♪〜
店員『いらっしゃいませー』
美由紀「ここで糖分補給しながらやろっと。甘いパン、甘いパンー」
菓子パンを中心に選んでいくその女性。一つ結わえの髪がぴょこぴょこ揺れている。
店員『クリームパン、ちょうど出来立てですがどうしますか?』
美由紀「あ、じゃあそれもっ一つおねがいしまーすっ」
店員『どうぞ』
美由紀「ありがとうございまーす。それじゃあお会計お願いします」
店員『はい、では飲み物は何にします?』
美由紀「んー、今日はホットの紅茶でっ」
店員『今日は一人で課題ですか?』
美由紀「友達が別の用事で来れなくって…」
店員『頑張ってくださいね』
美由紀「はい。実家のためにもここが頑張り時だから…留年はしたくないし」
店員『あ、そういえばこれからテレビカメラが来ますけど、大丈夫ですか?』
美由紀「え、じゃあ早めに食べた方がいいですか?」
店員『映るのが気にならないならゆっくり食べてても大丈夫ですよ』
美由紀「今日の格好なら………うん、大丈夫かな」
店員『お客さんがいないとなるとちょっと寂しいですからね。あ、○○○円になります』
美由紀「はい、じゃあこれでっ」
店員『ではお釣りは…円お返しいたします。それでは予約席の札があるテーブル以外でお待ちください』
美由紀「はーい」
 
時は戻って…
♪〜
店員『いらっしゃいませー』
菜帆「わあ、色々なパンがありますね〜」
菜帆の目には様々なパンが並んでいるのが飛び込んできた。
菜帆「色々と目移りしちゃいますね」
店長『いらっしゃいませ、海老原さん。店長の○○です』
菜帆「今日はよろしくお願いします〜。こちらにはどのくらいの種類の商品があるんですか?」
店長『当店は天然の酵母と国産小麦を使って、季節限定の商品もありますが常に40種類ほどあります』
菜帆「今の時期のおすすめは何でしょう?」
店長『今ですとイチゴを使ったこちらの商品などがおススメです』
菜帆「では今日は定番の商品とそのおススメの商品をいただきますね」
店長『はい、定番ですと………』
 
菜帆「こちらでは併設のスペースで食べて行くこともできるんですね」
店長『はい。出来立てを味わっていただきたいので、狭いですがそのようなスペースを用意しました』
菜帆「ではそちらでパンとパイ、戴いていこうかなと思います」
店長『ではお飲み物を一緒にご用意しますね。そちらのテーブルへどうぞ』
菜帆「はい〜。あら、他のお客様もいらっしゃいますね〜」
菜帆が座った席、その視線の先には先ほどの大学生(=美由紀)が課題に黙々と取り組んでいた。
菜帆「用意されている間、ちょっとお話を聞いてみましょうか。どうでしょう?」
スタッフはOKサインを出した。
菜帆「ではちょっとお話を聞いてみましょうか。すみませんーちょっとお勉強中のところよろ…」
その女性へと声を掛けかけたところで、菜帆の言葉が止まった。なぜなら…
美由紀「ん?」
イヤホンをしたその女性も何かに気付いたのか菜帆の方へと見上げた。
菜帆「えっ…み、美由紀ちゃん!?」
美由紀「えっ…あーっ!菜帆ちゃんっ!?」
菜帆「こ、これってどうして…し、仕込みとかじゃないですよね〜?」
いつもの雰囲気と打って変わってしどろもどろになってしまった菜帆。
美由紀「だってここ、みゆきの通ってる大学の近くだよ」
菜帆「え?そうだったんですか美由紀ちゃん」
美由紀「うん。だからたまに課題とかする時に来るんだ」
菜帆「もう…本当にびっくりしました」
美由紀「あ、もしかしてさっきカメラが来るって話、これだったんだ!」
菜帆「あ、すみません。同じ事務所でアイドル時代はユニットが一緒だったこともある、柳瀬美由紀さんです〜」
美由紀「こんにちはー。えへへ、何かテレビに出るの久しぶりかもっ」
菜帆「今は大学生で芸能活動は抑え気味でしたよね」
美由紀「うんっ。でも勉強だけじゃ疲れちゃうし…」
菜帆「なるほど〜、糖分補給に良いかもしれないですね」
美由紀「うん。美味しくてゆっくりできていいんだよー」
菜帆「フフフ、そうなんですね〜……」
と、そこで…
菜帆「えっ、一旦収録中断ですか?はい。それでADさん、何か………………えっと、それはちょっと事務所に確認を取ってもいいですか?」
美由紀「みゆきが確認しよっか?菜帆ちゃん」
菜帆「あ、みゆきちゃんお願いします〜。スマホを預けてたの忘れてました」
トントンッ
美由紀「もしもーし、あのちょっと今大丈夫ですか?ちょっと電話変わるね。ADさーん、電話変わってくださーい」
美由紀は仕事用のスマホをADへと渡した。
菜帆「ところで美由紀ちゃんは今日はもう大学上がり?」
美由紀「うん。課題はもう少しで終わりそうだから、ここで仕上げたら家に帰ろうかなって」
菜帆「それならこの収録が終わったらどこか行きません?」
美由紀「んー、そうだねっ…あ、はい。どういたしましてっ………えっ!みゆきも出ていいのっ!?」
菜帆「大丈夫でしたか、ADさん。はい、それなら…大丈夫?美由紀ちゃん」
美由紀「ちょ、ちょっと待って…えっとおかしい所は…うん、大丈夫だよね?菜帆ちゃん」
菜帆「私は大丈夫だと思いますよ」
美由紀「それならお願いしまーすっ」
 
改めて収録が始まり、そこには…
菜帆「パンとパイが飲み物と一緒に来たみたいですね〜」
美由紀「焼きたてのパイ、美味しそーっ」
菜帆「あ、ここからはせっかくなので美由紀ちゃんも一緒にお送りすることにしました〜」
美由紀「よろしくー。この番組は今年の頭くらいにゲストでも出たことあるよっ」
菜帆「フフフ、そうでしたね。ではまずどれからにしましょうか」
美由紀「みゆきのおススメはねー………」
菜帆と美由紀、二人の収録はあの頃と変わらずちょうど良い空間が流れ続けていた…
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あとがき
飛神宮子です。
8年後シリーズの3本目。次は菜帆と美由紀の『エビカニコンビ』。
跡取りの関係で美由紀はそのまま東京で大学に通っているのではないかなと。これでも社長令嬢ですし。
文中にはありませんが、菜帆は結婚して子供もいるくらいかなと。アイドルというよりはタレント…ですかね。
港区なのは何となく…ではなく、想定した大学がそこだからです。
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2019・12・24TUE
飛神宮子
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