The Milky Way here(ここにある天の川)

今年の梅雨が異常に早く明けちゃって、あずきの誕生日でもう夏本番だなんて……
「うー……暑いっ!」
あずき「柚ちゃん、いくら暑い暑い言っても収まらないからねっ」
「何でもう梅雨開けてるのー!」
あずき「そうだよねー、いつもならこの時期なんてまだ雨なのに」
あずきは事務所で柚ちゃんと合流して寮まで引っ張ってきたんだ。
「でも晴れてくれたら晴れてくれたで、星が見えるからいいケドねー」
あずき「だけどこういう日に限ってねー…」
「うん…どーして曇るのさー!」
夕方の今の空は曇り空、夜にはもしかしたら晴れるかもって予報だけど…どうかな?
あずき「まずはあずきの部屋で着替えようよ。穂乃香ちゃん達ももう来てるからねっ」
「もう来てるの?」
あずき「先に着替えてもらってるからっ」
「今年の浴衣はどんなのなの?」
あずき「それは見てのお楽しみだよ」
「教えてくれないんだ、いじわるー」
あずき「見れば一目瞭然だもん、ほら入るよー」
「おじゃましまーす」
ガチャッ
「あ、あずきちゃんおかえりー」
穂乃香「柚ちゃんいらっしゃい」
「忍チャン、穂乃香チャンばんはー…おおっ今年は甚兵衛なんだネ」
あずき「さて柚ちゃんに問題っ、この甚兵衛は何をイメージして作ってもらったでしょうかっ」
「もちろん分かってるよー。だから浴衣じゃなくて袖が離れて見える甚兵衛なんでしょ?」
あずき「それじゃあ柚ちゃん、お答えはっ!」
「テーマパークイベントの時の衣装っ!」
あずき「せいかーい、賞品は甚兵衛でーす」
「…ってこれは最初からアタシが着るヤツー」
あずき「でもでも、柚ちゃんだけは微妙に違うんだよっ」
「そういえば柚ちゃんってあの時の衣装袖有りだったよねー」
穂乃香「確かに…そういえば忍ちゃんもほんの少しだけありましたけど、柚ちゃんはちゃんと袖がある衣装でしたね」
「あれ?穂乃香チャンって違った?」
穂乃香「それなんですけど…実は私だけ元になった最初期の共通衣装から袖の部分を変えてもらったんです」
「そういえばそうだった。何か穂乃香ちゃんの衣装見て違和感があったのそれかー」
穂乃香「最初期の共通衣装は…………これですから」
穂乃香ちゃんがスマホで見せてくれたのはあずき達の最初の共通衣装の時の写真。
あずき「本当だっ、穂乃香ちゃんの衣装って袖があったね」
「アレ?でも穂乃香チャンの似た袖が無いの見たコトある気がするんだケド」
穂乃香「それってもしかしてこっちのことじゃないですか?」
数枚スライドすると別の似た衣装が出てきたよ。
「そう、こっちこっち」
穂乃香「柚ちゃんがそう言うのも無理はないですよね。これの時も柚ちゃん一緒でしたから」
「穂乃香チャンと一緒…あー!グラビアの制服コレクションの時のだ!」
穂乃香「そうなんです。その時の衣装も多少混ぜてもらった感じにしたんです」
「そっかー」
あずき「ほらほら、柚ちゃんもあずきと一緒に着替えよっ」
「そうだねー、着替えるとしますか」
「アタシ達居てもいい?」
「別に女の子同士だから恥ずかしいってこともないからネー」
あずきは柚ちゃんとやっと着替え始めたよ。時間大丈夫かな?
あずき「あずき達、すっかりこういうの慣れちゃったね」
「それはアタシもこの世界に入って思ったよ。こんなに堂々と他の人が居るところで着替えられるとかね」
穂乃香「…あれ?」
「どうしたの?穂乃香ちゃん」
穂乃香「二人とも同じ下着着けてませんか?」
「本当だ。偶然…じゃないよね?おーい、お二人さーん。聞こえてるよねー?」
あずき「え?忍ちゃん、ナンノハナシカナッ?」
「何か話してたのカナー?」
下着が一緒だったのは実は偶然…じゃないよっ。こういう日だから合わせようって前から約束してたから…。
「いや、話聞いてたでしょ」
穂乃香「それにしてもどうしてなんですか?」
「今日はあずきちゃんのとこ泊まって、明日はここから学校行くからネー」
あずき「柚ちゃんとお揃いはいくつか持ってるもんっ」
穂乃香「そうだったんですか(私たちも人の事は言えませんが…)」
「あれ?でも終わったら着替えるんじゃないの?(まあね、今もそうだし…二人が見てなくて良かったよ…)」
「それは…あずきチャンのとこにアタシのおいてあるモン」
あずき「よく来るからお互いの家に何組か置かせてもらってるしっ」
穂乃香「さすがですね…」
「何ていうかまあ…いいか。それより早く着たら?」
「そうダネ、あずきチャン着ようっ」
あずき「うんっ。着たら一緒に写真撮ってプロデューサーに送ろうっ」
「どこで撮る?一回事務所の方に行く?」
穂乃香「そうですね、これから行くとやっぱり混んでそうですよね」
「そうかもネー、さっきあずきチャンと待ち合わせしてた時も結構来てたモン」
あずき「それなら寮の笹の前で撮ろっ!」
「大きくはないけどみんな今年も結構吊るしてくれてるし、確かにそっちでもいいかもね」
「撮ったら一緒にお風呂入ってこの部屋で誕生日会ダネ」
あずき「せっかくの七夕だから星空も見たかったけどねっ」
穂乃香「外って今どうです?」
「うーん…やっぱり雲が晴れそうにないねー」
部屋から外を見てもやっぱり晴れそうにはないよ…
「梅雨明けしてあれだけ毎日晴れてるのにこういう時に限ってネー」
あずき「それでどうしたの?穂乃香ちゃんっ」
穂乃香「それなら…」
穂乃香ちゃんが何か思いついたみたい。
穂乃香「部屋用のプラネタリウム装置持ってきましょうか」
「穂乃香ちゃんそういうの持ってたんだ」
穂乃香「はい、宇宙関係の施設を見に行った時に欲しくなりまして…」
「それなら、それを点けながらあずきチャンの部屋でパーティーするヨっ!」
………
パーティーも点呼も終わって、今は柚ちゃんを隣に一緒のベッドの中…
「星…綺麗ダネ、あずきチャン…」
あずき「そうだね…柚ちゃん」
結局、穂乃香ちゃんに明日まで装置を借りたんだ。
「空の星は見えなかったケド、こうして二人だけで見られてよかったのかもね…」
あずき「今ここは二人だけの星空…だからね」
お互いにもう何がしたいか分かってたよ。
あずき「柚彦さま…」
「どうしたんだい?あず姫」
あずき「あずき、今日の最後にもう一つ欲しい物があって…」
「もちろんだよ…まだ渡し切ってはなかったから…」
あずき「いつでも…いいからね…」
「うん…Happy Birthday、あずきチャン…」
その言葉と共に重ねてくれた唇、今日一番のプレゼント…だったよ、柚ちゃん。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
飛神宮子です。
フリルドスクエアの55本目。あずきの誕生日SS2022です。
今年の七夕は異例の梅雨明け後、ただ晴れた地域はそこまで多くなかったようですね。
最後はまあ…この時期の二人らしくイチャイチャと。それがこの時期のこの二人らしい気がします。。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2022・07・07THU
飛神宮子
短編小説に戻る